- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635171991
感想・レビュー・書評
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過去に起こった十の山岳大事故から読み解く
山登りへ向かう人への教訓
木曽駒ケ岳の学校集団登山事故
剱澤小屋の雪崩事故
冬の富士山巨大雪崩事故
前穂東壁のナイロンザイル切断事故
谷川岳の宙吊り事故
愛知大学山岳部の大量遭難事故
西穂独標の学校登山落雷事故
立山の中高年初心者遭難事故
吾妻連峰のスキーツアー遭難事故
トムラウシ山のツアー登山遭難事故
私の山登りの知識がないので山用語はあまり理解できてないのだけど…
とにかくどの事故も恐怖しかない。
特に怖かったのは…
トムラシ山の遭難と立山の中高年初心者遭難事故
あと、スキーツアーの遭難の話も震えた
年々、中高年の登山人口が増えているという現代
「ちょっとだけやってみようかな」
…という軽い気持ちで軽装備で出かける恐ろしさ
山登りとかしない私でも誘われたら
楽しそう~と軽い気持ちで参加しそうな…
山の天気は変わりやすい
そして人は窮地ほど正常化バイヤスに陥りやすい
山は美しいけど恐ろしい
山に登る人はこの本を読んでおいてほしい詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死者に鞭打つ感じが無いのは、丁寧に結論を急がずに遭難の模様を検証しているからだろうと思った。上っ面だけ知っていた昔の遭難が知れたので読んで良かった。
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大正時代から平成時代までの十件の山岳遭難事故を各一章ずつにまとめたドキュメント。
各章の題と発生年は
・木曽駒ヶ岳の学校集団登山事故/1913
・剱澤小屋の雪崩事故/1929
・冬の富士山巨大雪崩事故/1954
・前穂東壁のナイロンザイル切断事故/1955
・谷川岳の宙吊り事故/1960
・愛知大学山岳部の大量遭難事故/1963
・西穂独標の学校登山落雷事故/1967
・立山の中高年初心者遭難事故/1989
・吾妻連峰のスキーツアー遭難事故/1994
・トムラウシ山のツアー登山遭難事故/2009
各章40ページほどの短さで、すらすら読めます。
ただし、登山用語の注釈はないため、ある程度は登山に関する知識が必要です。
ところで、本書の題名に「十大事故」とありますが、
なにを基準にした「十大」なのかは記述されていません。
死亡者数でしょうか?
ただ、あとがきを読むと、出版社のマーケーティング面の要請で、
元々は八件の事故をあつかう予定だったものに既出の二件を足して
「十大」にしただけなのかなという気も・・・ -
山登りを趣味にしてから、決して慢心しないよう、なるべくたくさんの過去の遭難についての本を読むようにしている。
この本は古くは1913年の学校登山から、新しいものは2009年のトムラウシの事故まで10の遭難事故について詳しく検証している。
しかし、すべては悪天候が原因なのだ。
さっきまであんなに晴れていたのに、こんなに暖かい日なのに、晴れていれば30分かからない距離なのに、すべては急変した天気により環境は変わり果ててしまう。
雨による低体温症、雪による凍傷、雷!
山での悪天候は本当に恐ろしい。
肝に命じることができた。 -
単独登山は不安だなと思っていたけれど人数が多いのも難しいんだな。人数が多いと安心してしまいがちだけどリーダーに頼るのでなく一人一人が知識を持って行動できることが必要。リーダー的な人がちゃんと統率出来る人なのか、導ける人なのかというのも最初から頼るつもりじゃ見極められないし。装備にはお金をケチらない(装備を揃えられない山には登らない)、正しく使う、不安を感じる時は迷わず引き返す!取り返しのつかないことになるくらいなら引き返してやっぱり「行けたかもな…」と思うくらいで良し。山に行きたいならちゃんと勉強しよう。
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日本近代登山史に残る10の重大事故について、事故報道、事故報告書等を題材になにが起きたか、原因として考えられるものは何か、そして事故を回避する対策としてどんなことが考えられるか等を分析したレポート。
その分析は、登山に関わらない私にとっても興味深く、また様々な分野で役に立つこともあろうと思った。
興味本位ではない、きちんとしたレポートは読むに値する。 -
20206月29日読了。
読売新聞の書評でこの本を知る。
元山岳部としてではないが、山岳遭難のノンフィクションは数冊読んでおり、なじみのあるトムラウシ山の遭難事件も書かれているので読んでみた。
「失敗の本質」という本がベストセラーになっているが、「遭難の本質」も原因は極めて似ている。
「あの時、引き換えしていれば」とだれかが思っても(誰もが思っても)結局声の大きい人の意見に引きずられ、集団遭難を招いてしまう。
「西穂独標の高校生落雷」以外はほとんどが遭難をどこかで回避できたはずなのにと思わずにはいられない。
中でも「立山の中高年凍死事故」は「なぜ、下山しなかったのか?」と強く思わずにはいられない。
数少ない生存者が固く口を閉ざすのもわかるような気がする。 -
山に人間の力は及ばず、作中で述べられている事故の要因を全て除いて十全の準備と注意を以てしても、事故を防ぐことができるとは限らないんだろうと思った。また疲労や焦りから来る判断力の低下が原因で適切でない行動をとってしまい、体力を消耗して亡くなってしまう例が多いのも恐ろしい。トムラウシ山遭難事故で多くの参加者は装備を活用しておらず(ガイドから着込むよう指示もなく)八人亡くなったという。同じ場面に立った時自分が冷静な判断を下せる自信はまるで無いけれど、せめて少しでもこういった事故の前例を知ることは大切だと感じた。
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事故を防ぐのは難しいけど、備えたり判断して軽減したり回避したりできる事件ばかりなのが無念さを感じるところ
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本書は登山をしない人にとっても十分読むに値する。実際私は登山はあまりしないが、彼の本は好きでよく読んでいて、登山の知識がないのに遭難したときの対応だけは詳しくなっている気がする。