シカ問題を考える バランスを崩した自然の行方 (ヤマケイ新書)

著者 :
  • 山と渓谷社
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本棚登録 : 76
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635510097

作品紹介・あらすじ

日本各地で増えつづけるシカ。植物が食べられるだけでなく、その影響は昆虫や鳥類にも及ぶ。森は存続が危ぶまれ、土砂崩れまでも引き起こすシカ問題は山問題といえる。なぜシカは増えてしまったのか、私たちはどう対応すべきなのか。シカ研究の第一人者によるシカ問題の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • まず「シカ問題」と言った時、それは人間にとっての問題ということ。貴重な植物が鹿によって減ってるとか農作物被害とか、それも人間目線で何が大事か決めているだけ。また人間も生態系の一部であり、都市型生活の主流化がこの問題を作り出しているということ。人間の都合で適切な頭数を決めるというのはナンセンスだし、コントロールできるものでもない。人はずっと自然を恐れつつ依存して生きてきた。近代以降は減れば保護するし増えれば悩むの繰り返し。右肩上がりの消費社会を求めることの限界。このままじゃダメだと強く思う。あとそれからやたらと鹿の生態(好きな植物、そうでない植物、消化器官とか角、繁殖)に詳しくなれた気が…。読んでよかったしこの著者の先生の本をもっと読みたくなりました。

  • これではなかなか解決できないのではないか。

  • いわゆる「里山」と言われる場所が職場でもあり、シカは日常的に見る動物。
    シカの害は耳に入ってくるものの、断片的だった。

    シカが森林の遷移にどのように影響するかをしっかりまとめてくれて分かりやすい。
    森林の高齢化
    希少植物の減少
    土壌の流出
    シカが大きく影響していることがわかる。

    それに付随して、
    例えば、シカの反芻の仕組みだったり、シカに強い植物、シカから物理的、化学的に防御している植物などの紹介、シカの1年の過ごし方、出産など、シカ周辺についても詳しくなれる。

    シカが増えている原因は何なのか?
    温暖化?オオカミの絶滅?狩猟圧の低下?さまざまな説をあげつつ、そのどれにも原因をもとめていない。
    最終的に「農村の活力低下」をあげて、我々のライフスタイルの見直しを迫る。

    後半は少しお説教めいていて、すっと入って来にくかったが、私にとって身近な「シカ」について詳しく知る事ができた本だった。

  • 都会人は関係ないと思っていると、のちのち大変なことになるかもしれない。日本が日本の風土を考え直す時かもしれません。金華山のシカのお話も。

  • 2018/9/24購入
    2020/4/3読了

  • 極端に走らないところに信頼感があります。
    私は勝手にオオカミの絶滅が関係していると考えていましたが、シカの増加の原因と思われるものを一つづつ消去していくやり方は説得力があります。
    先日読んだ「蘇我氏の古代」の吉村武彦さんも同様、わからないものはわからないとはっきり言い切れるのがすばらしい。

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著者プロフィール

麻布大学いのちの博物館上席学芸員

「2020年 『哺乳類の生物学5 生態 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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