キッドナップ・ツア-

著者 :
  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652071670

感想・レビュー・書評

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  • そういえば、最後にお父さんに会ったのはいつだろう…お父さんはだんだん帰ってこなくなっていた。というようなくだりがあるので、子どもには言わないまま別居状態になっている父親が、夏休みに突然娘を連れて行く(最初、主人公のハルは誘拐だと思っていなかった)、母親に飲ませたい条件の人質として。
    疎遠になっていた、ほとんど知らない父との貧乏逃避行。母親と暮らしていたら味わうことのなかった解放感やいたたまれない気持ちなど、どれも新鮮な体験が小5のハルを成長させてくれる。
    ハルが無事帰ることとなる、お父さんとお母さんの間で成立した契約が何だったのか最後まで分からないのがスッキリしないが、大事なのはそんなことではないのだろうなぁ。2019.4.7

  • 愛情の表現にはいろいろある。
    見知らぬ人と変わりなくても。大好きだと思った。

  • 主人公が別居している父にユウカイされる。
    父が情けなくて読んでいてむずむずした。
    自然な終わり方だった。

  • おとうさんとおかあさんの取り引きって何なんだろ?やっぱりハルが悲しむことなんだろうなぁ。ハルがダメなおとうさんとの逃避行をやめたくないと思い始めた時には切なくなってしまった。きっとハルと同じように子供は親を冷静に見ている、良いところも悪いところも。口をきかなくなったって、別に嫌いになった訳じゃない。ちょっとウザイだけだ。夫婦だって一緒だ。互いのことを知っているからこそ憎さが倍増することもあるけど、元々は愛しさが止まらなかったはず。ハルはおかあさんだけじゃなくて、ダメなおとうさんも一緒が幸せだと思う。

  • 小学5年生のわたしが、実の父親に誘拐される。
    好きでも嫌いでもない、つまりは父親にそんな感情を抱くまでには至らない父子関係の中、
    彼女たちは夏休み期間中「逃亡」する。

    お父さんに振り回される「わたし」だけれど、
    そんな身勝手でかっこ悪いお父さんのことを好きになっていくのだ。

    なんだか、親子というより恋人に近い関係。
    そんなふうに思えてしまうのが、この作品の魅力だと思う。
    だからラストは切なくなる。

  • 夏休みの第1日目、私は誘拐された。実のお父さんに。お金ない、だらしない、甲斐性ない、計画性なし、そんなお父さんとハルの貧乏旅行。お父さんのお金がすっかりなくなって、お母さんとお父さんの交渉もうまくいかなくて、私たちは日に焼けて汚くなって、そろそろお父さんのいい加減さにもなれたころ、私は家に帰っていく。ロード・ノベル。

    高学年から。おもしろかった!

  • 家を出た父親が娘のハルを”誘拐”する話。
    ”大人と子ども”の関係を上手く描いたストーリーだと思う。

    この本が児童書にカテゴライズされるのはちょっと強引なのでは?
    大人が読むと、親の気持ちも子どもの気持ちもわかるので、両者の微妙な距離感が読んでいて切なくなるはず。

    最後まで読んでも誘拐した理由は書かれていないが、やっぱりそこは書かなくて正解だったんじゃないかと思う。
    大人には口で説明しきれないことも山ほどあるのだから。

  • お父さん、最後のセリフよかったなあ。
    どもっちゃうところが、お父さんらしくて。静かな読後感を味わえた。

  • ひと夏のダメな父と娘の逃避行。ほんとにダメな父。でも、それだからこそ二人の結び付きが深まっていく。夏が終わる寂しさが感覚的に身体に染み込んでくる。

  • 生徒の読書感想文を読んで気になった本。
    離れて暮らす父親が夏休みの間娘を誘拐して、
    2人でブラブラ旅をする物語です。
    海に行ったり、宿坊に泊まったり、野宿したり、
    本当にいろいろな冒険をしていきます。
    児童文学ということで、ラストはやや教訓的ですが、
    すっきり終わっていいと思います。

    ただ、結局父親が誘拐を思いついた真の真相が
    分からないままなのが残念・・・
    (母親と何か取引をしているとは書かれていますが。)

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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