認知アポカリプス――文明崩壊の社会学

  • みすず書房
3.33
  • (0)
  • (2)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 71
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622096016

作品紹介・あらすじ

人類は史上最長の自由時間を手にしている。労働など生存のために割く時間は1800年の48%から11%に減った。先人には夢のようなこの自由が注がれる先はしかし、スマホ等の画面である。そこでは雑多な情報やストーリーが人の認知を激しく奪い合い、我々は翻弄されている。これが人類を転落へ導いている可能性を我々は真剣に心配するべきではないか。心理学、言語学、神経科学など多領域の学知を踏まえた認知社会学者の野心作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 文明・技術の発達で自由時間が圧倒的に増えたはずの人間だが、得られた自由時間はネット漬けにされている。商売や自己顕示欲を満たすという目的からネット空間やメディアが人々の注目を奪うための戦略に特化していった結果、脳が生理的に注意を向ける仕組みに沿って刹那的な注目→満足を繰り返すことばかりで時間が浪費されるようになり、人類の進歩を促すような長期的な利益が得られなくなっているというのが趣旨だと思う……のだが、広くいろいろな分野の関連情報を次々並べたてているのと結論が弱いためにまとまりがない印象を受けるかも。
    そういった状況に陥っているのは清き人間本性が資本主義や特定の人物・団体の陰謀に歪められているのではなく、むしろ人間本性の正常な発露であることを認めるべきというのは非常に納得できる。それでも結論が「あとはただ自分たちの潜在能力を発掘していけばいいのである」というぼんやりした楽観論なのがちょっと謎だった。民主主義って失敗する運命ですよねとは絶対結論したくないっぽいのだが、この流れだとそれが自然な結論にならない?もう開き直っちゃえばいいのにと思わんでもない。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/570492

  • スモンビー増えたよね、日本も。

  • 2023.09.16 週刊東洋経済2023.7.15号のブックレビューより。

    「活版印刷技術は中世社会崩壊の遠因になった。支配層以外も情報取得・発信が可能となり、社会秩序がゆらいだ。人類のほとんどがスマホでつながり、AIの普及が始まった今、当時に匹敵する衝撃は不可避だろう。」

  • 文明・技術の発達で圧倒的に増えたはずの自由時間が、インターネットによって増えた筈の時間と認知が奪われ(なにしろ多くのネット上にあるコンテンツは認知を奪い去るような強烈なインパクトとアテンションを発揮してくるのだ、インプレッション数を稼ぐために)、認知が崩壊してしまっている――というのがざっくりとした趣旨。

    読書中、スマホを片手で弄ったりして「正にご指摘の通り!」とタジタジに。

    ”(題名のアポカリプスという言葉は)悪いほうの意味で解釈されるかもしれないといかったわけではない。つまり私には、この世の終わりの形を告げる意図があったというか?そういう解釈が広まったとしてもそれはそれでおもしろい。というのも、そんなふうに解釈する人はここまで読み進んでいないと白状しているようなものだから。そうした人たちはまた、われわれの情報の使い方を吟味する研究者たちが発見した悪い知らせの一つ、つまりソーシャルネットワークで出回る記事をシェアする人の五九%がタイトルだけを読み、中身を読まないということが正しいと証明しているのである。(p.158)”

全6件中 1 - 6件を表示

ジェラルド・ブロネールの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×