フィールドワークの技法と実際:マイクロ・エスノグラフィー入門

制作 : 箕浦康子 
  • ミネルヴァ書房
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本棚登録 : 149
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623030040

作品紹介・あらすじ

マイクロな眼ではじめて見えてくる世界がある。生活のなかで生きる人々の日常をフィールドとし、自分自身がツールとなってデータを集め、まったく新しい仮説を生みだすためのアプローチ…。心理学・教育学・社会学など、人を研究対象とする各分野で、人の生きている文脈ごとに理解することをめざすフィールドワークの一つの技法としてマイクロ・エスノグラフィーが注目されている。本書は、東京大学教育学部箕浦ゼミでの「フィールドワーカーとしての心と身体」をつくる授業の記録である。

感想・レビュー・書評

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  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190

  • フィールドワークの技法について、スキルや研究ノート、リサーチクエッション、エスノグラフィの作成など丁寧に説明はしているが、step by stepでないので、学部学生向きには少し難しいような気がする。大学院生向けなのかもしれない。


  • フィールドワークの技法の伝授に特化した本。
    
    フィールドワークの理論的背景を簡単に抑えた後,フィールドワークの技法を説明している。
    
    具体的な説明があるためこの書を参考にしながらフィールドワークをすれば,フィールドワークのイロハを身につけることができる。
    
    ここでいうフィールドワークとは,文化人類学的なフィールドワークではなく,微視的な出来事(マイクロな出来事)に焦点をあてたフィールドワークである。
    
    心理学や教育学,看護学などでフィールドワークをしたい場合に参考になるであろう。
    
    とくに,社会心理学でフィールドワークをしたい場合は村本先生の章(第11章)がオススメ。

  • 第1章 フィールドワークと解釈的アプローチ

    「人間行動の社会的文脈性を重視する研究の流れをつくった一人であるヴィゴツキーの影響を深く受けたヴァルジネールは、子どもの行為が、常に変動する文脈に拘束され、道具や他者に媒介され短期間のうちに変化する性質であることを指してマイクロジェネティックといい、そうした最小の行為を分析単位として、発達現象を子どもの生きている文脈もろとも研究する視座を提案した(Valsiner,1987,p75)」
    「本書では、人と人の行動、もしくは人とその社会および人が創り出した人工物(artifacts)との関係を、人間の営みのコンテキストをなるべく壊さないような手続きで研究する手法をフィールドワークと呼び、現地観察や植物相とか地形が研究対象であるような地理学的なフィールドワークとは区別する。」(p4)
    「構造機能主義が文化人類学の支配的な理論枠組みであった時には、エスノグラフィーといえば、親族体系、政治経済体系や労働組織、典型的なライフサイクル、子育てや教育、超自然界との関係や宗教観念などの体系的な記述をさした。その時代のエスノグラフィーは、そこの人々がどのような意味世界に生き、何を喜び、どのような行動をとるのかなどにはあまり注意が向けられていなかった。」(p5)
    ・フィールドの場のサイズによる分類
     ・コミュニティ
     ・施設/機関
     ・特定の社会行為の行われる場を狭く限定
    ・許可のいるフィールドと許可のいらないフィールド

  • 自分が初心者であるため、最初の理論編のあたりは読むのがしんどかった。
    でも、それに続く各章が具体例を踏まえてかかれているため少しずつではあるが、理解できた。
    まるで授業を受けているかのように読み進められた。

  • スキルとして
    観察
    問いを立てる
    をあげている。なるほどと思った。

    研究倫理についても詳しく述べているのは実際上の課題だと思われる。

  •  マイクロエスノグラフィーについての入門書。物理学や統計学、(古典的)社会学、政治学、経済学を読んでいると、社会情勢分析や実験などのより客観性を目指す分析は、目の前のちょっとした変化に反応するのが難しい事が多いし、マーケティングなどの実務的にも応用が難しい面もある。
     正直、難しいなー。。結局観察眼にかかってくるが、そう簡単によくできないしな。。少しずつ身につけるようにしないと。でも、どうやってすりゃいいんだろ?


    <基本>
    ■何のために観察するのか(検証したい仮説)、を抽象的でいいので決めておくこと。実際に観察する際は、確認のためなのか、気になるポイントを探すのかのどちらかになり得る(仮説生成法の仮説検証法どちらかがあり得る)。
    ■アプローチ:解釈的アプローチ、実証的アプローチ

    <基本的枠組み>
    ■観察:「見る」という超主観的行為
    ■面接:リサーチ面接:データ採取
    ■問いを立てる:問いを考える→観察する→より詳しい・発展した問いをつくる→…という良いスパイラルを創る。
    ■フィールドでの役割と倫理:観察者の立場:現場にいかに関わるか(ex.幼稚園でフィールドワークをする→子供達と普通に遊ぶべきか?職員との関わり、父母との関わり)。匿名性etc.

    <実際の現場で>
    フィールドノーツへメモ→観察後にノートへ再現・考察しながら書きとめる→エスノグラフィーへ。。
    ・いかにノーツから書き起こすか、いかにより良い問いにつなげるか。

  • すごく参考になる。

  • 研究方法としてのフィールドワークに関しての本。なんで、1年生のときとかに読まなかったんだろーって思う、とっても良い入門書。方法論だけではなくて、指導を受けた実際の研究やフィールドワークの試行錯誤まで、掲載されています。研究計画書を書く上でも助けられました。

  • 書名の通り、前半はフィールドワークの基本的な考え方を解説し、後半は実際のフィールド研究を紹介している。著者の専門は心理学だが、他の人文社会科学の研究のテキストとしても利用可能。

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著者プロフィール

京都大学文学部(心理学専攻)卒業後、京都家庭裁判所に調査官として11年勤める。
1967より1968年にかけ、ニュージャージー州臨床心理インターンシップ・プログラムに参加、臨床心理士としての訓練修了書を得て帰国。1973年にヴィクトリア大学(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)に留学しM.A.(社会学)、1975年にUCLAに移り、1979年にPh.D.(文化人類学)を授与される。
1980年1月より岡山大学文学部(社会心理学)、1993年4月からは東京大学教育学部(比較教育学・心理人類学)、1999年4月よりお茶の水女子大学大学院人間文化研究科(社会臨床・文化心理学)で教鞭をとり、2004年11月よりお茶の水女子大学名誉教授。
主著として、『子供の異文化体験――人格形成過程の心理人類学的研究』(思索社、1984、増補改訂版、新思索社、2003)、『文化のなかの子ども』(東京大学出版会、1990)、『地球市民を育てる教育』(岩波書店、1997)、編著として、『フィールドワークの技法と実際――マイクロ・エスノグラフィー入門』(ミネルヴァ書房、1999)、『フィールドワークの技法と実際Ⅱ――分析・解釈編』(ミネルヴァ書房、2009)、監訳として、『質的研究のための理論入門――ポスト実証主義の諸系譜』(ナカニシヤ出版、2018)がある。

「2020年 『EPAインドネシア人看護師・介護福祉士の日本体験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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