感想は上巻にまとめて記載。

2019年3月13日

読書状況 読み終わった [2019年3月13日]
カテゴリ 歴史

ヨーロッパ中世史の大家による、中世史の概説書。
堀米氏の中世史理解に基づく歴史展開を解説している。

基本的には時系列に沿って、歴史展開を理解するのに必要な主要な人物・事件は記述するが、その詳細を追うよりは、なぜそのような展開になったのかについての背景や構造を探っていくスタイル。
非常にマクロな視点で、中世史を鳥瞰するような文章展開に、中世史がここまで分かりやすく筋を通せるものなのかと感心するばかりであった。

ヨーロッパ形成の前提となる西洋世界が東洋世界から分裂独立していく過程や、
古典文化・ゲルマン文化・キリスト教の相互対立あるいは共存の中から「ヨーロッパ」が形成されていく過程、
また中世初期から末期にかけての王権構造・支配構造の変遷や、社会経済の発展の過程とその影響等まで、読んでいて興味の尽きない論点に溢れている。

学校で学習した際には茫漠とした印象を与える中世史に、一本の筋道をつけてくれる(異論はあるようだが)、そういう意味では大変参考になる一冊だった。

2019年3月12日

読書状況 読み終わった [2019年3月12日]
カテゴリ 歴史

タイトル通り、イギリス史の簡略な概説書である。
本当にイギリス国内で起きたことを中心に、かつ政治史にピントを絞った簡潔な叙述である。
国際情勢の解説は最低限に抑えられており、イギリスでいつ・だれが・どのようなことをしたか、の順を抑えるには適切だが、なにぶん国際情勢を大幅に割愛しているため、現代史に近づけば近づくほど「なぜ?」が見えづらい大味な記述になってしまっている。

とは言え、本書の企画からすればその狙いは十分に達成しており、イギリス史のあらすじを掴むうえではコンパクトで便利な一冊だと思う。

2019年1月27日

読書状況 読み終わった [2019年1月27日]
カテゴリ 歴史

世界史初学者の補助輪に、また社会人の学び直しに向いた一冊と言える。
本書の狙いを一言でいえば、世界史の「あらすじ」を無理なく読み通し頭に収めてもらうこと、だろう。

世界史を一歩目から事細かに学習していくと根気が続かないだけでなく、一体今学習している内容と今まで学習した内容がどう連動しているのかがイメージできない。つまり世界史のダイナミクスが味わえず、ひたすら苦痛な暗記作業に堕してしまいがちである。
そこで本書は、まず先に世界史の全体像を掴んでもらうことを狙う。全体が見えていれば、細かい学習を進めていく際に迷子にならない。
この狙いは良いだろう。

その狙いを達成するために本書が採った手段は、
「ストーリー性の重視」と「年号の非表記」の2点。
あくまで話の流れに集中してほしいという著者の狙いだ。
年号の非表記については人によっては却って混乱する要因にもなりかねないが、一度何となく全体感が頭に入っている学び直しの社会人にとっては悪くない手法だと思う。
学生にとっては、もちろんこれ一冊で受験に臨む人はいないだろうが、高校1年の最初にでも読み、世界史の森に迷子になりかけたときに手にとるように使えば、その効果は十分に発揮されると思う。

2019年1月20日

読書状況 読み終わった [2019年1月20日]
カテゴリ 歴史

アメリカSFの古典中の古典。
何だか軽妙で滑稽で、テンポよく展開される、大風呂敷のようで大風呂敷ではない小咄。

時間等曲率漏斗なるものに突入して、様々な時空間に偏在することになったラムファード氏は、人類救済のための大掛かりな野望に取り組む。
その道具となった、とある大富豪の遍歴の物語でもある。

さて、人類を救済するには結局何が必要なのか。ラムファード氏の野望は上手くいくのか?
行われていることは壮大なのに、どこか珍妙で胡散臭い。それが読み手をウキウキさせるような珍妙さである。
それでいて、話の収束させ方が実に素朴。
一周回って・・・と言う感じである。

