日本のルィセンコ論争 (みすずライブラリー)

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  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622050124

感想・レビュー・書評

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  • (推薦者からのコメント)「ルイセンコ主義」と「原発安全神話」は同じ構造(つまり、政治的正しさが科学的知見の実証に有効であるとする考え方)にあると思うので参考に読んでみたい。

  • 農業の急速な集団化を背景にルィセンコのジャガイモ萎縮病防止法が35年の「集団農場突撃労働者第二大会」で支持を得、その基礎となった彼の獲得形質遺伝学説が‘イデオロギー闘争’に勝利しスターリンの後ろ盾を得て急速に勢力を獲得し、バビロフを初めとしたメンデル・モルガンの正統派遺伝学者を観念的・機械的・ブルジョワ的だとして駆逐、ソ連の主流になる。その獲得形質遺伝論争が戦前から戦後50年代初めまで日本の生物学界および農法において巻き起こした論争とその影響を中心にして細かに追っている。少なくとも当時の生物学の発展レベルからすれば、ルィセンコ説をひとつの学説として政治的な要素を混入させずに実験という実証手段によって検討することで生物学に寄与できたかもしれないものを、ルィセンコ、ソ連支持者はもとより、正統遺伝学者も反共を背景に態度を硬化させてその機会を逸してしまったことなどを指摘している。ルィセンコ式のヤロビ農法を採用し、日本共産党51年綱領に基づいて農村に分け入ってこの農法を適用したものの、貧農には役に立たないことが判明してしまったところなど今の北朝鮮と同じことやってたんだなーと面白かった。

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著者プロフィール

1932年東京都に生まれる。都立大学理学部卒。1967年から立正大学教養部勤務、講師、助教授、教授を経て、95年から仏教学部教授、02年から立正大学名誉教授。著書に『日本動物民俗誌』『河童の日本史』『狐の日本史 古代・中世篇』『狐の日本史 近世・近代篇』『狸とその世界』『魔女と科学者その他』『日本のルィセンコ論争』『胞衣の生命』ほか多数。

「2006年 『日本人の動物観 変身譚の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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