- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620320434
作品紹介・あらすじ
一九六五年九月二十三日。大森実は、西側記者として初めてベトナム戦争下のハノイに入った。世界的な快挙の後に待ち受けていたのは、その報道を批判するアメリカとの闘いであった-。「エンピツ一本」。現場にこだわり、アメリカに真っ向勝負を挑んだ国際ジャーナリストの実像に迫る。渾身のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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アメリカ時間2010年3月25日、ロサンゼルスの病院でひとりの
ジャーナリストがこの世を去った。
大森実、毎日新聞の元外報部長である。
アメリカ軍は北ベトナムのハンセン病院を爆撃した。ベトナム戦争当時、
西側の記者として初めて北ベトナムを取材した大森が書いた記事が
アメリカの癇に障った。
日本生まれで日本人の伴侶を持つ知日家であり、当時の駐日アメリカ
大使だったライシャワーが行った記者会見で大森は名指しで批判される。
「泥と炎のインドシナ」と題した連載の陣頭指揮を執っていた大森は、
ライシャワーのこの批判が原因となり毎日新聞を退社することになる。
本書は、著者が名指し批判の原因となったハンセン病院への爆撃が
本当に行われたのかの検証の旅から始まり、大森実のジャーナリスト
としての軌跡を追っている。
この検証の旅と、大森が影響を受けたというアメリカ人ジャーナリスト、
ニール・シーハンへのインタビューが興味深い。そして、著者自身が
特派員として実際に体験した湾岸戦争とイラク戦争をベトナム戦争と
対比させている。
アメリカがベトナムで行ったことは、その後の他国での戦争でも同じことを
繰り返すことの原因となる。
人はイデオロギーのみで戦うのではない。民族の独立を勝ち取る為に
戦うのだ。何度戦争をしたら、アメリカはそれを理解出来るのだろうか。
「アメリカはこんなことをしちゃいけない」。ベトナム戦争への大森の思いは、
特派員として、支局長として現実のアメリカと向き合って愛したからこその
批判だった。
しかし大森実という人の持っていた人脈は凄いな。スカルノ大統領に
シアヌーク国王だもんな。自称・国際ジャーナリストのノビー(注:落合
信彦)は恥じなさいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示