ホ-ムランを打ったことのない君に

著者 :
  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652040485

作品紹介・あらすじ

試合でちっとも打てないぼくは、野球部出身の仙吉に出会う。ぼくもいつかホームランを打つ。あきらめずにがんばろうと誓うのだった…。夢にむかって歩き続けることの大切さを、野球が大好きな少年と野球を愛し続ける青年の交流を通してえがく絵本。

感想・レビュー・書評

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  • なんといっても、
    まずタイトルが秀逸!

    スポーツを題材にした絵本って
    そう言えばあまりなかったような気がします。

    自分自身野球が大好きだし
    関西に住んでた頃は、草野球チームの監督をしていた立場からも
    興味深く読むことができました。


    野球に携わる者たちの永遠の夢、
    それがホームランです。

    相手ピッチャーが投げた渾身のボールを
    ドンピシャのタイミングで
    バットの芯で捉えた時の
    あの手に残る感触。


    ボールが綺麗な放物線を描いてスタンドインし、
    ベースを一周する時の体の震えと、
    すべての時間が止まってしまったかのような不思議な感覚。


    沸き上がる喜びと達成感。

    鳴り止まぬ観客からの賞賛の声。



    どんなに練習を積んでも
    すべての選手が打てるわけではないホームラン。 


    たとえピッチャーであっても
    野球人なら
    ホームランへの憧れは必ず持っていると思います。 




    長谷川さんが描く
    試合の緊張感を見事に伝える
    ダイナミックで力強い絵。


    ホームランを打ったことのない者同士の会話。


    一人は、
    「ぼくは神に選ばれてない気がする…」と
    諦めモードの野球少年
    出口塁(ルイ)。


    もう一人は
    ホームランを打つことを決して諦めない
    野球青年の仙ちゃん。


    この仙ちゃんが
    同じ野球を愛する少年にかける言葉が
    本当にいいのです(>_<)



    始める前から
    あきらめるのかい?


    夢見るだけにしとくのかい?


    何事もやってみないと分からないじゃないかという、
    作品に込められた
    長谷川さんのメッセージに胸が熱くなります。



    家に帰ったルイはお母さんから、
    実は仙ちゃんは
    交通事故で歩けるようになるか分からない大ケガをして
    リハビリをしなければならない身であることを
    思いがけず聞かされます。



    本当は仙ちゃんが一番怖いし
    不安だったんだ…


    仙ちゃんの強い精神力と
    野球に対する情熱に驚くルイ。



    どんな人でも
    ホームランを打つには
    たゆまぬ努力が必要なこと。


    そして、
    一つ一つの積み重ねが
    やがて大きなホームランというものに
    繋がっていくということ。


    ルイは仙ちゃんが言った言葉の意味と重みを胸に、
    もう一度夢を掴むために
    走り出すことを決意します。

    野球少年は勿論、
    再起を目指す人、
    夢を追いかけるすべての人に
    勇気を与えてくれる絵本です。


    できればお父さんから息子へ
    読んであげてほしいな。

  • 少年野球の試合
    ホームランを狙った出口塁はボテボテのゲッツー

    その日の夕方、マーガリンを買いに来たコンビニで知り合いの仙ちゃんに1年以上ぶりに会う
    話をして帰ってきた塁は母から知らなかった仙ちゃんの話を聞くことに…

    読み聞かせ時間は6分弱です

  • どきっとするタイトル。みんなにあてはまるんじゃない?内容もわかりやすいので、読書感想文を書くのにいいかも。

  • 「神に選ばれていない」。痛切なセリフからの再起。再起ということを思い知らせる。

    野球の技術的な記述、揺らめくようなバットの表現もステキです。

  • 身につまされる内容だけど、読み終わったあと、暖かくて、込み上げてくるものがありました。

    野球をしていても、していなくても、これから新しい場所へ飛び立つひとたちに贈りたい絵本です。

  • 2006年発行なので、実在の野球選手の名前あるいは、それと分る変名が出てきますが、大人が読むと面白いですね~。何か雰囲気のある、心に残る絵本です。

  • 2023/10/6
    6-2
    6分

    タイトルを読んだら あるっ!って言ってくれました。その後は静かでした。打ったことがあるのかも?

    2023/9/8 5-1 8分
    人の大成した話を聞く事で、考えてくれるといいなと思って選びました。静かにじっくり聞いてくれました。

  • Y
    3歳8か月

    K
    6歳0カ月

  • なかなか色合いや、描写が野球好きとわかる作品。

    仙ちゃんは交通事故で大怪我したのに頑張っている。

    そんな仙ちゃんから言われる叱咤激励は、出口塁に響くね☆

  • 「けがをしても野球への情熱は失わない、野球部出身の仙吉。いつかホームランを打つ。あきらめずにがんばろう…。夢に向かって歩き続けることの大切さを、野球が大好きな少年と、野球を愛し続ける仙吉との交流をとおして描く。」

    「試合でちっとも打てないぼくは、野球部出身の仙吉に出会う。ぼくもいつかホームランを打つ。あきらめずにがんばろうと誓うのだった…。夢にむかって歩き続けることの大切さを、野球が大好きな少年と野球を愛し続ける青年の交流を通してえがく絵本。」

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著者プロフィール

1955年、兵庫県姫路市に生まれる。
絵本、小説、評論、翻訳、作詞作曲、演奏など多様な表現を試みる。長崎市在住。
1976年第3回創作えほん新人賞を受賞した『はせがわくん きらいや』(すばる書房/現在、復刊ドットコム)でデビュー。
森永ヒ素ミルク中毒事件(長谷川自身もヒ素の入った粉ミルクを飲んだ)を扱いながら、日本人の生活や心理を大胆に切り取り、斬新な絵本作法で鮮烈なデビューを飾った。
『見えない絵本』(理論社)で、1990年第20回赤い鳥文学賞。
『石とダイヤモンド』(講談社)、『鉛筆デッサン小池さん』(筑摩書房)で、1992年第14回路傍の石文学賞。
『ホームランを打ったことのない君に』(理論社)で、2007年第12回日本絵本賞。
ジャンルを問わず作品多数。2012年、第34回姫路市芸術文化賞。
2013年『およぐひと』、2014年『アイタイ』(解放出版社)を刊行。原発災害に向き合った視点を貫く。
2002年から京都造形芸術大学客員教授。

「2015年 『あなに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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