ウキウキしてしんみりする。非常に素晴らしい時間つぶしになる。確かに傑作だと思う。

2018年11月21日

読書状況 読み終わった [2018年11月21日]

タイトル通り、転職というものを考える際の思考の軸を提供する本。

本書は転職を考える30歳の男性を主人公にした物語形式で展開される。
「転職は悪」というカラーが色濃く残るガラパゴス産業で、何となく8年間勤めてきた男性・・・という、昭和な価値観を反映した舞台設定だが、恐らく(私を含め)思わず本書を手にとった多くの読者が共感できる設定であることは、本書の読みやすさの源泉だと思う。

本書の思考法は、要は「もっとも適切な自分の置き場の考え方」と言えると思う。
転職を現時点で考えていない人でも、今の自分の会社・自分の立場を改めて俯瞰できる視点でもあるため、読んでみて一定の価値はあると感じた。

書いてあることも至極真っ当に感じる。、思考の軸としては大変シンプルで分かりやすかったし、巻末にポイントまとめがついているのも評価点。

転職を考える人、今の職場が何となく不満な人、特に不満はないけど何となく今の職場での勤続年数が長くなってきた人・・・。少し高いところから自分の仕事を見つめ直すのに良い一冊だと思う。

2018年11月3日

読書状況 読み終わった [2018年11月3日]
カテゴリ 自己啓発

人類は紀元前の昔から、自分たちの知り得た土地を視覚化すべく地図を作ってきたが、その中に様々登場し、消えていった「幻の土地」たちの列伝。

全部で58の、かつて地図上に存在した幻の土地、島、山、川、海、都市・・・がその地図と共に紹介されていく。
このような幻の土地が現れる理由はおおむね下記のパターンのようだ。

1.純粋な誤認、誤解(海上で蜃気楼や雲を島と見間違える等。最も多い)
2.当時としては合理的な推測に基づく「あるはずの土地」(川の源流に大きな山脈があるはず・・・等)
3.「あってほしい」という願望に基づく推測(大西洋と太平洋を結ぶ北米の海路等)
4.冒険家らが自らの業績を謳うために行われた虚偽の発見報告に基づく土地。
5.人を騙す目的で騙られた架空の土地。
6.神話、伝説、伝承に基づく土地。

最初のうちは様々な架空の土地の経歴を読んでいくのはとても愉快な経験である。しかし途中から如何にもマンネリ化してくるのは否めない。上記1のパターンが特に多いし。
大判な印刷で、良質の紙にでかでかと何十枚も掲載されている古の世界地図の図版が最大のウリだろうか。眺めていても美しく楽しい本ではある。

2018年10月18日

読書状況 読み終わった [2018年10月18日]
カテゴリ 歴史

東洋史家の手になる「アジア史から一望」した世界史概説書である。
学校教育以来、西洋史中心の世界史に馴染みが深い私にとっては、大変新鮮な視座を提供してくれる快著だった。

近年、世界史のトレンドとして「グローバル・ヒストリー」の名の下に、西洋史家も自分たちの西洋中心史観を反省して、アジア史にも目配せした世界史の構築に勤しんでいる。
著者自身も、人類全体の歴史を構想しようというその姿勢自体は歓迎なのであろう。しかし、著者に言わせると、グローバル・ヒストリーの担い手たちは、あくまで西洋史の成果から脱却できていらず東洋史の成果を顧みもしないで、間違った分析ばかりしている、とかなりお怒り。その偏向を正すために、東洋史から見た世界史というテーマで本書をものしたとのこと。

さて、本書は全体の2/3を占める18世紀頃までのアジア史の展開と、その後主導権を奪取することになる西洋の近代史と、最後に本書の論調に照らし合わせた日本史の性格、の3部から構成されていると言える。

