- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594089405
作品紹介・あらすじ
中国・新疆ウイグル自治区──
そこでは今、何が起きているのか。
タクラマカン砂漠、さまよえる湖ロプノール、天山山脈……。ロバ車が行き交うポプラ並木、羊の串焼きの匂い──
かつて旅人たちを魅了したウイグルの美しい風景、陽気な人々が今、その地から消されようとしている。
1000万人以上の市民が、街のいたるところに設置された監視カメラで常に見張られている。突然やってきた警官に連行され収監。さまざまな拷問を受け、二度と帰らない罪なき人々。強制労働、不妊手術、臓器を取られる子どもたち……
同時代に起きていることとは信じがたい、中国による非道な行ないを黙殺していいのか?
ウイグルの人たちの証言を漫画でTwitter上に発表し、その作品が各国で翻訳・拡散されている清水ともみ氏の漫画、産経新聞北京支局時代から現地取材を続けるジャーナリスト・福島香織氏のレポートで、ウイグルの人たちが置かれている現状を伝える。
【目次】
Chapter1 かつてのシルクロードの要衝地カシュガル
Chapter2 監視される市民
Chapter3 巨大な監獄と化した美しい街
Chapter4 ウイグル人、オムル・ベカリの証言
──拘束、拷問、虐待死
Chapter5 ウイグル人医師アニワル・トフティの証言
──ウイグル人の「清い臓器」
Chapter6 日本に帰化したレテプ・アフメットの証言
──在日ウイグル人の苦しみ
Chapter7 親から引き離される子供たち
Chapter8 ウイグルをむしばむ新たな〝文化大革命〟
Chapter9 誇り高きウイグルの起源
Chapter10 漢族支配体制のはじまり
Chapter11 漢人との衝突────
Chapter12 テロリストにされるウイグル人
Chapter13 見ないふりをするイスラム国家
Chapter14 立ち上がるウイグル人
Chapter15 米中新冷戦のカードとなったウイグル人権問題
ウイグル人の詩「目覚めよ!」アブドゥハリック・ウイグル、「ロプノール」「母語」パルハット・トルスン/巻頭漫画 「シャツの背景」所収
感想・レビュー・書評
-
歴史好きの私にはウイグルというと突厥、カラハンやカラキタイがすぐに思い浮かぶが、現在のウイグルの悲惨な状況をわかりやすく教えてくれる本。
中国関連の多くの著作を出している福島香織と漫画家清水ともみの共作。
かって欧米諸国がやってきたことを現代の中国が進めている。ターニングポイントは胡耀邦の時代で、あの時に流れた多くの血が報われていたなら……
今、世界のあちこちで悲しみが溢れている。
みんなが笑顔で暮らせる道は無いのか…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
辛い読書となった。
ウイグルで起きていること、ウイグルの起源や歴史、中国の思惑、見てみないふりをするイスラム国家、世界の声明等が分かり、読んで良かった。
遠い知らない国のことと思ってはいけない、無関係ではなさそうなのだ。
現に、昭和初期に日本政府が積極的に東トルキスタン・イスラム共和国の指導者たちと接触、現地の情報を集め、独立を支援しようとした動きがあった、とある。
ウイグル人の間に、「あの時日本軍が来てくれていれば、東トルキスタンは独立していた」という言い伝えもあり…(略)…実現することなく敗戦を迎えた、とある。
(当時の日本政府の真の思惑は分からないが)
歴史のifを考え出すと、なんとも辛い。
今の世界情勢から見ても、ウイグルの現実は日本も他人事ではないと危機感を募らせた。-
Manideさん、本書に「歴史のifを語っても仕方がないのだが〜」を引用し(パクリ)ました^^;
ManideさんのNEWアイコンは、「バ...Manideさん、本書に「歴史のifを語っても仕方がないのだが〜」を引用し(パクリ)ました^^;
ManideさんのNEWアイコンは、「バレンタインver.ーおねだり」なんでしょうか(´゚艸゚)ププッ
色といい表情といい、いい感じですよ。2024/02/05 -
え〜
なんで、笑ってるんですか〜(ꐦ°᷄д°᷅)
いい感じのバレンタインカラーにできたも思ったのに…
そう、ねだってる感じ(^^)
だれ...え〜
なんで、笑ってるんですか〜(ꐦ°᷄д°᷅)
いい感じのバレンタインカラーにできたも思ったのに…
そう、ねだってる感じ(^^)
だれか、わかってくれますかね…2024/02/05 -
分かりますよ!
