離脱・発言・忠誠:企業・組織・国家における衰退への反応 (MINERVA人文・社会科学叢書 99)
- ミネルヴァ書房 (2005年6月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623043743
作品紹介・あらすじ
離脱・発言・忠誠という人間の社会的行為の三類型の剔出を通じて、小は町の零細企業から大は巨大国家にいたる組織社会における人間の行動原理を明らかにする現代社会科学の古典の改訳新版。本書をめぐって国際会議が開催されたことにもその重要性が表れているように、本書は、経済学と政治学の生産的対話の試みであり、新古典派の市場主義一辺倒によって切り裂かれつつあるかにみえる公共性の再生・復権の手がかりを与える。
感想・レビュー・書評
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研究用。引用したかった箇所はこんなにもあっさりしたものであったかと驚いた。
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経済学部 山川俊和先生 推薦コメント
『原題は、離脱(Exit)、発言(Voice)、そして忠誠(Loyalty)。人間行動の類型から、社会の基本原理を鮮やかに描き出す。小さなアイディアから大きな社会全体をとらえる。全学生におすすめの超名著。』
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/597264 -
離脱=経済学的論理=市場の論理
発言=政治学的論理=非市場の論理
経済的論理は政治学的論理を必要以上に過小評価し、貶めてきた。その逆もまた然り。
離脱と発言、両方を取り入れることこそ組織の改善に必要になる。
一文一文丁寧に読みたい本。 -
2019/04/21に、NGT48からの卒業を発表(最終活動日:2019/05/18の卒業公演を予定)した山口真帆(23)は、運営側にVoice(発言)したが、受け入れられずに、Exit(離脱)したということなのだろう。
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経済学者であり政治学者であり、社会学者でもありそうなハーシュマンによる政治経済学に関する本。
衰退していくあらゆる組織体に対して、構成員が取りうる手段は離脱<exit>(さようならする)か発言<voice>(抗議する、意見する等々)かの二つであるということ。
それらを行うかどうかはその組織体にどれだけ忠誠<loyalty>(愛着)を感じているかによるということがきちんと論理立てて書かれている。
フリードマンらの市場原理主義者への反論(企業間競争において離脱する以外にもとる手段がある、例えば品質改善を求めて提案するとか。)をしつつ、国家に対して発言以外の対抗手段がなかなかないことから、モデルに基づいて単純化する経済学と、多様な概念を扱う政治学の両者を架橋することを目指して書かれている。
あとがきに書かれているハーシュマンの壮絶な人生(7回もの移住と従軍経験)を読むとなおさら、様々なことを架橋させていく試みを行っているハーシュマンの原動力に触れられてよかった。
プラスでフリードマンがなぜ市場原理主義者になったのかについてもわかった。思想はその人の経験してきたことと不可分なんだなぁやっぱり。 -
2013年度ゼミ内輪読の課題。
政治学者と経済学者の偏った視点ではなく、社会学者という包括的?立場から、衰退のおこった状況での回復メカニズムである離脱と発言について書かれていました。話は何度か行ったり来たりするけれども、きちんとした立論というか、順序だって書かれているのでわかりやすい。実際自分が、離脱オプションや発言オプションを使っているかどうか想像しやすいので、想像しながら読むと理解は深まると思います。
また、訳者補説が熱い!
寧ろここを先に読むと、もっと深く考えてしまうことになります。先に補説を読むことをおすすめします。 -
旧訳と比べて新訳がどれほど読みやすくなったのかは,旧訳を読んでないので分かりませんが,ハーシュマンの3つの概念の説明力の高さをあらためて感じました。