- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652078440
作品紹介・あらすじ
よく見れば、金色の胸飾りに花柄の巻きスカートの阿修羅像。仏像やマリア様のジュエリーから携帯ストラップまで、宝石と装飾から発見される、常識をくつがえす魂の文明史。
感想・レビュー・書評
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阿修羅像とその身につけた宝飾を話のタネにして、西洋と東洋の文化交流を語る本。
とても興味深い内容でしたが、著者の知識があふれ出すぎていて、おいてけぼりをくらわされること多々。
この方はいろんなことを知ってるんだろうなあと思いつつも、油断していたら、するりとイメージできない単語が出るわ出るわで、正直とまどうことが多いです。
文章全体が細かい余談の積み重ねでできている印象で、話があっちゃこっちゃ、軸が見えなくなったりも。
と、読みやすい本ではなかったのですが、それでも仏像、花と星のデザイン、ボッティチェリ、モローなどこころひかれるお話であふれていて、知識欲をくすぐられました。
世界史を改めて勉強したくなりましたね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は「ケルト」にくわしい美術文明史家。「阿修羅像」にまつわる話から開始します。興福寺創建1300年というので、阿修羅に関心が集まりますね。顔が三つ、腕が六本、眉が寄って、表情が魅力的、などなどで愛されてますが、著者はまったく思いがけないところに着目。それは、首飾り、また、ブレスレット。斬新な視点ですよね。仏像のジュエリーとはそもそも「人間を越えた存在」つまり「神々しさ」なのです。ここから、「装飾とはなにか」という問いかけがはじまり、西洋まで向かいます。
身を飾ることの大切さの再発見の旅です。 -
飾り、装飾が気になって仏像が好きになった自分にとってはいろいろ頷ける。
阿修羅がメインというよりは宝飾、飾り、ジュエリーの歴史をダダッと掻い摘んだ内容で楽しめた。
学校で学んだシルクロードの話なんかもこういう文章で読むとヨーロッパとアジアとの「ダイナミック」な関連性に感動を覚えたり。
その当時、遥か彼方のアジア、ヨーロッパはお互いどのような憧れをもっていたのか?
そんなことを想像しながら古代の宝飾品を見るのは面白いだろうな。
歴史は半分想像で楽しむ学問。 -
大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/420876 -
2019/10/5購入
2020/1/9読了 -
ケルト美術の権威、鶴岡真弓さんが阿修羅のアクセサリーに注目して展開した美術史と装飾論。花、星、光のイメージ、東方起源の宝石たちの輝きと希望、物質の精神化、そういうような話かな。
細かい装飾に注目して関連付けていく辺りの眼力と博識はさすがに鶴岡さん。期待通り楽しめた。
でも阿修羅は造られた当時の真っ赤な顔や体に色鮮やかな装飾品よりも、今の焦げ茶色の方が好きかも……というか、今の阿修羅の顔はすっぴんだけど、本当は隈取りがしてあったらしく、その絵を見て、今の阿修羅でよかった……と思ってしまった。ごめんなさい。 -
阿修羅と聞くと、「興福寺の阿修羅像」を思い浮かべる方も多いだろう。「三面六臂(さんめんろっぴ)」という姿に注目されがちだが、本書では身に付けているジュエリーについて書かれている。普段とちょっと違う目線で見ると、いろいろなことに気がつく。阿修羅像の他にも仏像が登場している。新たな魅力を発見できるかも!
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伝統的な意匠に興味があるので、大変興味深かった。現代でも人気のある意匠が、美的な観点だけではなく、過去にはある種スピリチュアルな意味もあったことを著者は示唆しているが、見て快いものは意識している以上に心に良い影響を与えるのかもしれない。
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阿修羅を新たな角度からとらえるおもしろいテーマなのですが、
内容は正直「う~ん」でした。
仮説を立てられていますが、明確な根拠を提示するでもなく
いきなり結論に飛んでしまうのは早計な気がしました。
「~なのですよ!」と強引にイメージを押しつけられている感じです。
とは言いつつも勉強になる部分もたくさんありました。