第三者委員会は企業を変えられるか -九州電力「やらせメール」問題の深層-

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620320991

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  • 九州電力「やらせメール」問題の深層という副題が示すとおり、九州電力の玄海原子力発電所の運転再開をめぐるメール問題などを調査した第三者委員会委員長が書き綴った詳細な調査にかかわる人間模様である。

    また、最近の組織の不祥事で設置された第三者委員会と九州電力との対比も書かれている。

    あとがきでは、検察という組織が「組織としての一体性」が崩壊し、統制が働かなくなっているとの指摘もある。

    人間社会は、多様なステークホルダーの調和により成り立っている。

    なかんずく、公益という価値に携わる組織においては、高邁な理念哲学を保有するトップの存在が重要である。

    プリンシプル、プリミティブな正義感、ノブレスオブリッジな態度でガバナンスしなくてはならない。

    その態度を見て、組織員全体のモラルが保たれ、外部のステークホルダーにもいい影響を与えられるというものだ。

    しかしながら、人間というものは、ふとしたことがきっかけで不祥事を起こしてしまうものであり、そういうことも惹起してしまうという前提で、色んな制度設計をしていかなければならない。

    第三者委員会の適切な運営をできる資質を備えた人材の育成・確保も人間社会にとって大切なことである。

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著者プロフィール

桐蔭横浜大学法科大学院教授。弁護士。1955年生まれ。1977年東京大学理学部卒業。1983年検事任官。東京地検検事、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2005年桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター長に就任。2006年検事退官、弁護士登録。警察大学校専門講師、防衛省や国土交通省の公正入札調査会議委員なども務める。不二家信頼回復対策会議議長などとして多数の企業の危機管理対応に関与。(株)IHI社外監査役も務める。著書に『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書、2007年)、『入札関連犯罪の理論と実務』(東京法令出版、2006年)などがある。

「2009年 『証券市場の未来を考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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