- Amazon.co.jp ・本 (131ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652072172
感想・レビュー・書評
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江國香織さんの本は、何となく避けていた。
バブル時代に二十代の一番いい時を過ごした人の書く、いかにもスタイリッシュな作風なのでは…と勝手に思っていたので。
確かに涼やかでカッコいい感じはするのだが、一つ一つが短い短編集だからこそ、切り取る背景とか人物描写などが、ムゥ〜と唸るほど巧みで面白い。様々な年代の男女の人生の一片を濃密に味わえる。2019.2.2詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生きてゆく上で
“食べる”という行為が
どれだけ豊かで
そして切ない断片の積み重ねなのかということを
ゆるゆると気づかせる作品。
口に入れて 咀嚼して のみこむ
ただそれだけの事。
なのに
なのにだ。
どうしてこんなに
苦しいのだろう
どうしてこんなに
愛しいのだろう
それは届かない場所にあるのではなく
すぐそばにある
温かなお皿にあるのだ -
登場人物たちの日常を、食べ物と共に描いた短編集です。
大半の作品が10ページ前後で完結するので、もっと読みたいと思ってしまうのですが、短いからこそ心に響くものがあり、際立つものがあるのかもしれません。
久しぶりに読みましたが、読む度に様々な感情を想起させる、温かみのある良い短編集だと改めて思いました。 -
短編集。
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食べ物に関連した、ごく短い短編12作品。短いから余計に、それぞれに違う登場人物の人生の切り取り方がつくづく上手いなと感心する。少しずつ上質でユニークなお料理が出てくるコース料理を、お腹いっぱいに食べ終わったきもち。
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短編集なので読み切りやすくとても息抜きになった。
一気に読んでしまった。
瑞々しい世界でいいですね。 -
どうしたって生きるには食べなきゃならない。
ダイレクトなんだよね、生活に。
今まで食べてきたものはいつも思い出とセットだし、やっぱり食べるってあったかい。
『晴れた空の下で』と『緑色のギンガムクロス』が特にすきだったな。
気持ちも肉体もどんどん健康にしてくれそうな、それはきちんとしていて無駄のない、まったく上等の粗食だった。 -
この人の書く文章は優しくてほっ、とします。
寂しい物語でもちょっと修羅場になりつつある物語でも不思議に穏やかに読めるのが良い。
食生活に気を遣う母に隠れて『身体に悪そう』なものパーティーをする子供たちの話とそれぞれの母親を羨む小学生の作文の話がくすりと笑えて楽しかった。