- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642063845
作品紹介・あらすじ
自分の苗字(名字)にはどのような意味や由来があり、どこにいかに分布しているのかを知りたいと思う人は多い。苗字の起こりから近代の苗字公称まで、中世史の泰斗がやさしく解説した「苗字の歴史」入門、待望の復刊。
感想・レビュー・書評
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時代劇を見たり読んだりする時に、正式に与えれられた官名やら自称とか、身分による呼び方の使い分けとか、なんとなく分かっているようなでもちゃんとは分かっていない。
そういうわけで日本の名字、官名、諱や字などをちゃんと知りたくて色々借りてきているなかの1冊。
【名字と苗字】
✔もとは「名字」だったが、「苗」の字に種とか、血筋の意味があるので、同種同梱の苗裔ということで「苗字」が出て、江戸時代では「苗字」になっていったようだ。
✔名字の始まりには説があり、土地を開墾し所有関係を表すためということと、字(あざな)から発達したという説。
【名字の歴史】
✔大化の改新語に、豪族は氏(うじ)と姓(かばね。朝臣、など)を持ち、庶民は支配者の氏の名に部をつけていた。蘇我氏の部民である農民は「蘇我部○○」など。
✔大化の改新後に、貴族の農民支配を廃止し、全国民を公民とし、戸籍制度ができて、国民全てが氏を持った。
✔奈良時代末期ごろから、その土地を離れた浪人は氏を失った。戸籍登録も寂れていった。そのため、氏が戸籍に登録されない農民が増えていった。
【字(あざな)】
✔氏に代わり字が普及した。もともとは中国で男子が成人後実名の他につける別名。中国の場合、「諸葛亮」は「諸葛」が姓、「亮」が諱、字が「孔明」。
✔日本でも戸籍制度が廃れて字が称号として用いられた。諱には呪詛力があるなど、他人に知られたり呼んだりすることを避けるため。字としては地名を使用することが多い。
✔字は、通称、通り名、二つ名、異名、などとも言う。
✔名と字を合わせて「名字」という言葉になった。
【家紋と名字】
✔家紋は名字とともに、特定の一族を認識するために始まっていった。
✔武士においては、合戦の敵味方の区別だったのが、鎌倉時代からは権威付けになっていった。
✔惣領家が特定の名字や家紋を使用し、庶子家は多少の相違をつけた名字や家紋を使用した。
✔武士の家紋では、氏神信仰と結びつくことが多かった。
✔鎌倉時代に、地方節が将軍の御家人となる場合、交名(きょうみょう)の注進を行い、武士の名字を将軍に認知してもらった。
【名字の伝達】
✔名字の全国分布は、武士が合戦や赴任で地方に移動する場合、農民が移動する場合などにより広がってゆく。
この本では、日本各地における苗字分布の特徴を歴史的背景に照らし合わせて研究しています。
【身分制度における名字】
✔鎌倉時代までは武士団の移住により、土地が変われば別の名字を名乗っていた。
✔室町時代になると、先祖以来の加盟を尊重して子孫に伝えるようになり、名字の継続は家督の継続となっていった。
✔豊臣、徳川時代で、身分制度が確立されていくと、庶民には特別な場合のみ、苗字公称や帯刀や裃着用が認められた。
✔庶民においては、屋号が苗字の代用をなしていた。一族同一の屋号を継承してゆくということで、家の相続を表したので、事実上苗字と同じ。
✔江戸時代まで夫婦別姓だったのは、妻の家の由緒を示すためであり、夫婦同姓にすることは意味がなかったため(という研究)。
✔現在の戸籍制度、苗字+名前の表記になったのは、明治政府の制度の一つ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
地域史
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個々の苗字がどうこう、というよりは、タイトルの通り、歴史。
古代の制度な由来する物、中世~戦国あたりの武士の移動なりによって分布した物、また苗字が身分により許可されたされないなどの制度史的な論考と、それぞれはかなり読みやすい長さだが、盛りだくさん。 -
苗字について知りたくなり読んでみることにした。苗字の起こりから歴史、さまざまな苗字を具体的にあげて、その意味や由来、分布などが概観されている。
…ただ、1910年生まれの著者の文体は必ずしも読みやすいとは言えない(*_*)教養不足を痛感させられた(*_*)