平安貴族の仕事と昇進: どこまで出世できるのか (570) (歴史文化ライブラリー 570)

著者 :
  • 吉川弘文館
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642059701

作品紹介・あらすじ

びっしりつまった年中行事、出世を阻む厚い壁、ひっきりなしの問い合わせ…。平安貴族の日常は想像以上に過酷だった。彼らの人生サイクル、仕事、昇進にスポットをあて、みやびなイメージとは程遠い、貴族社会のリアルな姿を解明する。古記録などの豊富なエピソードをもとに官位のしくみや昇進ルートを平易に解説。王朝文学を学ぶ人にもおすすめ。

感想・レビュー・書評

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  • イメージする優雅な平安貴族の日々。
    しかし、その実態は、年中行事に追われる毎日。

    祭礼の準備、書類を認め、挨拶回りに、それが終わったらまた次の仕事。
    いったいいつ休んでいるのかという感じ。
    中には未明近く、あるいは、夜が明けてから帰宅する貴族も。

    平安時代から「前例があるから」「前例がないから」という理由で、官僚の仕事が進んでいたのも面白かった。

  • 大河ドラマ予習本。
    源氏物語や枕草子を読むかぎり、平安貴族って音楽奏でて和歌を詠んでで、仕事してなさそう。そんな平安貴族たちの仕事ぶりが、彼らが残した日記から丹念に紐解かれる。

    実働部隊の忙しいこと。「権少外記清原重憲記」六位外記の重憲の正月はなかなかに多忙。朝帰りも多いうえに、正月の26日までに休日はたった3日!ブラック!
    確認のため複数の上司の間をたらいまわしにされたり、ずっと同じ部署にいる人が専門職として重宝されたりするのは現代にも通ずる。

    こういう視点の平安本を読んだのははじめて。偉い人の意向だけで出世や仕事が決まるわけではなく、基本的には前例を踏襲して粛々と遂行している。なんで紫式部の父が任官されなかったのかがよくわかった。コネがないうえに、むいてないもの。

  • 平安貴族の任官とその仕事を、日記や説話から説明しており、とても興味深かった。

    特に出世の仕方について知ることができ、藤原行成が父義孝が早世したため、摂関家の末裔にしてはやや苦労しながら出世していくのがわかった。

    また、受領を待ち焦がれること、猟官をすること、それを認める公卿の立ち位置など、平安時代の社会が、『源氏物語』や『枕草子』には書かれない様子も知ることができた。

    今後、物語や随筆、説話を読むときの参考にしたい。

  • 三位以上の公卿、四位・五位の諸大夫、六位以下の侍に分けて、彼らの出世コースや具体的な一日が書かれている。結局元々の出自がかなりモノを言う世界。蔵人や外記が出世コースなんだなとわかった。外記の中でも権少外記っていう、5人の中で一番の新参者が一番仕事多くて忙しいっていう、結構スパルタ。能力というより基本年功序列で、順番に繰り上がっていくスタイル。先例をよく学んで、それに則って対応することが素晴らしいとされる。嘘も方便で、先例を学ぶために触穢と偽って欠勤して勉強した人が褒められていたり、明らかに嘘な蘇り譚で役職を子に譲ったり、そのゆるーい感じが平安時代の良さなのかなと思った。今だったらめっさ懲戒されそう。

  • (借.新宿区立図書館)
    貴族といっても下位の「諸大夫」とか「侍」(武士と言う意味ではない)クラスの仕事ぶりと出世状況など。確かに仕事は大変そうだが年中行事の儀式遂行(細かい部分、前例などばかり問題にする)が中心。プルシットジョブのような気もする。これでは武士の台頭を許すだろう。
    ちらっと書かれている地方出身者の中央への出身が気になるところ。安倍晴明もそのパターンではなかったのか?

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/786827

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著者プロフィール

京都市歴史資料館

「2007年 『彦根城下町検定公式テキストブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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