殺しの許可証(ライセンス) アンタッチャブル2

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108445

作品紹介・あらすじ

官邸のスキャンダルがらみで相次ぐ死者・・・公安の異端コンビ椿と宮澤が、「内調」の極秘組織の捜査に乗り出す。待望のシリーズ第2 弾!

感想・レビュー・書評

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  • 警視庁公安部の「アンタッチャブル」椿と、捜査一課からの落ちこぼれの宮澤が活躍する公安エンターテインメント第二弾。政府の関係者が立て続けに死亡する。椿は官邸に狙いを定め、内閣情報調査室の極秘組織に潜入した宮澤より情報を得て真相を探る。
    宮澤だけがまともで後は能力に秀で過ぎるというか、おかしいというか個性的な人ばかり。それが物語を面白くさせていて。彼らがドタバタに動き回り、笑いを振り撒けて、でも、なんと言っても圧倒的な存在の椿、椿に最後まで乗せられて最後まであっという間だったかな。ハイレベルな攻防なんだけど、シリアスさがなく、一定のおかしさのテンポで読み進められます。んー、馳さんが書いたとは思えない、ブラックコメディ。

    • ひとしさん
      ブレさんこんばんは!
      同じ頃に馳星周を読んでたんですね(笑)
      椿は気になるキャラクターですが、馳星周らしさは無さそうですね。
      ブレさんこんばんは!
      同じ頃に馳星周を読んでたんですね(笑)
      椿は気になるキャラクターですが、馳星周らしさは無さそうですね。
      2020/02/10
  • 1作目のインパクトが強かったので違和感が無く読めました。
    このままシリーズは続くのかな。
    意外性のネタも無くなった気がするけど。
    次が読んでみたいですね。

  • 警視庁公安部が舞台のブラックストーリー。
    内容は勿論面白い!が物語にでてくる総理や、そ
    の周辺の政治家や官僚の情けなさ、無能さがまさにコロナ問題の現在日本そのままで本編以外でも楽しめる。出版日は2019年11月だから今読むとまるで未来予想の様に政権の腐敗を予見した本だ。

  •  馳星周も円熟期を迎えてか、奥田英朗や海堂尊のようなコメディ・ミステリも書くようになってきた。しかも内容とエンターテインメント性をたっぷりと備えて。本書は最近の馳星周の代表格ともなってきそうなアンタッチャブル・シリーズの第二作。

     作家になって間もなくの頃、章立てまで含めたプロットを念入りに作ってからでないととても小説を書けないと、当人から耳にして驚いたことがある。一見、ちゃらんぽらんな兄ちゃんにしか見えないこの人が(失礼)、実は準備に時間をかけてから一気に書く、という人だったのである。思えば、彼はヴァクスやエルロイなどのノワールが好きで、中でもヴァクスの作品主人公無免許探偵バークを、「あいつはへなちょこだからよいんだよ。へなちょこだからいつも生き残れるんだよ」と言っていた。馳本人も自分をへなちょこで臆病だから、プロットを作らないで書くなんて度胸はとてもないんだ、と。

     だから彼の作品は念入りに構成され、ストーリーは練りに練られているものが多い。書いているうちに勢い余ってプロットからはみ出すことだってありそうだが、果たしてあれから30年近く経過した今、ベテラン作家の名をほしいままにしている馳星周がどのような心境と方法とでこのような新たな地平を創作世界に展開しているのかその舞台裏はわからない。

     さて、本書、雑誌連載後数年を経過している割には、なぜか現代の日本の抱える問題、まるで映画『新聞記者』のような題材をストレートに抉っている。現政権の愚かな広報活動、内調の暗躍、公安の怪しさ、そうしたものを真向パロっているのだ。笑えるコメディでありながら、そのブラックなパロディ部分は、もしかしたらヴェトナム戦争真っ只中のアメリカで映画や小説を席巻したあのブラックなパロディ文化と共通するものなのかもしれない。

     危機的状況すら感じられる長期政権や、もはや死に体としか言い得ない国内メディア、それを他人事のように諦観し選挙などはなから見向きもしない多くの国民たち。現在の日本が陥っている袋小路のようなこの閉塞感を、ブラックなパロディ小説という劇薬に込めて社会に放った、これは作家なりの精一杯の態度なのかもしれない。

     馳星周は自分で言うほどへなちょこではなく、ガツンと一本の芯の通った男である。日高育ちの若年の頃から早々と自立して、実は東京は新宿のゴールデン街でのし上がった男なのだ。

     さて本書は、官邸が政敵を暗殺しているという情報を探るため、主人公宮澤が内調に潜入捜査する物語である。捜査一課から公安のアンタッチャブル椿の元で日々辛酸を舐めさせられた主人公宮澤だけが、まともな人間で、他は誰をとっても個性の塊であり、かなり一般からはかけ離れた凄いキャラクターばかりである。

