- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623054442
作品紹介・あらすじ
信濃上田の小豪族は、いかにして武田、上杉、北条、豊臣、徳川などの大勢力の狭間を生き抜き、大名にまで上り詰めたのか。真田氏三代四人が織りなす行動と魅力を探る。
感想・レビュー・書評
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戦国時代から江戸時代への転換期を生きた真田氏三代四人の評伝。通して見ると、一般的には一番著名である幸村こと信繁は影が薄い。当主を担った三人は、それぞれの時代で顕著な成果を残しているだけにより際立つように思う。
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ポイントは、幸隆以降とそれ以前の真田家の断絶。地方の小土豪で出自来歴も家意識の薄さからか判然とせず、近世真田家のイメージを当てはめるべきではないこと。武田家滅亡に際し、勝頼を自城に招いたという説は、北条家にいち早く降伏する文書を送っており、当たらない。昌幸は、家康の攻撃を二度退けるも歴史の大きな流れを変えたわけでもなく、幸村も大阪の陣で徒花を咲かせたが、事跡もなく、信之の近世真田家が残ったこともあって名を残したが、両名とも史料から辿れる実像に比して、評価が高すぎる、信之の政治力、統治手腕はもっと評価されるべき、といったところか。
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真田幸隆、昌幸、幸村を3代と考える人が多いが、著者はむしろ真田家を後代に英雄の家として残した功績は幸村の兄、信幸(関が原戦後、「幸」の字を憚って信之に改名)にあると3代の説明を4人に拡大して行います。戦国武将の人気ランキングで、4人が上位に出てくるというのは、真田ぐらいということ。改めてその戦績の素晴らしさを感じますが、一方、戦争に強いわけではなくとも、統治面で能力を示した信之の偉大さを感じます。そして信之の妻・小松殿の義父に対する気丈さの一方、孫に会わせたなどの心配りなど爽やかな人柄が描かれていました。
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文書・史料の引用が多くて読みづらいのが難点。読了にかなり根気がいりました。これは一般向けとしては厳しいかもしれません。中身的には新たな知見も得られたので、まずよしとします。真田信之におよそ2割のページ数をあてられているのが特徴。
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公文書や何やらがあまりない真田家をきちんと掘り下げてある。
信繁(幸村)よりも信之を評価しているところに学者らしさが垣間見える。