日本の200年[新版] 上―― 徳川時代から現代まで

  • みすず書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622076964

感想・レビュー・書評

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  • 英語圏の日本研究者のための日本史教科書邦訳版。
    徳川幕府末期から現在までを日本の元号や戦前戦後の区切りではなく、世界史とも連動した時代の区切りで整理してある。

    国の正統な君主は天皇であるとする国学的な流れから見れば、明治維新は区切りではなく、明治以降の「天皇民主主義」と徳川時代は思想的につながっている。

    訳者あとがきにあるとおり、「日本の特殊性」について述べるのではなく、「近代の特殊性」を述べている。どの国にも似たような状況がある。

    著者は労働運動史が専門でもあるので、マクロな金融・産業状況から行政・企業・労働者の選択、行動などのミクロな動きも時代に沿って追いかけられる。

    特徴的なのは、どの時代も、女性の生活やフェミニズム的な運動、女性に対する抑圧にも非常に目配りが行き届いていること。そのような目線で見れば、男は外で働き女が家を守るというジェンダーが事実として続いているもの何でもなく、江戸しぐさと同じような、後から振り返ってつくられた伝統、規範だということがわかる。

    バブル崩壊以降の直近20年くらいでは、なぜ首相の靖国参拝がダメなのか他、アジアから今日本はどう見えるのかという視点が得られて有益。

    高校生になったら読むべき上下2冊。

  • 2020.06―読了

  • GA2a

  • 米国の日本史研究者による、1800年頃から21世紀初頭までの日本の近現代史。上巻は、太平洋戦争突入前の国内・対外政治情勢までを描いている。

    本書は、専門家の間でも評価が大きく別れており、我々自身がきちんと自己評価出来ていない日本の近現代史を、外国人研究者の比較的ニュートラルで冷静な視点をもって描いているので、読んでいて安定感・安心感がある。また、世界史の大きな動きの中で日本を捉えている(世界共通の動きとして捉えられる部分と、日本にユニークな部分を分析している)点でも、通史として優れていると感じる。

  • 外国人からみた日本の歴史。
    難しい本だけど、今まで知らなかったことも書かれてたので結構面白く読めた。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:210.58//G67//1

  • 『新しい歴史教科書を作る会(作る会)』がレイシスト集団『在日特権を許さない市民の会(在特会)』と一緒に 「捏造!従軍慰安婦」展なるパネル展の協賛団体に名を連ねているぞ。いいのかこれ?

    http://myosaka.blog.fc2.com/blog-entry-592.html

    というニュースを拝見したので、レビューというよりも、読んで感じたことについて少々。


    ちょうど、A・ゴードン『新版 日本の200年』(みすず書房 http://www.msz.co.jp/news/topics/07696;07697.html )を読み終えたせいかもしれないが、ユニークさを強調するあまり、他の時代や地域の人々と全く関係がないと「錯覚」して「自尊」することはかえってユニークさを損なうことになるのでは。

    そして思い返すのは、やはりゲーテの言葉。「個々の人間、個々の民族の特性をそのまま認めながらも、真に誉むべきものは全人類に属することによってこそきわだつのだという確信を失わぬようにしてこそ、真に普遍的な寛容の精神が最も確実に得られる」、ゲーテ(小栗浩訳)「文学論・芸術論」『世界の名著38』中央公論社、1979年。

    A・ゴードン『新版 日本の200年』(みすず書房)。鎖国徳川時代ですら、諸外国との交流の中でその政治史、社会史、経済史、文化史が形成されてきた。近代日本200年の歩みとは広汎な世界の近現代史と密接不可分である。普遍と個別は「相互連関性」によって成立する。経緯を振り返る新しい視座。


    で……、そのA.ゴードン『日本の200年』みすず書房「日本語版へのまえがき」で興味深いをことを書いているのでご紹介。1990年代の末、アメリカのアジア学会の会員に「新しい歴史教科書を作る会」からパンフレットが送られてきたそうな。

    いわく「それぞれの国は他の国々とは異なる独自の歴史認識をもっている。さまざまな国が歴史認識を共有することは不可能である」。はたしてそうか。共通了解を目指すことの重要性は、すべからく同じだと主張することとは違う。A.ゴードン『日本の200年』みすず書房「日本語版へのまえがき」

    ユニークさを強調し神秘主義に傾くのでも、うすっぺらい作業仮設を設定することでもない。大切なことは、一見すると固有の神秘的な本質に見えることが、どのように循環し、変遷をとげたかを跡づけるということが歴史家の責務ではないかという話。その意味で、歴史修正主義は閉じた社会の独言か。

    ともあれ、日本人の研究者であっても、200年とはいえ、通史を著わすことに躊躇する現在。A.ゴードン『日本の200年』みすず書房は、おすすめです。ちなみに旧版(2008年以降の経緯の増補前)の書評。http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/ss/sansharonshu/442pdf/04-01.pdf 『立命館産業社会論集』 44巻2号。

  • 『ミシンと日本の近代』『日本の200年』のA・ゴードン来日シンポジウム

    『ミシンと日本の近代――消費者の創出』(近刊)『日本の200年――徳川時代から現代まで』[新版]上・下(4月刊)の著者、アンドルー・ゴードン教授(ハーヴァード大学)を講師に招き、昭和女子大学主催シンポジウム「「カーネーション」とその時代――ミシンが変えた女性の暮らし」がつぎのように開かれます。

    日時  2013年8月3日(土)13:30-16:00
    場所  昭和女子大学 オーロラホール(80年館6F)
    講師  アンドルー・ゴードン〈ハーヴァード大学教授〉
    シンポジスト
    コシノヒロコ〈ファッションデザイナー〉
    城谷厚司〈NHK大阪放送局制作部ドラマ班チーフ・プロデューサー〉
    吉見俊哉〈東京大学教授・副学長〉
    コーディネーター  坂東眞理子〈昭和女子大学学長〉
    お問い合わせ先  昭和女子大学 学長補佐担当
    〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57 電話 03-3411-7470
    応募方法につきましては、後日、同大学ウェブサイトに案内が掲載されます。
    昭和女子大学 http://swu.ac.jp/

    みすず書房のPR
    http://www.msz.co.jp/book/detail/07696.html

  • 読みやすい!時代の流れがわかりやすい。教科書とは別に、こういう大まかな流れがわかる歴史本も読む必要ありと思う。

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アンドルー・ゴードンの作品

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