人くい鬼モーリス (ミステリーYA!)

著者 :
  • 理論社
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652086261

感想・レビュー・書評

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  • 本校は2008年(平成20年)に「女子高等学校」から「附属高等学校」に校名を変更、それまでの女子校から男女共学となり、年々男子生徒が増えてきています。
    図書室は全校生徒が利用するところです。
    その図書室模様はなかなか面白いものです。

    昼休みのカウンターにて。
    女子生徒二人から
    「先生、いくつ?」と聞かれ
    「えっ、年齢?」と少し躊躇していると
    「20歳代?それとも30歳代?」と聞いてくるので
    (えっ!!この子たちから見たらそういう風に見えるのか!?)と驚いていると
    男子生徒が
    「どう見ても50やろ」と会話に加わりました。
    すると、先の女子生徒が
    「あかんやん」
    「ほんま、あかんやん」と二人して男子生徒を睨みつけるので、男子生徒が
    「えっ、だってどう見ても・・・・」と言うと、さらに女子生徒二人が
    「なんでそんな事言うの!」
    「ほんまやわ、なんでそんな事言うのよ!!」
    「もう、あっち行ってよ!」と男子生徒を怒るので、
    かわいそうな男子生徒は小声で
    (だって、どう見ても・・・。なんでやねん)とつぶやきながら閲覧室の隅に移動していきました。

    女子生徒はおしゃまで可愛く
    男子生徒は真面目で正直です。

    では、松尾由美著 「人くい鬼モーリス」

    『人くい鬼の【く】はひらがなだから気をつけてね。漢字の【人食い鬼】じゃなく-
    ふたりの少女にしか見えない人くい鬼の存在。
    外界と遮断された別荘地で起きる連続死体消失事件。
    人くい鬼の仕業じゃないとしたら、犯人はいったい誰?』

    家庭教師を頼まれた女子高校生と10歳の少女とのたった1週間の間の出来事。
    読ませどころは女子高校生と生意気だった少女との心の交流でしょうか。
    とても面白いです。
    子どもにしか見えない怪獣(?)が出てきますが、この本は子どもだましではありません。
    面白くて、すぐ読めますよ。

    読んだ後、「楽しかった♡」と思える本です。

    分類 913/マ

  • ひと夏の家庭教師アルバイトのために、別荘地に赴いた高校2年生の信乃。
    バイト採用の条件とは、怪物「モーリス」が見えること。
    最初はとまどった怪物や生意気な少女の存在も、次第に受け入れていく信乃。
    そこで起きた殺人/死体消失事件。
    犯人は、はたして人くい鬼モーリスなのか?

    ミステリーとファンタジーの融合具合がちょっとぎこちなく、完成度が甘い感じ。
    ラストは少しあっさりしているけど、温かく、切ない。

    人は、大人へと育てられながら、世界の明度を下げていくのかもしれません。

    • kwosaさん
      シスターさん

      リフォローありがとうございます。

      最近読んだ『リカーシブル』のレビューに惹かれ、本棚を拝見しました。
      読んでみたいと思いな...
      シスターさん

      リフォローありがとうございます。

      最近読んだ『リカーシブル』のレビューに惹かれ、本棚を拝見しました。
      読んでみたいと思いながらも未読、積読の本がたくさん並んでいてわくわくしました。
      ときどき覗かせて頂きます。

      この本は昔読んだのですが、

      > 人は、大人へと育てられながら、世界の明度を下げていくのかもしれません。

      レビューのこの一文が心に刺さりました。

      どうぞこれからもよろしくお願いします。
      2013/05/03
  • 【感想】
    ・一夏の忘れられない思い出の切なさが読後感。
    ・デイヴィッド・アーモンドの『肩甲骨は翼のなごり』を思い出した。

    【内容】
    ・人くい鬼は出るがホラーではなくミステリ。
    ・死体だけから魂的な何かを摂取し、副作用として消失させてしまう「モーリス」という存在を十歳の超絶美少女が保護している。ただしモーリスは自分から死体をつくりだす(殺す)ことはしない。
    ・そういう存在がいる世界での死体消失事件。警察も動きはじめる。
    ・少女の家庭教師のアルバイトに来ていた女子高生は何か違和感を感じる。
    ・単に事故なのか、モーリスがからんでいるのか、人間同士の事件なのか?

