- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641162273
作品紹介・あらすじ
現代の企業にとって最大の問題は、不正で非効率な企業行動を抑止するコーポレート・ガバナンス問題である。経営学・経済学の最先端の理論「組織の経済学」を駆使し、何の目的で、どのような方法で、誰が、企業を統治するのかを論じる。明晰な分析と一貫した理論的見解は、さまざまな視点から議論される企業統治問題に新しい視座を提供する。
感想・レビュー・書評
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経済学的アプローチで日米独のコーポレートガバナンスを比較しており、興味深い。
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新制度派経済学の取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論を用いて、企業ガバナンスの国間比較論です。
国ごとの企業ガバナンスの違いは、日米比較ぐらいしかしっかり勉強したことがなかったのですが、今回は、ドイツ、韓国、タイの事例があったため、非常に勉強になりました。
企業は誰のものか?という問いに対して、
米国:株主 > 顧客 > 従業員
ドイツ:株主 ≧ 従業員 > 顧客
日本:従業員 > 顧客 > 株主
という分析がなされていた点がなるほどと思いました。
・ガバナンスは、倫理性・効率性の両面を追求する軸が存在すること
・株主ガバナンスと債権者ガバナンスが存在すること
・誰が取締役になるのか?で各国の特徴がある(米国:株主代理人、ドイツ:資本家代表[ユニバーサルバンク含む]+労働者代表併存型、日本:従業員代表+債権者(メインバンク)代表)
・企業のガバナンスには、政府の産業政策が大きく関係している。そして、新興国ほど政府の関与は大きい。
・時代とともにガバナンスのあり方は変化しており、変化するタイミングにおいては変化に伴う混乱が生じている
・各国ともに米国型に近づいている。
米国型が賞賛されがちなのかもしれませんが、各国の状況に応じてベストな形があるので、どういう状況においてどういう仕組みがマッチするのかを見極めることが重要だと思いました。
ただし、産業活動においても金融活動においても企業の活動がグローバル化する中でどのように共通基盤を作るのかと、各国事情をバランスさせるかが難しいところですね。 -
目的論、方法論、主権論の3つに分類したうえで、アプローチに全面的に組織の経済学を採用しているので理論に一貫性があって見通しがいい。
とくに参考になったのは主権論のところ。個人的に株主主権論にも従業員主権論にも与することができないので、ここで提示されている相対主権論には可能性を感じます。 -
【再読予定】
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新制度派経済学の諸理論を用いて、コーポレート・ガバナンス問題について論じた本。
コーポレート・ガバナンス問題とは何かを整理した上で、一つ一つじっくり考察していくという構図をもつ本書は隙がない。厚さの割に実に濃厚な本。
コーポレート・ガバナンスに興味のある人にはきっと役立つこと請け合い。 -
薄いけど、内容のめちゃめちゃ濃い本で、読むのに10時間はかかった。
理論的に捕らえるのにはベスト