- Amazon.co.jp ・本 (106ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634546103
作品紹介・あらすじ
日本の近代は、その初めに「生き神」と「現人神」という二つの神観念を創出した。「生き神」は、幕末から明治にかけて登場してくる民衆宗教の民衆解放思想を支える根本原理となり、「現人神」は、近代天皇制国家のイデオロギー的な支柱である国家神道の事実上の絶対神として、国民の精神的自由を抑圧する源泉となった。両者の相克の歴史を、「人を神にまつる」という伝統的な思惟の様式につなげてみるとき、近代日本の精神史は、あらたな相貌をあらわし、あらたな課題を私たちに投げかけてくれるに違いない。
感想・レビュー・書評
-
近代日本にて成立した民衆宗教(天理教などの新宗教)と国家神道の沿革を、「『生き神』と『現人神』の相克」という視点から概観した書物。国家神道成立の過程を論ずると共に、民衆宗教の特徴や歴史を分かりやすく紹介、それが国家神道体制の中でどのように歩んでいったかを解説する。
本書は民衆宗教・国家神道について、どちらの項目についても前史を含め分かりやすく説明している。特に民衆宗教については世間ではあまり知られていないその歴史を知ることが出来、戦前最大の宗教弾圧事件とも言われる大本事件について解説しているのも嬉しい。初学者にはうってつけであろうと思う。
全体として良書だとは思うが、民衆宗教を好意的に評価するあまりそれ以前の民間信仰や現代の新新宗教を否定するかのような文言があったことが少々鼻に付いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生き神か現人神か
1 生き神教祖の誕生―民衆宗教の成立
2 現人神の浮上―国家神道の形成
3 教派神道への階梯―別派独立の意味
4 不服従の遺産
著者:小沢浩(1937-、宗教学)