在日華僑華人の現代社会学:越境者たちのライフ・ヒストリー

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623079544

作品紹介・あらすじ

長年の緻密な聞き取り調査に基づいて描き出す、日本と中国を生きる華僑華人の躍動的な人生ドラマ。彼らの一国に束縛されない生き方を「越境」と「承認」というキーワードを根幹に、生活の再建、二世の教育、福祉認識、老いと死の受容から究明する。日中の近代化の格差の産物である在日華僑華人問題は、現代社会での普遍的な問題にもつながる。東アジアと国際社会への理解の第一歩にもなる意欲的な論考。

感想・レビュー・書評

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  • この著者は前に読んだ本で記憶に残っているフレーズがあるのだが、日本に来て差別されたと訴える中国人は都会出身者だというもの。著者の様な田舎出身者は中国の都会に出ても差別されるのが当たり前なので、ましてや外国で差別されるのは前提であるという話だが、そうした事は今回も書いている。10年くらい経ってもその意見は変わらないみたいだが、「新華僑」がそろそろ老齢期に差し掛かり、都市出身者と地方出身者でその辺の差異がまた生じている様だ。都市出身者だと、日本になど来ないで、そのまま中国にいれば住んでいたアパートは自分のものとなって、その価値は当時は想像できないくらい高騰しているが、田舎だと社会福祉も整備されておらず、農地も無くなり、老後の生活設計もできない。あの時こうしていればということは誰しも思うものだが、中国の出国熱時代を知る者にとっては、出国できただけで、大きな幸運であったのも確かではある。日本で老後の資金を貯めてもそれでは中国では暮らしていけないというのもあるが、年金が大きな足枷にもなっている様だ。日本の社会福祉が外国人に開放的であるという評価も田舎出身の著者ならではであろう。前半のオーラルヒストリーと後半の論説の二本立てだが、登場するP・Q氏は陳天璽の父かな。黒龍江省出身でピンと来て、統一運動に熱心というところで分かったが、娘が筑波の国際関係学で種明かしか。著者とは筑波で接点があったのかもしれんが、「無国籍」とこの父は何か矛盾がある様な。

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著者プロフィール

2017年2月現在 明治大学政治経済学部教授

「2017年 『在日華僑華人の現代社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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