    【一行目】
     「女子高生限定のアルバイトがあるんだ、なんていうと、いかがわしいバイトみたいに思うかもしれないけど、もちろんそんなのじゃなくて」

    ▼モーリスについての簡単なメモ

    【阿久根貞一】芽理沙の祖父。もう亡くなっている。
    【阿久根芽理沙】→芽理沙
    【阿久根百合子】芽理沙の母。世界的なファッションデザイナー。美女。モーリスの名付け親のようだが当人は既にモーリスのことを忘れているようでもある。どうやら列車事故に遭ってそれ以前の記憶を喪ったらしい。貞一とアメリカ人女性のジャネットとの間にできた娘。
    【一柳/いちやなぎ】家庭教師の話の仲介役。大金持ち。イタチとかフェレットを彷彿とさせるタイプ。
    【一柳さんの奥さん】品がいいが精気がうつろな声。
    【岡部うらら】新人女優。ふっくら華やかきれいロングヘア。曽我の別荘に来ている。
    【小栗】下の町の店をやっていて、別荘地の管理人もしている。人食い鬼の話をして皆を怖がらせたがってるみたいだが、鬱陶しい爺さんくらいにしか思われていない。
    【菊地】阿久根家の家政婦。
    【くう】「食う」ではなく平仮名で「くう」。モーリスが死体を食べるときは肉体を頭からバリバリと食うのではなく、魂を吸収するようなものなので「くう」なんだと昔、百合子が言ったらしい。
    【佐倉】一柳の秘書。キザで嫌みな感じ。
    【死体】モーリスが魂を? 吸収すると副作用として死体は消滅してしまうらしい。なんかとってもいい存在のような気がする。
    【信乃】主人公。村尾信乃。十七歳。女子高生限定のアルバイトとしてとある別荘で女子小学生の家庭教師をすることになった。母の再婚までは篠田信乃という名前で、それを変えてくれた村尾に感謝している。生物学上の父と母が夫婦の間は坂本信乃という名だった。
    【柴崎】引退した医師。阿久根家の別荘に滞在している。話題は面白い。
    【曽我久美子】曽我監督の娘。三十歳くらいの気さくな美人。自分で言うには料理が下手でそれが原因で離婚したようなものとか。でも曽我家の料理をつくっているらしい。犬の散歩も。
    【曽我尚久】映画監督。
    【大門進吾】信乃の通う高校で同学年の生徒。中学一~二年のとき同じクラスでもあった。ゴルフ部員。依田智のファンで追跡して曽我家の別荘にたどり着き泊めてもらえることになり信乃と偶然出会った。
    【高岡】阿久根家の執事。
    【千鳥玲子】ちょっと偉そうなファッション誌のライター。
    【鳥海/とりうみ】警部補。フランケンシュタインの怪物、あるいはロダンのバルザック像のような容貌。心ならずも別荘地に取り残されることになった。
    【波野】一柳家の家政婦で料理人。腕がいい。六十歳くらいで小太りでにこにこしている。外国の児童文学に出る「ばあやさん」みたい。
    【楢原巳世子/ならはら・みよこ】占い師。遠慮のない物言いが芸風。一柳家の別荘に招かれている。テニスが強い。
    【本多優一】俳優。
    【村尾信乃】→信乃
    【村尾津也子/むらお・つやこ】信乃の母。村尾氏とは子連れ再婚。
    【村尾伸治/むらお・のぶはる】信乃にとっては義理の父。母、津也子の再婚相手。ウィンストン・チャーチルに似た太っていて禿頭でルックスはアレだが品のいい紳士という感じの男性。銀行の偉い人のようだ。いつも信乃を誉めてくれるし、信乃はけっこう好感を抱いている。まだ「お父さん」とは呼べず「村尾さん」と呼んでいる。
    【芽理沙】阿久根芽理沙。十歳で小学四年生。超絶美少女。モーリスを保護している。
    【モーリス】人くい鬼。モーリス・センダックの「かいじゅう」に似ているとうことで阿久根百合子が名付けたらしい。人をくうが死んだばかりの人しかくわないし、どんなに腹が減っても自分で死体をつくりだすことはしない。魂を吸収する感じ。副作用として死体は消失する。子ども、せいぜい高校生くらいまでしか見えない。もともと森の中に暮らしていたが弱っているところをその存在は知っていた芽理沙が見つけて保護した。《「鬼」は人の死そのものに似ているのだ。》p.86。
    【依田治】アニメーションのプロデューサー。兄より歳上に見える。
    【依田智/よだ・さとし】アニメーション作家。曽我の別荘に滞在。太っていて童顔。