18世紀頃まで、世界史の中心はアジアにあったとの論旨は大変興味深い。その歴史的構造は「遊牧=騎馬民族=軍事・機動力」とその周縁の「定住=農耕民族=商業」との二元構造に立脚している。この両者が相互に利用しあい、繁栄を築いていくプロセスが、徐々に洗練されていきモンゴル帝国にて頂点に達する過程と整理されている。この視点で、モンゴル帝国分裂後のアジア各地の政権も、遊牧民族国家が生み出した統治構造に立脚していたという整理されており、学校教育ではどうしても一つのまとまりとして頭に残らなかったアジア史に、一本縦糸が通った気分。

一方、この時期までのヨーロッパは、世界史の周縁でしかなかった。
では何故、騎馬遊牧帝国が築いた文明のプレゼンスがその後低下していったのか。
機動力の主役が馬から船に移ったからである。

この画期を成したのは、西洋のいわゆる「大航海時代」である。先進地域アジアの物品の貿易で富を貯めこんだイタリアにルネサンスが起こり、それが大航海時代に繋がり、新大陸を発見するに至る。
そこで得た莫大な富を官民挙げて投資に回し、海洋帝国を築き上げ、洗練していき、遂には産業革命を達成し、圧倒的な物量を持ってアジアと地位を逆転していく。
西欧(特にイギリス)にてこの展開を可能ならしめたのは「法の支配」を前提とした「信用」に基づく金融の発展の影響が大である。
アジアでは、18世紀までにまさにアジアを発展せしめた多文化・多民族による多元的構造こそが、統一的な「法の支配」や「信用」の発展の妨げとなったという。
アジアが覇権を築いていた同時期に、西洋は暗黒時代とされた中世を経験していたが、支配者と被支配者が近い距離で関係を保つ「封建制」こそ、後の官民一致の帝国形成の基礎となったとする点は非常に面白い。

またこのような東洋と西洋の歴史的展開を見たうえで日本史を振り返ると、東洋的な要素はほぼ見受けられず、西洋に近い展開を経てきていると読み取れる。
グローバル・ヒストリーを志す当の日本人がこのことを見落としており、東洋史家の著者は、まだまだ東洋史家の自分の仕事に終わりは来ないとして。本書を結ぶ。

その他、気候変動を歴史展開の重要な要因としている点も興味深かった。
浅学ゆえ本書の記述の正確性などは全く分からないけど、新たな世界史の視座を与えてくれて、興味の広がる一冊だった。

2018年10月5日

読書状況 読み終わった [2018年10月5日]
カテゴリ 歴史

著者は保険会社、代理店勤務を経て、中立な立場でのアドバイザー業務を行っている人物。
本書は「保険の損得」についての考え方を説き、そこから各種保険の要否についての意見が述べられている。

まず保険とは「必要となる費用にあらかじめ備える手段」であると定義する。こう定義すると、預貯金やその他投資などの蓄財方法と同じまな板で検討すべきものとスッキリする。
そのうえで保険とは、「損が出る可能性の高い不利な賭け」と断じる。保険料には、胴元(=保険会社)の儲け、リスクに対するバッファや、そもそも経費が上乗せされているからだ。
とは言え、メリットが無いかと言えばそうでもなく、「滅多に起こらないが、起こったときの経済的打撃が大きいもの」「いつ起こるか分からないもの」に対する備えには適しているとする。預貯金を積み立てているうちに不慮の事態が起こり、とても数年では貯蓄できないような多額な出費を要するような事態には向いているということになる。

保険を検討する際の損得勘定は、掛け金と還付金×発生確率(=期待値)との比較で行うべきとする。感情的な評価は排除するのがポイント。
上記を踏まえれば、例えば、医療保険を不要と論ずる人が多いのはすぐ理解できる。(10万~20万程度の費用はさすがに自前で準備できる)

実に平易な文章だし、原理原則がシンプルなだけに分かりやすい。勿論、人によってこの考え方が合わない人もいるのかもしれないが・・・。
保険を検討したいけど何をポイントに検討すればいいのか分からない。そんな人は一読して損はない一冊と思った。

