- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784624601218
作品紹介・あらすじ
「それにしても、震災前と震災後では、ぼくの書き方はガラリと変わってしまった」。
「幸福な水夫」(2010年発表)、「突風」(2015年発表)の小説2篇と書き下ろしエッセイ「黒丸の眠り、祖父の手紙」を収録。書き方は変わっても、郷里の家族とちいさな命を見つめるまなざしは変わらない。温かな、ときに激しい南部弁の響きに満ちた作品集。
装丁:佐藤亜沙美
挿画:榎本マリコ
感想・レビュー・書評
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0116
2019/05/21読了
東北の家族の話。
東北弁が良い。
「幸福な水夫」
標準については無意識に私も思っていたことかも。標準はその土地によって違うはずなのにね。震災を経てから読むと重みが増す。持ち込んでしまったよなあ。
「突風」も家族の話。
物語だから、とは言えない世界。こんな世界が来ないようにしたい。
責任は今の人たちだけじゃないし、時代・土地の価値観だからだけではすまない。
戦争も震災もまだ終わってないこと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
病気で車椅子生活になった父と二人の息子が下北半島の
温泉までドライブする、ロードムービー的な作品。
東京で暮らす ゆずる。
故郷の八戸に帰省し、父の和郎、兄の守男、東京で飼い
始めた子猫と一緒に下北半島の温泉旅館に行くことになる。
なじみのない南部弁の会話に、最初は戸惑ったけれど
親子はその地で暮らしているのだから南部弁でなければ
いろいろなことが嘘になってしまう気がした。
P112
〈おれはどこかで、東京に流れている時間だけが”標準”で、地方の時間や暮らしは遅れているとるに足りないものだと思っていなかったか・・・?〉
ゆずる の言葉だ。
父の和郎と兄の守男、そして ゆずる。
家族なんだよな。
遠く離れていても、親子なんだよね。