- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622075530
作品紹介・あらすじ
舞台はハンセン病隔離の島。「支配と服従」の関係にとらわれてしまう人間の普遍的な物語として、韓国で百刷を超えて読み継がれてきた、実話に基づく傑作長編小説。
感想・レビュー・書評
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小説とは人間という存在についての洞察であり、思考実験でもあるのだ、ということを思い出させる作品。凄まじかった。
チョ院長とファン長老の言う「信」と「愛」は私にはまだいまいちわからなくて、とにかくサンウクが手紙の中で訴えた「自由」に圧倒的に説得された。「大審問官」に匹敵するインパクトのある手紙だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あなたたちの天国
原題:당신들의 천국 (1976)
著者 李清俊[이청준](1939-2008)
訳者 姜信子(1961-)
カバー画 趙昌源「霊魂の歌」(国立ハンセン病資料館蔵)
【書誌情報】
四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/448頁
定価 4,104円(本体3,800円)
ISBN 978-4-622-07553-0 C0097
2010年10月19日発行
韓国南西部に実在するハンセン病隔離の島・小鹿島(ソロクト)。植民地時代、日本の政策によって強制収容された人々が過酷な労働や断種手術を強いられた歴史をもつ。
戦後、1960年代初頭の軍政下に、この島の病院長として赴任した現役軍人の趙白憲(チョ・ベクホン)は、「楽園づくり」を開始する。患者たちが自立した生活を送れるよう、自分たちの手で海を堰き止めて農地をつくるという壮大な計画だ。
この島では《自由》が何より希求されてきたが、自由には疑いと憎しみと裏切りがついてまわる。住民総出で石をかついで海に投げ込む作業をどれほど続けても、先が見えず、不信が渦巻く。
島の長老の言う「自由より貴いもの、愛」は、いつの日にか実現するのか。はたして陸地は現われるのか──。
伝統芸能パンソリの旅芸人を描く林権澤監督の大ヒット映画「風の丘を越えて」の原作者・李清俊の代表作となった長編小説。
<http://www.msz.co.jp/book/detail/07553.html>
【目次】
目次
地図
第一部 001
死者の島 002
楽園と銅像 077
第二部
出小鹿記 160
裏切り 1 240
裏切り 2 293
第三部
天国の囲い 338
訳者あとがきにかえて──「未来の故郷」への脱出行、そして「問いの島」へ(二〇一〇年 夏 横浜の小さな島にて 姜信子) [422-439]