2018年5月8日

読書状況 読み終わった [2018年5月8日]
カテゴリ 暮らしとお金

科学情報サイトを運営しているフリーライターによる、ラーメン科学読本。
ラーメン好きのための、暇つぶし&ちょっと変わったウンチク本としては非常に優良。

ラーメンの良し悪しは「うま味」で決まるのか?っつーかうま味って何?とか
つけ麺は何でぬるいの?とか
ラーメン好きなら日々感覚的に思っていたことの科学的根拠が、非常にライトに書かれていて、楽しく読める。

この本を楽しめるかどうかは、日々どれだけラーメンに触れているかどうかにかかっている気がする。笑

2018年3月14日

読書状況 読み終わった [2018年3月14日]
カテゴリ 雑学

「天職」はどこかあるもの、ではなく、「天職」は自らの努力で生み出されるものである。という主張のキャリア論。

人が羨む素晴らしい仕事は「創造性」「影響力」「自由度」の2つ以上が満たされた仕事であるとし、
では、世間一般から見てそのような仕事についている人は、どうやってその仕事にたどり着いたのか?
を具体的な事例を多数交えて追っていく。

結論としては、誰にとってもそのような「やりたい」仕事があらかじめ用意されてなどおらず、
今自分が置かれている環境で、自分のスキルを極限まで磨き上げた結果、そのスキルに対する報酬として、次元の高い「天職」を掴むことができたという人が大半であるということ。

そのようなスキル資本を積み上げるためのヒントや、積み上げたスキル資本を満足度の高い仕事に繋げるための考え方等も書かれている。

青い鳥症候群に陥っているやる気だけは溢れる若者や、何となく今の自分の仕事に停滞感を感じている人に向いたキャリア本。

2018年3月9日

読書状況 読み終わった [2018年3月9日]
カテゴリ 自己啓発

時間管理、タスク管理、行動改善を、手帳一つで結構やれちゃいますよ。という本。
PDCA本を期待していると肩透かしを食らうので注意。
目からウロコが出るようなことは書いていないが、日々活用している手帳に、更に活躍してもらうための活用術である。
紹介されている主要な技術は、
・タスクリストの作り方、手帳での管理の仕方
・他人とのアポだけでなく、一人で行う作業予定も手帳に落とし込む。
・その日の行動結果と、当初立てた予定との差異を確認する。
・反省点や翌日に生かしたいことをメモ欄に書く。
といったこと。

結局手帳一つでは完結しない用法であったり、どう考えても大型の手帳を使わないと書き切れそうになかったり、と疑問の残る点もあるが、行動結果の振り返りに使えるというのは試してみたいと思った。

2018年2月27日

読書状況 読み終わった [2018年2月27日]
カテゴリ ビジネス書

著者の我流・超実践的PDCAの技法を解説した本。

一般的なPDCA本に比べると、著者自身が社会人になったころから毎日活用・改良を続けてき、自身が経営する企業でもチームマネジメントに使っているというのだから、実践面・具体性において頭一つ抜けている。

各ステップで何を考慮すべきか、どのように実践すべきか、また初めてやる人がどういったところで躓きがちか、等、本当に読者に本手法を実践してほしいという思いが詰まった丁寧な一冊になっている。
何とか週に2、3日、終業後に一時間とは言えなくとも、30分、こういう考えることに時間を割きたい。割かねばならない・・・。

2017年12月4日

読書状況 読み終わった [2017年12月4日]
カテゴリ ビジネス書

脳科学者である著者の育児日記的なエッセイ的な本。
単純に面白いし、興味深い。

親ばか全開の著者の育児エッセイだが、日々の子供の発達を脳科学の側面から解説しているのが、勿論最大の特徴。

赤ちゃんから幼児期にいたるまで、各月齢の子供は、世界をどのように認識しているのか?
わが子の発達と照らしながら「ああ、きっと今、この子の中では世界はこのように理解されているんだろうなあ」と思いを馳せるのが面白い。

