存在から発展へ―物理科学における時間と多様性

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622025429

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  • プリゴジン/スタンジュールの「混沌からの秩序」を読んで、大きな知的な刺激を受けたので、続編のこちらも読んでみる。

    日本語タイトルは、「存在から発展へ」であるが、原題は、"from being to becoming"である。

    「発展」というより「生成」みたいなほうが、よいのではないかな。というのは、西洋哲学かぶれの言葉の好みではなくて、この本の主張にもマッチしていると思うから。

    古典力学のなかにもある不確実性、量子力学のなかにある不確実性(と同様に存在する古典的な確実性をベースとした論理)からはじまり、熱力学の第2法則や複雑系的な確率論的な記述に話は進むなかで、著者は、次のように主張する。

    「古典的な順序は、まず粒子があり次に第2法則がくる - 発展のまえに存在がある! というものであった。素粒子のレベルに達するともはやそうではなくなる可能性がある。それは存在の前に発展があることを意味するのだろうか。」

    物理学に疎い文系の人間としては、思わず、「そうである」と根拠なしに、強くうなずいてしまうのであった。

    が、分かって、賛同しているわけでは、勿論、ない。

    そうなのだ、この本、数式がいっぱい書いてあるし、知らない物理学の定理があまり説明なしにどんどん出てくるので、文系的には厳しい本なのだ。

    その点、科学史家のスタンジュールとの共著「混沌からの秩序」のほうが、文系には読みやすいだろう。一方、理系の人にとっては、こちらのほうが、ストレートに著者の問題意識に近づけるかもしれないな。

    で、著者の問題意識とは、「時間は実在するか」である。

    お値段が高いし、難しいけど、トライする価値のある本である。(私は、中古でかって、数式を飛ばしながら、斜め読みしたけど。。。。)

  • プリゴジンの中でも結構よみにくい。。。

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著者プロフィール

1917-2003。モスクワに生まれる。ブリュッセル自由大学卒業。ブリュッセル自由大学物理化学科教授、ソルヴェー国際物理化学研究所長、テキサス大学統計力学・熱力学研究センター所長を歴任する。非平衡熱力学、特に散逸構造理論への貢献によって、1977年ノーベル化学賞受賞。著書『構造・安定性・ゆらぎ』(グランスドルフと共著、みすず書房、1977)『散逸構造』(ニコリスと共著、岩波書店、1980)『存在から発展へ』(みすず書房、1984)『混沌からの秩序』(スタンジェールと共著、みすず書房、1987)『複雑性の探究』(ニコリスと共著、みすず書房、1993)『確実性の終焉』(みすず書房、1997)ほか。

「2019年 『存在から発展へ 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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