- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635200035
感想・レビュー・書評
-
(*01)
ごく普通には実用的に読める。時々は山に入り、迷う(*02)ものとしては得を得ることのできる本である。また山に入る際にgpsと地図データを携帯しているものにとっても、再び地図(*03)とコンパスの技術で未踏の山や谷を徘徊したい衝動に駆られる一冊でもある。
(*02)
目的達成やゴール到達のための合理的な体系があり、そこから外れることが迷うことであると考えてみる。迷わないために現場でできることは、絶え間ない現在地の確認とここが体系の中にあるかどうかの疑いのまなざしである。また、迷いが生じた場合に現場でなすべきことは、体系への復帰であり、最短距離であるショートカットよりは、迷いへの道筋を現在地化することで復元してやや遠回りしてでも体系に復帰することである。が、目的化とは本来的に相反する迷いそのものが、外からみれは物語としては面白く感じられるし、地図やコンパスあるいはこうした実用的な読本といった技術も迷いへの恐怖や迷いの把握から起こされた技術であることに注目する必要もある。
つまり、体系化に敢えて添わない様に遊びとして迷うことの意義である。そこからはスリル以外にも得られる事が多いと思われる。迷いの事例集としても読める本書であるが、そこから積極的な価値や可能性を読みとる必要もあるように思われる。
(*03)
地図がお手製である以上、誤りを少なからず含むし、そもそも立体の平面化の時点で抽象や省略、デフォルメは避けられない。このことは本書でたびたび強調されており、既に実用的に地図を嗜んでいるものであれば、この誤差を予め想定した上で利用している。
しかし入門の読者や一般にはこの事はそれほど理解されていないと同時に、他の手段に頼りえない状況においては誤りのある地図表記にも心理的に縋ってしまう場面もある。
本書からは、誤りを含むにもかかわらず使用に耐えられる地図となっているのは何故かについても考える手がかりを得ることができる。大雑把な方向関係、高さ関係、地物の位置関係、これらの総合的な視点から作製された地図であれば、この総合的な観点に戻れば、局所局面でも誤りのある地図でも大いに利用できる可能性をもつし、そこに地図の醍醐味がある事も示唆している。
精度や現在性(アップデート性)という点では、デジタル地図や地形図の成長が著しい。旧来の地図は、これらに凌駕される運命にあるが、アナログな地図に残る総合的に手作業で定位する技術は忘れずにおきたい仕草である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【登山関連書】
過去の道迷いの事例を挙げて、道迷いに陥りやすいミスや心理状態を詳しく解説している本。
もちろん、基本の読図法やコンパスの使い方も解説してくれている。
ベテランでもやってしまう道迷いは、滑落や気象遭難などの本格的な遭難に繋がる危険をはらんでいる。
実際の道迷いの事例を元にしているのでとてもわかりやすい。
「こういうパターンもある」って知っているだけでも、道迷いを防げると思う。 -
他の方々のレビュー通り、
とにかく読み終わるまで時間がかかります。
勿論、地形図と照らし合わせながら
じっくり読むせいですが、
私の本棚に入っている他の読図解説本の
中では難解な部類に入ってしまうのは
否めません。 -
この本を読むのには、ものすごく長く時間がかかってしまった。
前半は遭難事例をたくさんひいていてサクサク読めるのだが、後半から途端にピッチが落ちる。
平塚さんの本に比べて臨場感が少ないせいと、本の中に用いられる写真が白黒でよくわからないためだと思う。
しかし、オリエンテーリング競技の指導者だけあって、なかなか役立つことがいろいろ書かれていると思う。