ヤマケイ文庫 定本 山のミステリー 異界としての山

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  • 山と渓谷社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635048859

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  • 工藤隆雄『定本 山のミステリー 異界としての山』ヤマケイ文庫。

    今月のヤマケイ文庫は、山の不思議を集めた作品が3冊も同時刊行。

    著者が長年に亘り山小屋の主人や登山者たちから聞いて、集めた山の怪異56編を収録。2016年刊行の『新編 山のミステリー 異界としての山』を定本として文庫化。解説は田中康弘。山での霊体験や自然にまつわる不可思議などが紹介される。先に読んだ『マタギ奇談』と並び、面白い。

    山では何故幽霊の目撃談や霊体験が多いのだろうか……まさか死ぬことを前提に山に登る人は居ないだろう。従い、幽霊となり、山をさ迷う人びとは全くの不慮の事故により図らずも命を落とし、自分が死んだことにさえ気付いていなかったり、この世に未練を残すあまりに山に居着いてしまっているのだろう。

    山にまつわる伝説や言い伝え、不思議な話も興味深い。時折、自然や動物が見せる奇跡のような数々の不可思議や人間の想い。中でも『第22話 山の神に守られる?』にはジンと来た。

    本体価格800円
    ★★★★★

  • 季節という訳ではないが、山小屋の管理人などから聞いた山のミステリー集。山怪ほど怪談はない。

  • いやはや、面白くって買ったその日に一気読み!
    すっかりブームになった「山の怪談」を含め、人智を越える畏怖、自然の不思議、人間の不可思議さ、「山」にまつわるあれやこれをまとめたお得な一冊。
    怪談はきちんと怖いし、天狗か神かそれとも?な不可思議な話は味わいがあるし、自然の神秘を味わう話もあり、人間にまつわる話はあまりに胸糞なものからほのぼの暖かいものまで、ついにはUFOまで飛び出す!とバリエーションが豊かで、次!次の話!と読み進めてしまった。
    「山の怪談」が実話怪談の一ジャンルとして確立して、山=異界というイメージも某公共放送がそれを冠した番組を作ってしまうくらいメジャー?なものになったけれど、
    まだまだ「異界」の一端を見たに過ぎない、と山登りもしない平地にいきる人間は思った次第。
    そしてそんな平地人にとっては、何年も山小屋を経営し、人の死にも毎シーズンたちあうことになる山小屋の小屋番さんというのもまた不思議な存在に映った。

  • 必ずしもオカルト的な怪異譚ばかりではない、というかむしろその類の挿話は少なく、人や自然、動物等にまつわるちょっと不思議なトピックス、といった趣が強い。
    その分、山小屋の主たちの飾らない日常が身近に感じられるような構成になっている。

    巻末の解説は田中康弘氏が請け負っており、この二人の競演? には密かに心躍った。

  • 山小屋の主人や、小屋番達の体験談。
    筆者が彼等から聞いた不思議な話を簡潔に綴ってある。
    なので、その不思議を解き明かす訳では無い。

  • 面白かった。
    山は不思議な魅力があるけど
    怖いとこだ。

  • 幼い頃から山好きの両親にあちこちに連れて行かれたせいかおかげか、私は「海もの」よりも「山もの」に惹かれる傾向があります。運動嫌いゆえ今は登山はしないけど、このタイトルは読まずにはいられない。

    収録されている56話におどろおどろしい話はありません。いわゆる怖い話を期待して読むと肩すかしを食らう。むしろ山のちょっとした不思議に触れて山に登ってみたくなる、そんな話ばかりです。

    自然に助けられたり、霊に助けられたり、動物が何かを知らせてくれたり、実際にありそう。熊って普通は人間を避けるものなのですね。そんな豆知識も。

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