地下道の青春

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623018611

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  • ~そのうち、勇ましい人間があらわれた。人垣からスポンと抜けるように飛び出したのは、恥ずかしいことだが、こどもだった。公園の入り口にズラリと店を出している靴磨きの一人で、「すっぽん小僧」と異名をとる浮浪児なのだ~

    西村さんは米兵に絡まれる和服女性を誰も助けることができないなか、アツシが「この野郎!!」と勇敢に飛び出す場面に出くわす。無謀なアツシが殺される、と思い、とっさに大声で歌を歌う西村さん。そこへ広島から上野に来ていた信也青年が何人かをアジって「星条旗よ永遠なれ」の合唱に変わる。米兵はしらけて去り、西村さんと信也君の友情はこの日から始まる…。学歴のある信也君に対し「金がかかっている頭だなあ」とうらやむ西村さんだが、将来の夢を聞かれると恥ずかしがりながらも「作家」と答える。

    西村さんは作家になってからも、ただ地下道を歩くために上野に出かけた…。そこにたむろしていた人々の吐息、冷たい地面を臨終の褥にして命つきた人々の声なき声を感じに…。1945年の秋には餓死者が平均1日2.5人、下谷区役所の扱いだけで終戦以降60余命…。

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著者プロフィール

1925年名古屋市生まれ。6歳で母と、9歳で父と死別し、以後放浪生活をする。
1952年、処女作『青春廃業』を発表。『雨にも負けて風にも負けて』で第2回日本ノンフィクション賞、『母恋い放浪記』で第7回路傍の石文学賞を受賞。
『お菓子放浪記』(1976年理論社刊)は全国青少年読書感想文コンクールの課題図書となり、同年木下恵介によってTBS連続ドラマ(人間の歌シリーズ)として放映される。2011年近藤明男監督によって「エクレール お菓子放浪記」として映画化された(シネマとうほく)。2016年5月21日逝去。

「2019年 『名著復刻 お菓子放浪記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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