- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622085898
作品紹介・あらすじ
本書は、近代物理学の発展に即して因果律や決定論の意味を分析し、量子力学の統計的法則性に哲学的基礎づけを与えたものである。
ハイゼンベルクは、原子内の電子の運動や軌道といった直接には観測にかからないものを放棄し、原子から放出される光の振動数や強さなど物理的に観測できるものによって理論を構成すべきであると提唱した。この要請の重要性に着目したボルンは、それが数学的には行列論によって理論展開できることに気づき、ボルン‐ハイゼンベルク‐ヨルダンによって「行列力学」が定式化された(1925年)。
ボルンはまた、シュレーディンガーの波動関数は粒子の実体そのものを記述したものではなく、その存在確率を示すものと解釈すべきことを提案した(1926年)。これが「波動力学の確率解釈」といわれるもので、以後の量子力学の発展に大きな役割を果すことになる。こうして、観測の理論は原理的な意味をもって物理学に登場し、古典的な粒子像から新しい量子力学的描像への一大変革がなしとげられたのである。
本書は、まず古典力学において確立された「原因」と「偶然」の概念を検討し、これらの概念を基礎にその後の物理学の展開を跡づける。そして、統計的・確率的性格をもつ量子力学が物理学の基礎理論としての資格をもつか否かを問い、確率論的な理論構成は因果律や決定論と矛盾するものではなく、むしろ巨視的現象をも包括する普遍法則となりうることが提示される。
著者は自ら量子力学の建設に貢献をなしたほか(1954年ノーベル物理学賞受賞)、幾多の俊才を育てたことでも知られる。
感想・レビュー・書評
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170204 中央図書館
物理の本質について、考えるきっかけとなりそう。ゆっくり読まないとわからないが、図書館の貸出期間では難しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示