狙撃手ミラの告白 (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ジャパン
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本棚登録 : 93
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596523181

感想・レビュー・書評

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  • やっとケイト・クインが読めました

    前々から気になる作家さんでしたがなかなか機会がなくってね〜

    はい、本作は誰もが知ってる第二次世界大戦下のソ連軍の伝説の女性狙撃手リュドミラ・パヴリチェンコを主人公に据え、その半生をケイト・クインの空想力を爆発させたフィクションで描くというものです
    もちろん実際の出来事や人物が土台となっています

    うーん、なかなか難しいのよね

    面白かったんだけどね
    すごーく面白かったんだけど
    やっぱり全編通して違和感がつきまとっちゃうのよね
    えーそんなわけないじゃんってなるのよ
    年寄りは頭固いんだわ

    フィクションや!言うとるやん最初から
    そんなわけないじゃんを書いてますよって宣言してるモノに対してそんなわけないじゃんって批判するなら最初から読むなや!って感じですよね

    冒険小説としてめちゃくちゃ完成度高いんよ
    それは間違いないのよ
    描かれるロマンスとかも最高なのよ
    でもまずリュドミラ・パヴリチェンコそんなことしてないよ〜って思っちゃうのよね

    だ〜か〜ら〜w

    いつか彼女の回顧録も読んでみようっと

    • おびのりさん
      なんか、1Qさん、最近コメント冴えてるよねえ。
      なんか、1Qさん、最近コメント冴えてるよねえ。
      2023/11/30
    • ひまわりめろんさん
      Σ(゚Д゚)
      Σ(゚Д゚)
      2023/11/30
    • 1Q84O1さん
      おびさん、ありがとうございまーす!w
      おびさん、ありがとうございまーす!w
      2023/11/30
  •  現在、現時点で、数少ない正統派冒険小説の担い手のトップ・ランナーは、間違いなくケイト・クインという女性作家である。印象的なヒロインと、緻密な考証に基づいて描かれるスケールの大きな戦争時代の冒険とロマン。かつての冒険小説のほとんどが男性作家であったことを思うと、今、この時代だからこそ、戦争の物語の渦中を駆け抜ける女性たちの存在が際立って見えてくる。

     現在の女性であったかもしれない過酷な戦争の時代を生きた女性たちの日々を、この作家はいつも活き活きと力強く描き切ってくれる。そして、ぼくのような男性読者であれ、戦争という最も過酷な状況を背景に、この作家が作品毎にこれでもか、これでもかと言わんばかりに叩きつけてくるストロングな女性の生き様にその都度、感動を覚えざるを得ない。

     本書では戦争中にソ連側の狙撃兵として300人以上のナチの兵士を射止めたと記録される実在の女性を描く。単独主人公としては本書が初だそうだが、やはりこの作家は主人公の周りに男女を問わず魅力的な個性を複数名配置して、ヒロインの人生に大きな影響を与えるというとても人間的な物語の進め方を得手とするらしく、本書でもぼくは印象的な数名のキャラクターの運命についてもヒロイン同様に動悸や興奮を抑えることができぬまま、物語世界にどっぷり浸かり込んでしまった。

     中でも舞台に加わった山の老猟師ヴァルタノフは印象的な存在であった。ナチによって全滅させられる猟師の経験と知恵とをヒロインが敬意とともに学び取ってゆく姿は、年齢の近い同僚や胞輩たちとの恋愛に近い友情とは別の何か生命力に繋がる糸であるようにも思われる。

     物語は1942年、第二次世界大戦の終戦が近づく時期、ワシントンDCに招かれたソ連軍の女性狙撃兵ミラことリュドミラ・パブリチェンコの登場に始まる。しかも彼女をつけ狙う謎の狙撃者の視線を通して。そしてその時代を遡ること5年、1937年にスタートするミラの過去とが交互に語られ展開してゆく。女性としての恋愛と結婚、そして十代での出産と夫との離別と軍隊での憎むべき再会。

     運命に翻弄される女性でありながら、誰よりも強く正確なスナイパーとして育ちつつ、惜しむべき同胞たちの死を体験させられる。残酷な死に囲まれながら自らも砲弾を浴び、さらに復活する志を持つまでの試練の時代。

     多くの世界、多くの時代が人間を消耗させ、そして別の人間を創出してゆく。そんな物語をこれまでの作品でも書き上げ、それでいて主人公の女性たちに高らかな賛歌を捧げてきたのがケイト・クインという著者である。物語力は秀逸だし、創り出される個性たちの魅力もまた、どの物語でも強烈である。毎年、一作、あまりに強烈で印象的な時代とそこに生きた女たち、男たちを描いて、今年も改めて愉しませて頂いた。

     知られざる狙撃者でありながら実在の人間であったことをここで物語られたミラという一女性の過酷な人生に、読者として少しでも近づき、寄り添うことができたことを心から幸せに思う。暴力を憎みながら銃を取らざるを得なかった時代の不幸を激しく憎悪しながら、だけれども。