少なくともあおいさんと私には分かるw
Manideさん、アイコンを作るのがお上手。
色とかアイデアも良いですねჱ̒⸝⸝•̀֊...分かりますよ!
少なくともあおいさんと私には分かるw
Manideさん、アイコンを作るのがお上手。
色とかアイデアも良いですねჱ̒⸝⸝•̀֊•́⸝⸝)2024/02/05
-
-
正直 これが同時代に起きているということが
信じられない・・・
平和ボケ日本人と言われようとも
理解の範疇を超えてしまう
わたしたちは本当に恵まれているんだな
と苦い思いになります
人々の証言は勿論のこと
歴史的背景や各国との関係性にも言及し
なぜこんなことが行われているのか
という裏側を知ることのできた一冊
深くて根強い因縁は
戦争やジェノサイドを
いつまでも引き起こしてしまっている -
この問題、なぜこの現代で?ばかりが心に残るが、豊富な地下資源や肥沃な土地からの搾取との言葉を目に。
ウイグル問題への認知度が徐々に深まり、純粋に人道問題として認知が広がる流れが今の唯一良い点と著者。
なんと哀しい世の中なのか… -
先程感想を書いた「ウイグル人に何が起きているのか:民族迫害の起源と現在」の著者・福島香織さんと清水ともみさんの共著。
本書の印象としては、上記に挙げた福島さんの本の内容を清水さんが漫画にしてより読みやすくしたうえで、さらに情報の肉付けをされている、といった感じ。
絵だけでなく現地の写真なども載っているのでイメージがとてもしやすいです。
清水さんのウイグル関連の前著「命がけの証言」(同様に基本漫画形式)よりも文章量は多いものの、純粋にウイグル問題のみを取り上げており、本書の方がウイグル問題を周りの人に知ってもらうために紹介しやすいとも感じました。
要するにウイグルの漫画で読む入門書としてベストだと個人的に思った、ということです。
さらに個人的に思ったことを言うと、福島さんの「ウイグル人に何が起きているのか」と本書を合わせて読むとすごく理解が進みました。
近いうちに他の当事者の証言本も読もうと思っています。
タイトルの「ウイグル人という罪」の意を、ウイグル人であるだけで犯罪者に仕立て上げられる現在の状況を指しているのだと思うと、胸が痛くなります…。
ウイグル人は外国にいてもなお監視されていて、自治区現地では子どもは孤児でないのに孤児院(子どもたちも常に監視され檻に入れられている)に入れられて、親が謂れのない罪で強制収容所に入れられたせいで本当に孤児になってしまったり。
多くのウイグル人の子どもがいなくなって、やっと見つかったと思ったら臓器を抜かれていたり。
強制収容所でウイグル人が拷問を受け亡くなっても、勝手に火葬されてしまったり(臓器が抜かれているとの証言も)。
無理矢理漢人と結婚させられる女性たちも。
本書の最初に、アブドゥハリック・ウイグル氏の詩・「目覚めよ!(1921年)」(抜粋)とパルハット・トルスン氏の詩2篇「ロプノール」「母語」が清水さんの絵と共に掲載されていたのですが、すごく刺さりました。
どちらも消えゆく母国の文化や民族に対する痛切なまでの思いが綴られていて…
ぜひ多くの人に読んでほしい本です。
ウイグルの詩や物語にも触れたいなと思いました。
ウイグルは狼にまつわる神話が多いそうで、とても興味深いし踏み躙られて欲しくない文化です。
踏み躙られていい文化など、そもそもないのですが…。
でも日本でウイグル人が書いた物語とか出版されているかどうかも分からないので、ちょっとその辺も調べてみたい。あったらぜひ読みたいのですが。 -
Twitter上で清水ともみさんの漫画を見かけたことがありましたが、他の方がウイグル関係の本をSNSで紹介されているのを見て手に取ってみました。最後まで読むのが本当に辛かった。強烈に感じたのは"民族浄化"という言葉の恐ろしさ。ウイグル人であるというだけで自らの母国語、文化、アイデンティティのすべてを奪われる理不尽さ。そしてこの中国の体制を世界が見逃し続けていたら、どんどん触手を伸ばす中国の魔の手は日本にも及ばないとは言えないと思い恐怖を感じます。自分が生きている間は大丈夫だったとしても、未来の子供たちは安心して日本に暮らし続けていけるだろうか?
