- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620108582
感想・レビュー・書評
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毎日小学生新聞連載の単行本化。
ノレノレは「ノーレイン・ノーレインボー進学教室」の略。『雨がなければ、虹はない』というハワイのことわざが由来だとのこと。
出来過ぎ感もあるけれど、違和感も感じながら親の考えたレールに乗っかっていた主人公が、塾でいろいろな子に出会って変わっていったところはよかったと思います。
塾には否定的な考えを持っていましたが、これだけ子どもが将来のことを考えて通うなら、お金をかける価値はあるのかな、とも。
「ノレノレかるた」も、五十音分(46文字)作られていてなかなか面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
進学塾ノレノレ(ノーレイン・ノーレインボー)の中学受験コースで仲良くなった小春と英(ハナ)
塾ではいつも成績が同じくらいでお隣同士の二人。
ある日、二人は卒塾制作としてかるたを作ろうと思いつく、絵を描くのが好きな小春が取り札を描き、国語が得意な英が川柳を付ける。
週三回夕方からのクラスメイト
好きな色に出会いたいんだ十校十色
消しゴムで問題用紙破れるし
チャンティッね背筋が伸びる呪文です(チャンティッ=可愛い・綺麗(インドネシア語)塾の同級生でムスリムの子がいて、中学生になったらヒジャブを被るという話が出てくる。リマ・トゥジュを思い出す)
ハルがきてハナれてたって一蓮托生
小学生が中学受験や塾での出来事を通して自分の将来を考えていくという
気持ちが暖かくなる話だった。 -
「ノレノレ」という受験塾に通う小春と英。二人が卒塾制作としてカルタを作る。
受験生それぞれに受験校や将来への思いがあって、家庭の違いがあって、それを自然に感じながら自分の将来を決めていくまで。自分が中学受験するとき、ここまでいろんなことを考えて過ごしていたかしら、と恥ずかしくなった笑
最後にカルタ完成していて、ちゃんと載っていてそれも良かった。 -
中学受験のため“ノレノレ”という塾に通う6年生の小春(こはる)
気の合う英(はな)といっしょに卒塾の記念にかるたをつくることにする
昨日よりがんばる小春にサクラサク
好きな色に出会いたいんだ十校十色
小春が絵札、英が読み札を担当して進むかるたづくりだったが……
〈中学受験 わたしたちがここにいた証〉──帯の紹介文
『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』で第58回(2017年)講談社児童文学新人賞を受賞、第2作『ハジメテヒラク』で第54回(2021年)日本児童文学者協会新人賞を受賞した著者の第4作、2022年7月刊
「毎日小学生新聞」に連載(2020年12月2日〜2021年3月12日)した「2×46」を改題して単行本化
コロナ第3波、2度目の緊急事態宣言と同時進行で連載されたこの小説が、このときの中学受験生たちに力を与えたにちがいない
巻末収録の「ノレノレかるた」46文字分から秀句選
週三回夕方からのクラスメイト
そばにいて受験の神様今すぐに!
つるかめ算 カメの速さでしか解けない
ラッキー♪ 三分前に覚えた漢字
んなことは分かってるもん「宿題やりな」
ちなみに“ノレノレ”はハワイのことざわからとった「ノーレイン・ノーレインボー進学教室」の愛称
雨のあとに出た虹のようにさわやかで晴れやかな友情物語 -
友人とノレノレかるたを作るという発想が面白い。今作にはムスリムの少女が出てくる。作者の作品には必ずと言っていいほど、他文化育ちの登場人物が出てくるような気がする。そこに何かの意図を落とし込んでいるのだろうか。
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「
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児童書。
中学受験を目指す二人が、卒塾前にかるた作りを始めるお話。
受験勉強が忙しい時にかるた作り?というのは、置いておいて…学校とは違う所に親友がいるっていいなと思う。
ノレノレのみんなが親に決められた進路ではなく、自分の好きな事やりたい事ができる学校を選んでいるところがよかった。 -
立松小春と三津原英(はな)の二人は、別々の小学校に通い目指す中学校も違うが、ノーレイン・ノーレインボー進学教室(略してノレノレ)で出会った無二の親友だ。二人は、小春がパパの要らなくなった名刺の裏に先生や塾生の絵を描き、英がそれに川柳風のキャッチフレーズをつける遊びを始める。そして絵札と読み札を分けて「ノレノレかるた」と名付け、卒業制作ならぬ「卒塾制作」とすることを思いつく。成績トップの市井くんの夢、ムスリムの衣南(いな)ちゃんの夢に触れ、いろいろな出来事を取り込みながら卒塾制作は順調に進む。しかし、小春本人に思いもかけぬ出来事が起こり、卒塾制作は完成一歩手前で頓挫してしまう。小春の中学受験はどうなるのか、そして「ノレノレかるた」は完成するのか?思えば、小学生の頃はこどもゆえにどうにもならないことに振り回されながら、こどもなりにいろいろな想いで生きていた気がする。そして、その都度あちこちに「卒塾制作」のような想いの欠片を残してきたはずだ。そんなことを思い出させてくれて、こどもたちのことを応援したくなる作品である。