シャーロック・ホームズの事件録 芸術家の血 (ハーパーBOOKS)

制作 : 日暮雅通 
  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
3.38
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本棚登録 : 99
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596550385

感想・レビュー・書評

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  •  読み手が(ドイルの原典を読んで)普段抱いているホームズ(とワトスン)像に拠って、好みが分かれそうな作品だと思いました。

     この話には訳者解説で言及されているように、取り扱う内容に児童虐待及び性愛等が含まれていたりアクションシーンが入っていたり等々「ドイルが書かなかった要素」がふんだんに取り入れられています。が、必ずしもその全てが良い方に作用しているかと言えば、少し微妙な印象を受けました(あくまで個人的になので、面白いと感じる人も沢山いると思います)。

     この「ドイルが書かなかった要素」を取り入れる代償として(特に序盤~中盤手前までの展開に)「ホームズってこんな人だったっけ?」と思えてしまう場面が散見され、それが気になって途中まであまり話に集中出来ませんでした。フランス人の探偵に(ある時は女性の存在を挟んで)異様に対抗心を燃やすホームズとか。
     「ドイルが書かなかっただけで本当はこういう人だったのかも知れない」という頭で読めばまた違った印象も抱けたのかも知れませんが、初見では難しかったです。「ホームズ(とワトスン)はこうあるべきだ」的な思考は持ち過ぎずに読んでいたつもりではあったのですが……。
     一方で従来通りのオーソドックスな(という表現も抽象的ではありますが)ホームズの姿で描かれている場面も多々あるので、全体的に何だかアンバランスな印象に……。他作品の名前を出すのも無粋ですが、いっそのことガイ・リッチー監督の映画版だったりBBC製作ドラマ版くらい大幅にアレンジを加えて、その中にキラリと光る「元ネタ」要素、という風にしてくれたほうが「こんな人だったっけ?」感は薄かったかも知れません。この辺りの捉え方も個々人の好みで変わってくる気がします。

     ホームズが対抗心を燃やす相手であるフランス人探偵ヴィドックも、探偵としての能力が然程具体的に描写されている訳でもないので何故ホームズがライバル視するかがあんまりよく分からなかったし、依頼人である美しき歌姫ラ・ヴィクトワールも事情は分かるけれど何だか都合のいい振る舞いをして二人の男(ホームズとヴィドック)をいいように自分の手元に引き寄せておいている感があって、序盤は読みながら若干のモヤモヤ感……物語の終盤付近、首謀者達に対して物怖じしなかったところは良かったとは思うのだけれども……。 特にヴィドックは立ち位置的に面白く描けそうなキャラクターだっただけに残念。ホームズ達の協力者となる医者の奥さんが冷静で有能な看護師さんだったので、オリジナルの登場人物回りだとこの人の描写が読んでいて気持ちいい印象は受けました。

     何となく面白いなと思ったのがワトスン君の描写。ドイルの作だとワトスンは淡々とホームズの行動を書き綴って、自分自身の感情等に関しては必要最低限の言及に留めていた印象があります。が、こちらのワトスンは自分の心の動きを結構多めに語っています。『緋色の研究』で「ブルの子犬を飼っている」と癇癪持ちであることを告げていた通り(?)、この話の中では機嫌を損ねたり怒ったりしている箇所が結構ある。一章に一回は怒っている(気がする)。こういう点は興味深かったです。本当によく怒っている。

     ワクワク感よりも違和感が先行してしまった序盤を抜け中盤(第六章あたり)に差し掛かると、事態も動き出してくるので段々と物語自体に集中出来るようになってきました。(中~終盤になるとヴィドックに対して燃やしていたホームズの対抗心の描写もほとんど無くなって、だったら序盤のアレは何だったんだろう……)中盤以降の展開は楽しめたし、そうなると色々と惜しい作品だったように思います。話の流れが分かった上でもう一度読めばまた違った印象を抱くかも知れません。

  • シャーロックホームズ好きすぎて友達や妹とよくホームズごっこしてる私にこの本はぴったりです笑

  • ドラマのシャーロックみたいなノリを感じる。ヴィドッグとかのキャラも勿体無い気がする。
    面白くないとまでは言わないがホームズ物としては何か違和感があった。

  • ホームズの設定に違和感。饒舌で感情むき出しで喋り過ぎな気がする。あまり物語に入り込めなかった。

  • 150

  • シャーロック・ホームズのパスティーシュ。

    ただし、原典というよりは、映画化されたホームズものっぽい雰囲気があるので、好き嫌いはあるかもです。
    私は、ホームズものとしてはあまり好きではない。
    ミステリとしてなら良い作品と思いました。

    なんというか、ホームズをもっと身近な存在に落とし込まれたみたいな感じなのに、やっていることはさらに破天荒というあたりが個人的にイヤだったのも。

  • 雰囲気は良かったですが、かなり映画っぽい感じ。これはこれで。

  • ホームズがパリに行ったり生死をさまよったりの冒険譚。謎部分より冒険部分に重心がありその点物足りなかったものの、ホームズってそもそもそういうものだったかも。ホームズはやはりパリよりロンドンのが似合ってる。

  • 前半は読むのがしんどくて、六部くらいから急転、という感じで読みふけった。パスティーシュとはいえ原作とはずいぶん雰囲気違うと感じたけど、読み終えて「面白かった!」と思えたのでそれでいい。
    私はホームズの映像作品にひとつも触れていないけど、各種見ている人が読むとまた違う感想なのかもしれないな、と謝辞を読んで感じた。(たぶん雰囲気が違うと感じたのもこのへんが原因なのかも)

  • ドイルの文章,内容の特徴をよくとらえて書かれているとは思う。
    もっとも,ドイル独特の雰囲気というか,暗い,陰鬱なもの,文章からただよってくる雰囲気のようなものが感じられず,妙に明るい文章で,ホームズものというには,若干違和感を感じた。
    ホームズ等登場人物のキャラクターを活かしきれていない印象。
    推理物としては,おそまつな感じだったが・・・
    ただ,ドイルは,推理物としてはいまいちでも,文章や作品の雰囲気と相まって,全体的に小説として楽しめるものだと思うので,そのような楽しみ方があまりないという意味で,本書はいまいちかな・・・

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