文豪山怪奇譚 山の怪談名作選

著者 :
  • 山と渓谷社
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本棚登録 : 117
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635320061

作品紹介・あらすじ

文豪たちが遺した異世界としての「山」。斯界の雄・東雅夫の選によるかつてないアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 文豪の書いた怪談アンソロジー。
    怪談やホラー大好きだし、この本を機に明治頃の作家さんの本もガンガン読んでいきたいぞ!と思っていたが、図書館の返却期日までに読もうとしたらあいにく体調が優れず。それぞれ小品とはいえ文豪の怪談を読み切るパワーが足りず…
    また昭和前期以前の文体…いわゆる古典の文体が、うん、すべてではないけどかなり苦手なのでなかなか頭に入ってこず。読めそうなところだけ飛ばし飛ばし読む結果となりました泣。
    特に百鬼夜行は完全に歴史的仮名遣い(懐かしい!)そのもので描かれていたので完全に挫折。
    そんなおかげか、怪談なんだけど、怪談を読んでいるというよりは単純に上質な物語を読んでいるな〜といった感じで。読解力プリーズ…
    古典をしっかり味わえるようになるにはどのように勉強すればいいのかな…古典苦手だったんだよな…テストもほぼ注釈を頼りに勘で答え書いてたなぁそういや。
    リベンジしたい一冊です。

    文豪山怪奇譚と銘打つだけあって、収録されてる作品の書き手が豪華。
    宮沢賢治は怪談(詩だった)でも宮沢賢治なんだなって感じだったし(理解しきれたとは言ってない)、今回読みきれなかったけど泉鏡花の文体も怪談というか幻想奇譚めいてて美しかった(ちゃんと今度読み直したい)。
    太宰治の作品も太宰らしくなんとも愛しいお話だった…
    いちばん読んでて面白かったのは岡本綺堂のくろん坊。なんか読んでて業を感じるというか、悲しかった。その業に向き合うのが一番罪のない人間だというところも。

    編者解説を読むと、収録された作品の作者たちは、軒並みマニアとも呼べるほどのなかなかの怪談・お化け好きだったとのこと。
    そうだったんだ!なんだか親近感が湧く。
    宮沢賢治に至っては自身が視えるひとだったらしい。
    怪談と文豪への熱意の感じられる解説だった。


    備忘録がてら収録作品と作者名をば。

    ・千軒岳にて 火野葦平
    ・山の怪 田中貢太郎
    ・くろん坊 岡本綺堂
    ・河原坊 宮沢賢治
    ・秋葉長光ー虚空に嘲るもの 本堂平四郎
    ・百鬼夜行 菊池寛
    ・鈴鹿峠の雨 平山蘆江
    ・薬草取 泉鏡花
    ・魚服記 太宰治
    ・夢の日記から 中勘助
    ・山人外伝資料 柳田國男

  • 山の物怪小説のアンソロジー

    泉鏡花の「薬草取」は文章の美しさ際立ってたし、太宰治の「魚服記」には凄味を感じた。
    でもこの中では、やはり岡本綺堂の「くろん坊」が秀逸だった。
    怪談だけど、一番怖いのは人間よね。

  • ヤマケイの「山怪」モノ。
    火野葦平「千軒岳にて」で開幕するのがエンタメ感あって好きでした。
    平山蘆江「鈴鹿峠の雨」と泉鏡花「薬草取」の対比が美しい。
    太宰治「魚服記」は小説が上手すぎて感動。
    そして大トリ柳田國男「山人外伝資料」。山人先住民説、という棒で伝承・民話・怪談・伝聞の類を殴りまくっていて笑いました。

  • こわい話というのは、人の邪念や欲望、嫉妬や不安などの負の感情が、最もよく表出し形にされていると思う。
    岡本綺堂がさすがの語り口。

  • 文豪による山の怪奇アンソロジー。
    山怪奇と言っても人それぞれ個性がありました。
    未完で終わった『鉄の童子』、最後まで書かれていたらどんな結末になったのでしょうか。

  • 山にまつわる文豪怪談集。個人的には山はなんだか怖い、という印象があるのですが。……やっぱり怖い。でも民俗学的な部分も多くて、かなり興味深くもあります。実際行かずに、こういう作品を読みふけるのが一番(笑)。
    お気に入りは宮沢賢治「河原坊」。宮沢賢治は児童文学の人、というイメージが強いのですが、まさかこれほどにまで恐ろしい作品があっただなんて! なんともひっそりとして怖い作品でした。「誰かまはりをあるいてゐるな」にぞくぞくさせられます。
    中勘助「夢の日記から」、泉鏡花「薬草取」も、非常に幻想的で美しいながらも恐怖があって好きな作品。慣れないと文章がやや読みづらいと感じますが、それもまた味わいだなあ。現代のエンタメ作品もよいけれど、たまにこういう文章を読みたくなります。

  • 岡本綺堂、泉鏡花、太宰治などなど有名どころの筆による山の怪アンソロジー。
    泉鏡花は不動の鏡花節、美しく哀しい妖しさは美事の一言です。
    気になったのは村山槐多。彼の過剰さがどんなカタルシスを連れてくるのかと思えば未完。結末が知りたかったなあ。
    良かったのは本堂平八郎。剣豪のあやかし退治の一遍ですが節回しのついたような文章が端正で小気味の良い美しさ。解説にて作者自身が剣豪であったことを知り、美しさのもとはそれかと膝打つ作品でした(副題がダサイと思っていたら編者が付けたということもわかり、これも納得)。

  • 明治~昭和初期の文豪による山の怪談アンソロジー。山に棲む異形による凄絶な因果譚ともいえる岡本綺堂「くろん坊」や、峠越えで不可解な男女二人連れにつきまとわれる平山蘆江「鈴鹿峠の雨」などは、純粋な怪談として怖いが、その他はややファンタジックであったり、これが山の怪談?と首を傾げてしまうようなものも。

    詳しくはこちらに。
    http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2016-06-14

  • 「千軒岳にて」火野葦平
    「山の怪」田中貢太郎
    「くろん坊」岡本綺堂
    「河原坊」宮沢賢治
    「秋葉長光ー虚空に嘲るもの」本堂平四郎
    「百鬼夜行」菊池寛
    「鉄の童子」村山槐多
    「鈴鹿峠の雨」平山蘆江
    「薬草取」泉鏡花
    「魚服記」太宰治
    「夢の日記から」中勘助
    「山人外伝資料」柳田國男

    編者解説/東雅夫

  • アンソロジーはあんまり読まないんだけど、『山怪』と一緒に。岡本綺堂が一番よかった。

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著者プロフィール

1958年、神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。「幻想文学」「幽」編集長を歴任。ちくま文庫「文豪怪談傑作選」「文豪怪談ライバルズ!」シリーズはじめ編纂・監修書多数。著書に『遠野物語と怪談の時代』(日本推理作家協会賞受賞)『百物語の怪談史』『文豪たちの怪談ライブ』、編纂書に『ゴシック文学入門』『ゴシック文学神髄』、「文豪ノ怪談ジュニア・セレクション」「平成怪奇小説傑作集」「赤江瀑アラベスク」「文豪怪奇コレクション」の各シリーズ、監修書に「怪談えほん」シリーズなどがある。

「2022年 『桜 文豪怪談ライバルズ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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