- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622087021
作品紹介・あらすじ
数学で〈時〉を捉えられるだろうか? ニュートンは決定論的な宇宙の中に時を封じ込め、ポアンカレは世界の複雑性の中に時のダイナミズムを再発見し、ルネ・トムは「形」によって時を捉えようとしたが、時の本性はいつも数学者たちの手をすり抜ける──。
たゆみなく流れているはずの時が運動と軌跡の内部に組み込まれてしまう第一章。物理世界の随所に潜む無秩序と計算不可能性が発見されるとともに、根本的に新しい時のイメージが浮上する第二章。時をとらえるもう一つの数学として、発表当時センセーショナルに関心を呼んだカタストロフ理論を、その限界とともに鮮やかに振り返る第三章。そして最終章では、時の物理数学と文学が思いもよらない形で結びつく。この世界の変転は計算し尽くせない。だからこそ、時の本性を捉えることは数学者たちの見果てぬ夢であり続ける。
数学書の優れた書き手として知られるエクランドの著書のなかでも、時の形象という絶妙なテーマに沿って書かれた本作は、フランスでジャン・ロスタン賞を受賞し、日本語以外に9カ国語に翻訳されている珠玉作だ。
感想・レビュー・書評
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カオス理論の入門書的な内容である
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エクランドの本は『数学は最善世界の夢を見るか』に続いて2冊目。ただしこちらの『予測〜』のほうが先に書かれている。『最善世界』で書かれた複雑系や予測不可能性のテーマは共通している。
特に本書の方は、「時の流れ」「過去」「現在」「未来」の認識について、『イリアス』『オデュッセイア』『失われた時を求めて』を比喩に使いつつ、当時はまだ生々しかったカタストロフ理論についての説明に多くのページを割いている。
とにかく、簡潔な表現でありながら詩的な文章。フランス的といえば、そうなのかも。 -
計算には限界があるにに、それが万能と思ってその道具を使う疑問
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数学が「時」とどう向き合ってきたかを扱っているらしい。カタストロフ理論や散逸系など、どこかで聞いたことがある用語が頻出する。
特に数式がたくさん出てくるわけでもない。数学の本にしては縦組だしね。
けど、いけません。ここで展開される数学的思考にまったくついて行けない。著者はカタストロフ理論について「そろろろ一般の人が知ってもよいころだ」と本書にとりかかったらしいが、「そろそろ」っていつなの? 一般の人って誰なの? -
請求記号 415.7/E 42
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『予測不可能性、あるいは計算の魔――あるいは、時の形象をめぐる瞑想』
原題:LE CALCUL, L’IMPRÉVU: Les Figures du Temps de Kepler à Thom
著者:Ivar Ekeland(1944-)
訳者:南條郁子
【書誌情報】
四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/208頁
定価 3,024円(本体2,800円)
ISBN 978-4-622-08702-1 C1041
2018年8月10日発行
数学で〈時〉を捉えられるだろうか? ニュートンは決定論的な宇宙の中に時を封じ込め、ポアンカレは世界の複雑性の中に時のダイナミズムを再発見し、ルネ・トムは「形」によって時を捉えようとしたが、時の本性はいつも数学者たちの手をすり抜ける──。
たゆみなく流れているはずの時が運動と軌跡の内部に組み込まれてしまう第一章。物理世界の随所に潜む無秩序と計算不可能性が発見されるとともに、根本的に新しい時のイメージが浮上する第二章。時をとらえるもう一つの数学として、発表当時センセーショナルに関心を呼んだカタストロフ理論を、その限界とともに鮮やかに振り返る第三章。そして最終章では、時の物理数学と文学が思いもよらない形で結びつく。この世界の変転は計算し尽くせない。だからこそ、時の本性を捉えることは数学者たちの見果てぬ夢であり続ける。
数学書の優れた書き手として知られるエクランドの著書のなかでも、時の形象という絶妙なテーマに沿って書かれた本作は、フランスでジャン・ロスタン賞を受賞し、日本語以外に9カ国語に翻訳されている珠玉作だ。
https://www.msz.co.jp/book/detail/08702.html#more-a1
【目次】
はじめに
第一章 天球の音楽
ケプラーの法則
天体力学
古典的決定論
第二章 砕けた水晶玉
不可能な計算
ポアンカレの仕事
決定論的でありながらランダム
不安定でありながら安定
第三章 帰ってきた幾何
注意書き
散逸系
カタストロフ
理論
批判
第四章 終わりと始まり
訳者あとがき
付録1 ポアンカレの主題による前奏曲(プレリュード)と遁走曲(フーガ)
付録2 ファイゲンバウムの分岐
参照図書など