年齢の低い子供を今まさに育てている親なら、確実に楽しく読めて、そしてちょっぴりタメになるんじゃなかろうか。

2017年11月2日

読書状況 読み終わった [2017年11月2日]
カテゴリ 評論・エッセイ

タイトル通りの内容の啓発書。
著者が工学博士であり、失敗学会の関係者でもある、というプロフィールに興味を持ち一読。

結果としては、思いのほか、対症療法的なTIPS集。
著者の経歴から、もっとシステマティックで大系化された独自ノウハウがあるのかな、と勝手に夢想した私が悪いと言えば悪い。
気づきが得られるところもあり、取り込めるところも幾分かは見つかるだろう、平均的な出来のビジネス書。

2017年11月9日

読書状況 読み終わった [2017年11月9日]
カテゴリ ビジネス書

絵本作家ヨシタケシンスケ氏のイラスト入り育児エッセイ。

「子育てってこんなにも大変だったのか。。。」と、その壁に直面している(あるいはした)新米パパなら、必ず一つや二つは共感できる「あるある」が満載。
自分だけじゃない、みんな苦労しているんだという安心材料にもなるし、
(奥さんとの関係が良好なら)一緒に読んで話のネタにすることで、日々戸惑う父の心理を理解してもらえる一助にもなる。笑

2017年10月2日

読書状況 読み終わった [2017年10月2日]
カテゴリ 評論・エッセイ

少子高齢化による日本の人口減についての啓発書。
政府や各研究機関が発表している将来の人口推計を元に
①2065年までの間に日本社会に起こる(悲惨な)変化
②いま出来る解決策の提示
を行なっている。

将来推計が発表される都度、断片的な情報は新聞などから入ってくるが、それを総合し、順を追ってこのまま行くと日本はいつ、どのようになってしまうのか?
が大変簡潔で分かりやすい一冊。

少子高齢化による人口減を「静かなる有事」と捉える著者の、政府や我々の無関心・不理解に対する静かなる怒りすら感じる。
政府官僚は勿論、国民一丸となって乗り切るべき深刻な事態ということが伝わった。

2017年10月20日

読書状況 読み終わった [2017年10月20日]
カテゴリ 雑学

3世紀から6世紀にかけての時代を、単に没落の時代と捉えるのではなく、古代から中世への転換期(文化的に継承されるものもあれば変容していくものもあった時代)として捉える立場に立つ。
この時代の政治・宗教・学問・芸術・経済・社会の各分野の様相を簡潔に記述していく。

本シリーズの難点で、論ずる幅は広範なのに紙幅が少ないためにどうしても事実や固有名詞の羅列的な文章になってしまって退屈なのに変わりはない。
興味のある分野(私個人で言えば政治・学問・経済あたり)に関しては、スルスルと頭に入っていく一方、
興味が薄く前提知識の少ない分野ほど、右から左に抜けていく。

ただ、前の時代から受け継がれてきた結果としての叙述や当時の帝国の構造的な部分に関する言及も短く入っており、少しく興味は掻き立てられる一冊ではあった。

2017年7月27日

読書状況 読み終わった [2017年7月27日]
カテゴリ 歴史

チームリーダー向け時間術の本。

基本は同じ著者が別著に書いてある手法(発生都度タスクを実行日のスケジュールに書き込む)をベースにしながら、部下への指示や指導、進捗確認と言ったリーダーならではの業務も効率よくかつ抜け漏れなく進めるにはどうするかを説く。

基本的な考え方は同じで、指示した時点で「着手予定日」「完了予定日」を部下に表明させ、そのタイミングで確認を取るよう自身のスケジュールに埋め込むというもの。
単純だけど効果的。だから実践に移しやすい。

それ以外にもコミュニケーション方法についてのアドバイスも記述があるが、そちらは更に常識的なことが書いてあるので、目新しさはないが日々の自身の振り返りの意味で一読して良かったと思う。