  • 青春ファンタジックミステリ。
    「人くい鬼」の存在は面白いけど、ミステリとしては普通。
    前半はスイスイ読めて、中盤が少し退屈だった。

  • 微妙なわりにさらさら読めた。手軽な児童書。ふーん、へー、で?それで終わり?みたいな感じ。
    モーリスの描写は面白かったが、それだけでは★★★にはちょっと足りない気がした。
    終わりの方の手紙のやり取りや、大門との別れ方が、妙にリアルだった。それは好きだ。でも終わり方に、へーとしか出てこない。

  • 子どもの心をもつ者だけに見える「人くい鬼」モーリスと、その存在を守ろうとする少女、年上のお姉さんという、YAファンタジー要素をもりこんだミステリー。ですがまあ、基本的にはごくふつうの謎ときものです。犯人の動機とトリックが「はあ・・・」って感じなのはさておいても、せっかくの魅力的なファンタジー設定をささえるYAのリアルさが決定的に欠けている。つまり、高級別荘地にお住まいの超美少女にも、その家庭教師にやってくる高校生の少女にも、思うままにならない現実と向き合いもがく子どもたちの切実さがまったくないんだよね。小説としての基本が薄っぺらなのをミステリでカバーしようとしても、そりゃダメでしょ。人くい鬼は、いいモチーフだったのになあ。もったいない。

  • 表紙の色合いが素敵。

    人くい鬼モーリス。
    ひらがなのくい。喰い、じゃないとこがポイント。
    なので怖ろしいことはまったくなく。
    正直、メリサちゃんがモーリスに食べさせるために人殺すつもり
    なのかしら、などと不吉なことを考えたりしたのだけれど
    そうじゃなかったのでよかった。
    しかし、これはどーゆージャンルになるのかな?
    殺人はおこるけど、探偵役が活躍っというわけでもなく。
    つーかそんな理由で殺すなよ、と。まあ、最近は現実でも
    漫画や小説の中でもとても簡単な理由で人が殺されるので
    そーゆー時代なんでしょうが。
    一番びっくりだったのは智さんですね。
    まさか、そんな理由で死んだふりするとは・・・・・・。
    それってありなの?っとつっこみつつも、まあ全体として
    いいおはなしだったような気がします。
    いわゆるひと夏の思い出、とゆーやつですね。

    松尾さんは安楽椅子探偵ものがあるらしいので
    それを読みたいとずっと思ってるのですが、なかなか。

  • 不思議生物の話かと思ったら、殺人ミステリーだった。モーリスの話とミステリーの話のバランスがおかしい気がするが面白かった。

  • 子供にしか見ることができないモーリスと呼ばれるかいぶつは、生物の死の直後の魂を食べる。
    女子高生の信乃は山奥の別荘で芽理沙という大人びた美少女の家庭教師を引き受けることになるが、そんな折、その付近で転落事故が起き、確認された死体が忽然と消える。
    主人公信乃が経験するひと夏の不思議な体験。

    気軽にスラスラと読めるミステリーものです。
    事件らしい事件が起こるのは中盤以降でそこまでは状況説明的。
    せっかくそこにページをさいているのだから、少女とモーリスの出逢いや、何故モーリスが納屋に住むようになったのかなど、芽理沙とモーリスとの関係をもう少し深く掘り下げて丁寧に描いてあるとより面白かったかも。
    作者はミステリーとしてよりむしろファンタジー寄りに書きたかった趣があるだけに少しもったいなく感じました。

    途中、時々でてくる太字の「なんですって?」は、一体何だったのだろう。

  • モーリスと少女の関係が、なんだか素敵でした。大人には見えないモーリスがすごくかわいかったです。

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著者プロフィール

一九六〇年、石川県生まれ。会社勤務を経て作家になる。八九年『異次元カフェテラス』を刊行。九一年「バルーン・タウンの殺人」でハヤカワSFコンテストに入選。主な著書に「ニャン氏の事件簿」シリーズ、『おせっかい』『ピピネラ』『九月の恋と出会うまで』『嵐の湯へようこそ!』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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