     事実上の主人公ともいえる大富豪椿家の坊ちゃま、警察トップを狙える立場にもあるその父親やコミカルな執事、宮澤の多情すぎる婚約相手、やその異常なる家族たち。宮澤以外はすべてオリジナリティ溢れる、しかも魅力的なキャラばかりである。彼らと、「正常な」宮澤との感覚のずれが各所で笑いを引き起こしつつ、ブラック極まなりない丁々発止を引き起こす。それも大スケールで。

     分厚いソフトカバーだが、思いのほかのページターナーで、あっという間に読了してしまう。かつてのノワールに捉われずとも馳星周は脱皮している。円熟味を増したこの作家の新たなテイストを是非ご賞味あれ。

  • いきなり2から読んでしまった。
    アンタッチャブルを読まないと人間関係がよくわからない。
    馳星周の追い掛けられ得るスリルを期待していたらそれはなかった。

  • 楡修平の次に読了したのがこの本。
    好き嫌いの差はあるが、やはり馳星周の方がいい。
    馳の本も何冊か読んだが、こんなにコミックっぽいのは初めて。
    最近のハッカーたちの技術?がどこまで進んでいるのかは知る由もないが、この本に登場するハッカーたちのレベルまで進んでいるのだとすると、空恐ろしい!

  • 宮澤が、離婚したことを認めない伝説のアンタッチャブルに翻弄され続けっぱなしで終わる物語。
    馳星周だからかな、結末はなんだかよくわからない形で終わってるので、そりゃないよって気持ちなんだけど、それはそれで、話としては面白くてあっという間に読み終わってしまった…

  • 楽しかった。

  • 面白かった

  • おもしろい
    不正な官邸にひと泡吹かせてくれて気持ちいい
    安倍総理と菅官房長官の時期に書かれた
    官邸がらみの内密な殺しの事件簿だ

    森友・加計問題を想像させる国会での追及で周辺のキーマンが何人か死んでいる
    死因は様々だ
    それまでも官邸に都合の悪い者は、総理と官房長官の時期にはすでに何人もいなくなっている

    公安で アンタッチャブル ( 誰にも指図されない特別な存在 )を自称する男の部下に捜査一課から転属になった男が目にするのは、驚くことばかり

    とにかくこの公安の上司のキャラクターがおもしろい
    公安の凄腕で、その父は元外交官のキャリア官僚、田園調布の豪邸に住む、体はデカいのに父をパパと呼び警視総監は父の後輩だから ちゃん付けで呼ぶ、そして伝説の元ハッカー、極秘捜査にITスキルを内緒で使い盗聴でもスマホ端末でも外部・内部データのハッキングも違法行為も極秘でなんでも自由に進める
    父親の権威と人脈もどんどん利用しちゃう

    総理の指示で、新設学園問題に関与した官僚の口封じのため殺害が計画されるが、これを阻止してついでに官邸の体制そのものを打ち壊そうと上司と部下の2人が動く

    情報戦もある おもしろいところだ

    そして上司は総理の指示で動いた実行部隊を逆手に取って、指示した総理の息の根を狙うかのように動く
    部下はさすがに総理暗殺は止めようと対抗するが、上司の段取りには歯が立たない
    しかも息を引き取るのは、幼稚な総理ではなく官邸を支えている官房長官だった
    証拠などは残さない

    現実には総理が病気を理由に退陣し官房長官が後を引き継いだ
    そして元総理の殺害は2022年になってやっと実行された
    出てきた膿は、一部の宗教との癒着の問題だけだ
    現実の話しはもの足りない
    展開が傍目にもイライラするほど遅い そしてうやむやになる
    桜を観る会やら、森加計、その周囲で自殺されたり消されたりした人がいる中で、政府の不正を誰も正してくれていない

    この小説では、警察組織の体制も含め、安定政権の中で行われる邪魔者の排除、殺害などの不正は、この時期に官房長官を消しておけば、少なくとも警察組織と内閣府調査室の軌道修正はできたことになる

    まさに安倍晋三 元総理の殺害が2019年には、こうして小説のネタになっていたこと自体 とてもおもしろい

    まぁ 笑える文体で色々な楽しみを散りばめてくれている
    この部下が結婚したい相手の父親は交通事故で植物人間になりながらも奇跡的に回復したが、人間が変わってしまったように、エロ爺いになってしまったと言うのもまた笑える部分だ
    この ジジイのする事、言う事がやたらエロいうえに、娘も 身体が求めてるのと常にストレートに迫ってくる
    このエロ話しのやりとりも、やたらおもしろい

    なんとこの爺い 日本人でありながら極秘の元CIA工作員だったから、公安や警察、官邸を相手に活躍できちゃう
    幾重にも笑える設定で創作されていておもしろいし、官邸の不正を突いていて溜飲がさがる楽しさがある

    国民を無視した政権の不正を、もっともっと いじってやって欲しい と思える小説でした

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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