リーダーたちの日清戦争 (542) (歴史文化ライブラリー 542)
- 吉川弘文館 (2022年1月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642059428
作品紹介・あらすじ
近代国家として戦った初めての本格的な対外戦争=日清戦争。伊藤博文や陸奥宗光ら日本の指導者たちは、どのように戦争を遂行したのか。彼らの認識と行動に着目し、開戦過程、清や諸外国との外交上の折衝、講和成立までの動向、三国干渉と日本の対応などを、政府中枢の分析を通じて解明。東アジア世界の秩序を根本的に変えた日清戦争の全貌に迫る。
感想・レビュー・書評
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日清戦争の経緯を追う。"建国者"たちが首脳だったこの時期は、開戦から講和まで、国の指針が概ね一定のリーダーシップによって導かれており、大きな観点ではそれが勝因。清にはそれが無かったし、後年の日本にも無い。ある意味特殊だった状況が、結局事後100年間、日本をアジアのリーダーたらしめた。個人的には、日清戦争の必然性(はあったのか含め)をもう少し掘り下げて知りたかった。
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東2法経図・6F開架:210.65A/Sa75r//K
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当時の指導層の動きを中心に、開戦過程や推移、戦後の余波をミクロに見ていく。
伊藤首相の指導力の下で政軍が一致し、軍は政治的決定の枠内で動いていたというのが近年の通説的見解。一方で開戦過程は誤算や方針転換に満ち錯綜していた。伊藤は対清協調・非戦志向だったが、同時に朝鮮独立扶持を基本方針としており、そうならどこかで日清開戦は不可避だったのか。
平壌の戦いと黄海海戦で国内は祝賀ムード、議会・政党も戦争遂行を強く支持。講和条約の交渉過程では、日本側は李鴻章と本国との暗号通信を解読しており強硬姿勢。李鴻章を中国で漢奸扱いする見方があるのもこういうことか。
三国干渉では、露はともかく独の参加は察知できず。ただ朝鮮独立や賠償金、台湾割譲といった他の利益確保を優先するため応じ、政府は国内の反発を和らげるため各種措置をとる。
戦争の余波としては、戦後の軍拡や朝鮮情勢の変化、欧州列強の清への進出本格化。