- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635049122
感想・レビュー・書評
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本書が文庫化された。携帯図鑑が必要だったので、購入した。内容は単行本の方にレビューしている。ここでは、先日の倉敷旅の初日に敢行した鶴形山公園のコケ調査の顛末を記したい。
1日目。美観地区でゆっくりする。アイビースクエアの喫茶で本を読みレビューを仕上げ、かつて知ったる「あずみ」で信州蕎麦を食べ、田中美穂著「苔とあるく」において「わたしのコケ人生始まりの岩がある」と記されている鶴形山公園に向かう。
ところが、旅に想定外はつきもの。明確な風景写真があったので直ぐ見つかると思いきや、歩いても歩いても、それらしき場所に辿り着かないのである。
鶴形山公園はコケ散歩には素晴らしい処だった。私はこの数ヶ月、こんなにも美しく、かつ朦々とコケの生えた石垣、岩、ブロック塀、樹木を見たことがなかった。江戸時代から続く古い神社や寺を擁するこの小山は、約400年かけて作った苔の別天地なのだろう。
阿智神社境内の護国神社の敷石の間にあった苔。
阿智神社のアベマキに生えている苔。
鶴形山公園の植田年の石碑の前の苔。
を採取した。
「(苔の同定は)難しいと思います」
と、彼女は言った。
私は1年と3ヶ月ぶりに古本屋の蟲文庫に入った。苔図鑑を置いてあれば(今日の同定にも使えるので)無条件で買おうと思っていたが、やはり一冊もなかった。なんとか買うべき本を発掘して、店主の田中美穂さんに勇気を奮って話しかけた。1番聞きたいことは聞けなかった。公園で見つけた名前のわからないコケを標本として採取封筒に入れて持ってきていたのである。でも、観光客が定員以上にいたし、「これ、ちょっと見てくださいませんか」という図々しいお願いは出来なかった。その代わり、「コケの名前、分かりませんでした」というと、冒頭の言葉を頂けたのである。それに気をよくして「『苔とあるく』に出ていた始まりの岩を見つけられませんでした」というと、「あれはエビス商店街から公園への上がり口の直ぐにありますよ」とのこと。反対側から私は上がったので、そこまで辿り着けなかったのである。聞けてよかった。そのあと行くと、簡単に見つかった。おお、凄い。2m四方の大岩。正しく5つぐらい苔が密集している。聖なる岩のようで、今ではしめ縄さえ張っていた。
「始まりの岩」を見つけれた。
私は満足した。
この2カ月ずっとコケに注意を払ってきて
コケの居る場所がわかってきた。
目の下の隠れている場所
日陰の場所、でも1日数時間ほどは陽があたる場所
雨水の集まる場所
環境の変わらない場所
もうずっとずっと周りの景色が同じ場所
決して遠くにテリトリーを広げない
何年も何十年もかけてやっと目立つようになる
百年で映えるようになる
でも、ありとあらゆる処に居る
みんな同じようでいて、
ルーペで見るとハッキリ違っていたり
ほんの少し違っていたりする
霧吹きでシュッとやると
みるみるお爺さんから青年に変わる
そして美しい
コケの名前がわからない、という根本問題は未だ解決していないけど、この日だけでも初めてみるコケが6つぐらいあった。コケの世界は奥深い。 -
・その4・ときめくコケ図鑑
こちらの紹介は
・その1・ときめく貝殻図鑑
でご覧ください。
2021/10/07 更新
過去の経過を辿って下さってありがとうございます♪
まぁそうなんです。嬉し恥ずかし、なんです。
でも、ちょっと後悔...
過去の経過を辿って下さってありがとうございます♪
まぁそうなんです。嬉し恥ずかし、なんです。
でも、ちょっと後悔。
時期を間違えたかもしれない。
行ったのは三連休の中日で、珍しく「あの」狭い店内に私含めて4人もの人がひしめき合っている中でのお話だったので、とても採取したコケを見てください、と言える雰囲気ではなく、それだけではなく、やはり未だ学習が足りなかった。「阿智神社でオオシラガゴケを見つけました。初めてです」「あの本の写真にあったのはハマキゴケだったんですね」という会話ならば、5秒で済んだのですが、未だそこまでいける水準に達していないのを痛感しました。もちろん、「ファンなんです。サインください」なんて、言える性格の男ではなくて、なかなか難しいんです。もうちょっと修行していくべきでした。