批判と危機: 市民的社会の病因論のための一研究 (フィロソフィア双書 25)

  • 未来社
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784624020255

作品紹介・あらすじ

米ソ対立の国家の時代を背景に生み出された市民社会が世界の危機をもたらす啓蒙の必然性を歴史哲学的に批判した市民社会論の古典的名著。

感想・レビュー・書評

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  • 道徳と政治の弁証法のうちに近代国家の問題を探ろうとする試み。宗教的内乱は、臣民と人間とを分離して支配する絶対主義国家の歴史的前提であった。絶対主義国家のもとで分離された政治と道徳はしかし、道徳=社会=市民が密かに権力を奪取していくことによって、特有の弁証法をもつようになる。政治の道徳化と呼べる事態が18世紀を通じて、秘密結社や啓蒙主義知識人の手によって遂行された。その際重要な概念となったのが「批判」であり、これは「危機」という言葉と密接に関連した概念だった。社会の側に立つ知識人は、歴史哲学によって危機を正当化し、革命をも正当化した。彼らは革命が内乱につながっていることをホッブズなどとは違い意識しなかった。その代償こそフランス革命であった。以上がおおよその内容であるが、著者独自の(というかC.シュミットの思想をとりこんだ)思考と実証的研究とが融合した非常に刺激的な研究書である。

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