- Amazon.co.jp ・本 (60ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622041245
感想・レビュー・書評
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赤ずきんだけでなく黄色ずきん白ずきんばら色ずきんと続きます〜いろんなずきんのお話が始まり始まり。
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子供の頃に出会っておきたかった
その一言に尽きる -
「赤ずきんしかいないの?」というお孫さんたちの問いかけに答えようとした精神科医エランベルジェによる童話。登場する思春期の子どもたちは大人の狡さ、死、性、民族差別などを知り、自らも大人になっていきます。
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エランベルジェは著作集が出ていますが、中井久夫さんが翻訳、紹介者といっていい人だと思います。フランスの精神科医ですね。そのエランベルジェの童話に中井久夫さんが「挿絵」をつけて翻訳し、日本の子供たちに読める絵本になさった本です。
巻末には丁寧な解説も書いておられますが、その解説で、大人が読むことも勧めておられます。子供の目から見た大人のすがたの移り変わりが、子供の成長と深くつながっているという言葉には、ハッとさせられるものがありました。ブログにも書きました。よろしければどうぞ。https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202001300000/ -
【あらすじ】
「いろいろずきん」のずきんちゃんは、思い切った行動、けなげな行動、迷った行動、迷い入った世界での行動、そういう体験をつうじて、自分を知り、大人を知って、大人になってゆきます。また、「いろいろずきん」は、子どもの目に映る大人のすがたが成長につれて変わる物語でもあります。これは、子どもによる「大人の発見」の本です。
【感想】
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あれ?精神科医の中井久夫さんが翻訳してる絵本?
え?画も中井さんが書いているの?
と、ブックオフで衝動買い。
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中井久夫さんは1934年生まれ、2017年現在82歳だそうです。
精神科医さん。
なんですが、ある時期以降、地味で真面目な出版社を中心にして、専門書だけではなくエッセイみたいなものも多数書かれています。
この「いろいろずきん」という本は、絵本と言えなくもないけれど、活字量が多いので、まあ「児童書」というべきか。60ページ。
みすず書房さんから出てるので、多分、中井さんが出したかった本なんでしょうね。
エランベルジュさん(1905−1993)、という、欧州の精神科医さんが書かれたんだそうです。
「赤ずきんちゃんは有名だけど、ほかの色のずきんちゃんはいないの?」
という導入から、黄色・白・バラ色・青・緑、という5色のずきんちゃん、五人の少女の物語が語られます。
巻末に中井さんが丁寧な解説を書かれていて、「なるほどなあ」と納得。つまりどれも、「児童心理」みたいなものを考察している内容になっている。
(そういう意味ではちょっと、「テーマ落ち」みたいな感じはありますけれど)
全編を通して、少女たちは日常からはみ出る、興奮と興味と恐怖の冒険に出撃していくことが多い。
大人の思惑を超えた視野と感性で、大人の世界を裏側からまくるような素敵な発想。
どこか、ジブリの「千と千尋の神隠し」のような味わい。
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そして、何より中井さんの画が、素敵!かわいい!
というのが一番大きな発見の喜びでした。
ほかにも絵本、書いてはるんだったら読んでみたいなあ。
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以下、備忘録。
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黄色ずきんちゃん。
かえるを拉致?して飼うけれど、うまくいかずに、自分の傲慢さを反省。
やがて、くじ引き?懸賞?で、象さんがあたります。
親が反対するけれど、象さんと仲良しになって、一緒に暮らす…
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バラ色ずきんちゃん。
おかあさんが病気。
頭の硬い医師が反対するけれど、ずきんちゃんはバラの花を病室に飾って、お母さんが奇跡的に治癒する。
それと、狼の子育ての話が平行する。
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白ずきんちゃん。
サンタクロースへの興味から「北極の果ての精霊?に会いたい」と思うずきんちゃん。
導きがあって北極へ。
氷と雪の世界で大冒険。
なんとか日常に戻ってこれたけど、大人たちは信じてくれません。
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青ずきんちゃん。
海の冒険に憧れて、素敵な夢のような島へ勝手に船出。
なんだけど、天国のような暮らしにすぐ飽きてしまって。
なんとか日常に戻ってきます。
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緑ずきんちゃん。
森のそばで暮らすずきんちゃん。
大人がタブー視する森の中へ、猫を追いかけて入ってしまう。
大人たちが偏見をもっている森のさまざまな生き物。
猫の集会。
虐げられたこびとたち。
「もう二度と戻れない」と言われるけど、森の王様(大樹)の寛大な処置で、戻ってこれた。 -
おうちに届いて早速読みました。
中井先生が関わっておられることから、
きっとそういうことなんだと思いながら読んだ。
そう思わずに読んでみたかった、とも思う。
何だかよく消化できてない。
あたしが捻じ曲がった子どもだからか、
わからずやの大人になってしまったからか。
「絵は主人公の目から見たように」
中井先生のその言葉に集約される気がする。