条文の読み方

  • 有斐閣
3.92
  • (16)
  • (25)
  • (18)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 471
感想 : 31
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641125544

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • コンパクトだが、中身は充実。書中の用語を知るだけでも、条文の構造を理解しやすくなり、とても助かった。

  • 極力、シンプルに説明しようと試みているのがわかる。
    比較的読みやすかった。
    形態的に持ち運びやすく、良かった。

  • 法律や政令、規則などの法令において使われる独特な言い回しなどについて解説したもの。通常こうした本は、弁護士を始めとする法律を解釈する人が書くことが多い。本書の執筆陣は衆議院法制局と衆議院憲法審査会事務局のメンバーからなっている。つまり立法、法制執務の立場から書かれている点でとてもユニークだ。実際の法律の作り手から、云々の法律の文言はこういう使い分けがなされているとか、こうした言葉が使われているときは立法者はあるニュアンスを込めている、などと解説されている。実際の様々な法律を引きながら逐一解説されている。

    本書は二つの部分に分かれ、第一部では法律一般がどのようになっているかが書かれている。立法に関わる立場から、法律はどのような過程を経て成立、公布、施行されるのか。どうやって修正、廃止されるのか。また本則や附則といった法律内部の構造はどうなっているのか。特に、附則に書かれる経過措置の重要性について強調されている(p.14-16)のが目に留まる。また両院協議会についても。昨今のねじれ国会などで両院の意見が分かれた時、両院協議会において話し合われるのだが、元々意見が分かれたのだから両院協議会でそう簡単にまとまるわけがない。実際には事前にそのようなことがないように調整がなされているのであり、両院協議会の機能不全を嘆くより、そうした調整の活動に目を向けよ(p.23)と書かれている。本書は単に法律を解説した本に見えながら、ところどころこうしたきちんとした主張が見られるのが好ましい。

    さて第二部は一見同じ意味に見えるような法令用語について、その違いを解説している。例えば、「その他」と「その他の」は違う。「その他」は単に並列で言葉を結んでいるだけ。しかし「その他の」はその前に置かれる文言が例示であることを示しているので、実際に何が規定されるべきなのかは下位法令によって規定される必要がある(p.37-39)。同様に下位法令に大きな影響をおよぼすのが「なおその効力を有する」と「なお従前の例による」。これは旧法の規定が新法の制定後も有効であることを示す文言だが、「なおその効力を有する」は旧法そのものが有効だが、その有効範囲は旧法の規定だけにあって下位法令には無いという。したがって下位法令について経過処理などの規定が必要だ。「なお従前の例による」の場合、従前の例として下位法令を含めた法体系の効力を新法が引き継ぐ。したがって旧法は無効となる(p.107-109)。本書に取り上げられている文言は、すべて重大な差異を生じるものであるわけでなく、適用場面が決められているだけで、そんなに違いのないものもある。

    確かにこうした細かな、だが重大な法令用語の差異は解説してもらわないと分からないものなので、とても役に立つ本だ。法学部の一年生とか、法律をきちんと読む必要にかられた自分のような人に役立つ。

  • 入手してからずいぶん経ってしまいましたが、やっとこさ読み終えました。
    法学教室の連載を書籍化したもの。簡単にいうと、条文上の法令用語で似た意味のものについての解説プラスアルファの内容。
    従来から、法令用語を解説した本は公務員向けに発刊されてたりしていて、ちょこちょこ読んだこともあるんだけど、内容が詳細だし、とっつきにくい本が多かったりする。
    その点で、これを一般向けに、しかも読みやすく展開したという意味で、この本には大きな意義があると思う。
    条文の解釈とかいうわけではなくて、立法者がどういう意図でその言葉を用いたのかが分かるので、試験対策として直接役に立つわけではないけど、条文に親しみが湧く。気がする。

  • 実はあんまり類書のない分野においてまとまった本が出たのは良いことだと思う。
    随所にはさまれたコラムが面白かった。

  • P. 2
     さて、現在法律はいくつあるのでしょうか
     毎年、ほぼ100件を超える法律が国会で成立して、公布されています。戦後の第一回国会から第一八一国会まで(1947年5月から2012年11月まで)に成立した法律は、約9900件に及びます。民法のように戦前から続く法律もあることを考えると、さらに数は増えるはずなのですが、実際には、現行法律は約1880件といわれています。(ちなみに、政令については約2000件、府令・省令については約3500件といわれています)。

    →一部改正法の規程は、施行されると既存の法律に溶け込んで消えてしまう。

  • 今までなんとなく理解していた部分がはっきりした。本棚にあると安心。
    コラムも面白い。

    ただ,デザインはポップすぎるかなぁ。ドラえもんみたい…。

  • 基本中の基本。今更聞けないことをこっそり確認。

法制執務用語研究会の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
市川 寛
ウォルター・アイ...
古賀 茂明
芦部 信喜
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×