  • 伝説のスナイパー、リュドミラ・パブリチェンコの戦争と、大統領暗殺の陰謀。

    リュドミラ・パヴリチェンコは独ソ戦を戦ったソ連の伝説的な女性スナイパーで、確認戦果309という脅威的な記録の持ち主です。そのリューダをモデルに、伝記的ながらサスペンスを織り交ぜた半フィクションに仕立ててあります。だいたい、前半2/3を戦記、後半1/3をサスペンスのフィクションという構成ですが、圧巻だったのは戦記の部分でした。リューダは回想録も出版しており、そこからの引用が多いので実際の出来事や登場人物を多用しつつ、戦争へと踏み込んでいく国と人々をとてもリアルに描いているのが印象的でした。特に開戦時、美しいオデッサの街がその後どうなっていくのか想像する場面や、最初のうちには狙撃対象を人として見ていて、スコアの数字にされるのを嫌悪していたリューダが戦場で失うものが増えていくにつれ、憎しみで人と認識されなくなっていく様子などはとても胸を打ちます。ウクライナは今でも戦火で、オデーサやセヴァストーポリが戦争で破壊されるのは何度目なのでしょう。読んでいてなんともやるせなくなります。
    もうひとつ印象的に描かれているのは、女性の立場についてで、これはソ連では男女平等とされているといいながらもそれは建前で、強い男性優位の社会の下であえぐ女性像とアメリカの女性像を対比させたり、ジェンダー目線がもうひとつのテーマなのだな、と感じました。
    リューダは晩年、アル中とPTSDに悩み、50代で亡くなりますが、その苦しみにも触れていて、彼女の人生を余すことなく容赦無く描いた感がありました。この作者は他にも戦争に生きる女性を題材に本を出しているので、色々読んでみたくなります。
    ところで後半のサスペンス部分については、まあ無くてもいいんじゃないかと思うくらいの重量感ではありました。
    逢坂さんの「同志少女よ敵を撃て」と一緒に楽しむと良いと思いました。テーマや舞台も重なります。

  • Review: 'The Diamond Eye' by Kate Quinn | Marie Claire
    https://www.marieclaire.com/culture/the-diamond-eye-book-review/

    Kate Quinn | Author of Historical Fiction
    https://www.katequinnauthor.com/

    狙撃手ミラの告白|ハーパーコリンズ・ジャパン
    https://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail/15097

  • ケイト・クイン作品初読み。逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」にも登場する実在の女性狙撃手・リュドミラ・パヴリチェンコ(ミラ)が主人公。
    史実をベースに創作も織り交ぜながら(著者あとがきより)、祖国の為に狙撃手として戦っていくミラのパートと1942年の訪米パートがそれぞれ描かれる。

    600pの厚さだが、先が気になって次へ次へと読んでしまった。訪米パートの“射手”はこの中の誰なのか?と思ったら、まさかの2段構えのラストで驚き、史実部分と創作部分を上手いこと利用して描いていておみごと。

    バディを組むことになる狙撃手・コスティアとの仲間とか恋愛とかだけではない絆も良かったが、訪米パートの大統領夫人・エレノア(エレノア・ルーズベルト)の立場や年齢関係ない優しさ、ミラとは異なる性質の精神的に自立した女性の強さ、「“ミスをしない”ことに縛られると、自分を傷つけることになる」とミラに静かに諭すシーン(p455)が良いなあ。

    史実物としてもエンタメとしても良かったし、本人の回顧録「最強の女性狙撃手―レーニン勲章を授与されたリュドミラの回想」と合わせて読むとより実在のリュドミラ、創作のリュドミラについて理解が深まると思う。

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    ●ナチス・ドイツを恐怖に陥れた伝説の女性スナイパー「リュドミラ・パヴリチェンコ」(GIGAZINE)
    https://gigazine.net/news/20180320-lyudmila-pavlichenko-female-sniper/

    ●「同志少女〜」を読み返すと、狙撃手がその後の人生を生きるにあたって「愛する人か、趣味、生きがいを持て」とリュドミラは語っている。自分は回顧録は未読なので、この言葉が史実なのか創作なのかは不明だが、復讐することを糧に戦ってきたセラフィマと、(教官になる以前は)祖国の為に戦ってきたリュドミラが重なってしっくりきたし、なるほどなと。

  • 虚実を取り混ぜて、うまく語ってる。

  • 読み物としては展開が速くて面白い。実在した人物だけどフィクションもおり混ざっているので、本人の自伝も読んでみたい。
    そして、この話の舞台が今のウクライナ。100年も経たないうちに同じ土地で、今度はロシアを相手に同じような戦争が繰り返されてる現実を思うと、ほんとに面白い本だったけど、ミラの考え方が良いのかどうか、わからない。

  • 第二次世界大戦で主戦場となったウクライナ。ロシア系の書物は名前も地名も読みづらく覚えにくくて苦労するのだけど、地名がすんなりと、地図さえ頭に浮かんできたのには苦笑。

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