2017年7月12日

読書状況 読み終わった [2017年7月12日]
カテゴリ ビジネス書

ディオクレティアヌス帝期の簡単な通史と、諸制度、政策の概説。

本シリーズにありがちな、制度の話中心に広く浅くこの時代を解説するスタイル。
通史、四帝統治の理念ときて、皇帝の役割、行政、税制・財政、軍制、宗教・・・と当時の諸制度がどうであったかが解説される。

この時代について簡単な調べ物をするのにはいいが、通読しても眠くなるばかり。
とにかくディオクレティアヌス帝期のローマについて強い関心を持っていないと、なかなかのめり込めない一冊ではなかろうか。

テトラルキアは、あくまでディオクレティアヌスをボスとした分業制であり、帝国分裂の意図や傾向はディオクレティアヌス帝在位時には全くなかった、という点だけは頭に残った。(集中力がそこまでしか持たなかったとも言う)

2017年7月4日

読書状況 読み終わった [2017年7月4日]
カテゴリ 歴史

軍人皇帝時代に焦点を当てたローマ帝国(文明)衰亡論。
衰亡の原因を元老院貴族から軍人への支配層の変化に求めた一冊。

五賢帝時代までに政治的支配層である元老院身分の制度化に伴い文人化が加速した一方、領土拡大に伴う外圧・内乱の可能性は帝国全土に広まった。
その中で軍事経験に乏しい元老院身分に代わって、たたき上げの軍人が帝位に就き、かつ高い軍事能力の持ち主が抜擢され、ポストを得られるように変わっていったのが軍人皇帝時代であった。
外圧はこれにより凌いだものの、軍事力こそ権力の源泉という構図が明確になり、帝位の簒奪・僭称が頻発。帝国の分裂傾向が加速することになる。
その混乱のなかでローマは決定的な分裂、滅亡への道をたどっていくこととなる。

著者の視点のユニークなところは、ここで中国の歴史と比較することである。
中国では後漢末の混乱期以来、ローマ同様、文人に成り代わり武人が政権を担う時代が続いた(魏晋南北朝時代)。
ところが、中国では武人が政権をとっても、支配者層は依然として文人層が占めており、政権をとった軍人王朝の人間も、政権を安定させる過程で文人化するのが常であった。(北魏の孝文帝ほか)

この差異が、中国は統一王朝が滅びても中国文明は連綿と続いたのに対して、ローマ文明は帝国滅亡後、文明が承継されなかった要因と、著者は見る。

では何故、ローマでは政権をとった軍人が文人に同化されなかったのか?
著者は元老院貴族との物理的な距離(ローマ市と帝国全土)、婚姻関係が無かったこと、また当時世間一般に広まっていた元老院階級への嫌悪感をその理由に挙げる。
この末尾部分の主張はやや弱く感じたものの、筋は通っている。

全体に、軍人皇帝時代というあまり脚光を浴びない時代の概説書として貴重であること、かつその政治支配構造の移り変わり、五賢帝時代から末期ローマ帝国への変遷が分かりやすいこと、
それに加えて、中国文明との対比などユニークな視点が盛り込まれていることなど、
少し文章が冗長なのを差し引いても、十分に刺激的で面白い一冊だったと思う。

2017年6月20日

読書状況 読み終わった [2017年6月20日]
カテゴリ 歴史

古代ローマ・五賢帝時代の概説書。

五賢帝時代というと、ギボンの「人類が最も幸福だった時代」という言葉に象徴的に表されるように、一般的には
・「養子皇帝制」に立脚し、有能な皇帝が5代続いた政治的に安定した時代
・版図は最大化し、大きな軍事的な混乱のなかった時代
・上記に立脚し、人々はパクス・ロマーナを享受していた・・・
と言ったイメージが連想されるし、事実学校教育ではそれに近いことを習った記憶がある。

本書の特徴は、「プロソポグラフィー的研究」の手法を用い、後世書かれた史料からだけでは分かりづらい当時の政治支配層の動向を描き出し、そこから当時の政治状況を分析している点である。
この結果、本書では五賢帝の時代が、冒頭述べたような安定と平和だけの時代ではなく、大いに陰の部分を持った時代であったこと。
ひいては後に続く軍人皇帝時代という混乱期の種がまかれ始めていたことを解き明かす。