こういった弾圧が100年も前から続いてきたことを知らなかった自分を恥じました。作中にも、「日本人として出来ることがあるか?」という問いに対して「この事実を広めてほしい」というウイグルの方の回答がありました。自分にできることなんてたかが知れているとは思うけど、日本でも遠くない国で、現在でもこんなにおぞましいことが行われていることを知っている人が増えてほしい。 -
漫画でわかりやすい。ただ、途中の歴史は理解することが出来ず、勉強不足を実感した。
ジェノサイド:ある人種・民族を計画的に絶滅させようとすること
無印良品などの大手企業で新疆ウイグル自治区の強制労働問題があることを知り、ウイグルについて興味を持っていた。
助けを求めることができない、助けを求めるような行動をすることで処刑されるかもしれない、そんな恐怖の中、日々を過ごしているウイグル人を思うととても心が痛む。
最近は新疆ウイグル自治区が注目されているけれど、知られていないだけで世界にはまだこのようなことがたくさんあるのではないかと思った。中国を擁護するつもりは無いけれど、中国だけがこのようなことをしているわけじゃないと思う。
現実を知り、賢い消費者にならなければならないと改めて思った。
「帰るべき故郷がある、守れる領土がある、母国語で話す、自由に仕事ができる、思ったとおりの発言ができる、国家が歌える、国旗があり公の場で振ることができる」ことの幸せを感じた。今の社会に不安はあるとはいえ、生まれ育ったこの日本が好きなんだなと。
難しいかもしれないけれど、ウイグル人が生まれ育った地で、ウイグル語を話し、心豊かに生活できることを願いたい。 -
ウイグル人を苦しめている問題が漫画と文章によりわかりやすく書かれた作品。
まず、その現実を知ること。知ったなら、それを広めていくこと。そして、共に声を上げること。
他にも出来ることはある。賢い消費者になることもその一つ。ウイグルに限らず、労働搾取の結果、安価で手に入れられる商品を買わないこと。なぜそんなに安いのか。どんな労働環境で作られているのか。それを知っていくことの重要性。
清水ともみさんの手によるあとがきの文に心を動かされる。
「真の豊かさとは、誰かの人生を踏みつけにした上で享受するものではないはずだ」
そして、ウイグルの人たちへの思いは、自分たちが当たり前のように享受している自由というもののありがたさを再認識させられる。日本という国、民族、言葉、それらを奪われないように、これからも守り続けていくことの重要性を改めて胸に刻みました。 -
恐ろしい事実を伝えようとする人たちを尊敬する。
文化大革命の成功という、歴史上の大失敗。穏健派の失脚。生きている人間からの臓器摘出や奴隷同様の労働搾取。恐ろしい事実は挙げればキリがない。
日本人であることが罪になるとしたら、私はどうやって無実を証明したら良いのか。考えると絶望してしまう。