まさに目から鱗の一冊で、著者の丹念な調査と論旨展開に引き込まれる。
高校世界史で植え付けられた五賢帝時代や、5人の各皇帝のキャラクターに対するイメージが大きく揺るがされる。
ネルウァは不安定な政治基盤のうえで苦悩し、トラヤヌス即位の陰には大いなる政争があったことを伺わせる。続くハドリアヌスも即位の際にも本人のコントロール外で争いがあったようだし、この両皇帝はその経緯が即位後の政策にも反映されているようである。
これらを受けたアントニヌス・ピウスの用意周到な後継者選びも当時の政治動向を大いに反映しているようだし、これらの経緯を見るとマルクス・アウレリウス・アントニヌスが実子のコンモドゥスを後継に選んだのは当然の措置だと分かってくる。

五賢帝時代は、共和政末期や帝政末期に比べると詳細に語られている本自体少ないこともあり、この時代の政治史を掴むうえでは必読の一冊だと思う。
また誰かが書いた歴史以外の史料から歴史を再構築するという点で非常に刺激を受けること請け合いである。

2017年6月2日

読書状況 読み終わった [2017年6月2日]
カテゴリ 歴史

「暴君」で知られる古代ローマ皇帝・ネロの伝記である。
主にスエトニウス、カッシウス・ディオの史書にあたりながらネロの生涯を描いた一冊。

望んでもいないのに権力欲の権化のような母により皇帝の地位に就かされ、常に母の影響下にビクビクする青年期。
しかしいざ皇帝の座に就けば、その権力が彼に反抗するための力と臣下を与えてくれる。
そしてやっとこさ母を排除した彼には、もうブレーキなど備わっていなかった。
今までやりたかったことを、のびのびと、皇帝命令としてその権限下でやりたい放題やった・・・。
ただそれだけの人物のように見える。

教育ママの手で訳も分からないうちに小学校受験をさせられて、エリート校に入るも、高校あたりでグレる子供みたいな人生である。
ただ、彼が手にしたのは、エリート校の学籍などではなく、当時世界一の権力者の座だったがゆえに、ここまでの「暴君」となりえてしまったという印象を受けた。

同時代史がほぼ残っておらず、後世の、すでに「暴君」としての評価が定まってからの史料しか利用できないゆえに、彼の暴虐性が強調されている面もあるようで、本当に実際は、悪人ではなく、無邪気なお馬鹿さんだったように思える。

2017年5月22日

読書状況 読み終わった [2017年5月22日]
カテゴリ 歴史

古代ローマの水道事情を、現役の土木エンジニアが語る一冊。

内容としては、主にフロンティヌスの『水道書』と、ウィトルウィウスの『建築書』を典拠に、古代ローマ及びその植民都市の水道事情や建築技術、それらの普及度合を概観する。

それ自体はそこそこに興味深いが、判明している客観的事実の羅列の観は否めなく、もう少し土木エンジニアならではの技術面からの解説(特に、古代ローマの技術が現在と比べてもいかに高水準であったか、素人にも分かるような解説)が欲しかった。(江戸時代と比較している場合じゃないよ)
精密な技術で建築されていることは何となく伝わってくるものの、著者自身がそのことを「凄い」だの「素晴らしい」だのという子供の感想みたいな表現で感心するばかりで、読み手としては少し物足りないのが正直なところ。
あと歴史的事実に関する確認が不足しており、明らかな間違いが頻出し、集中力が散ってしまう。出版社も少しは校閲してあげてほしい。

ただ、この時代に、ローマがいかに大量の水を供給し消費していたかと言う点や、帝国各地に同様の技術水準で給水施設を完備する体制(マニュアル化、教育、専門部隊の育成)を敷いていたという点は、やはりそれ自体驚異的で、実に興味深かった。

2017年5月14日

読書状況 読み終わった [2017年5月14日]
カテゴリ 歴史
ツイートする