堕落論 (現代語訳名作シリーズ 5)

  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652200674

作品紹介・あらすじ

義士も聖女も堕落せよ。健全な道徳を脱ぎ捨てよう。そこから戦後日本が始まる。敗戦直後、混迷する日本中を熱狂させた『堕落論』『続堕落論』はじめ、坂口安吾の世界をいま読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • すらよみ!と謳っている現代語訳シリーズだが、いやいや、結構なオバさんにも難解でスラスラ読めません。

    「堕落論」「続堕落論」「日本文化私観」「FARCEに就いて」「風博士」が現代語で収録されている。

    終戦半年で書かれた「堕落論」は、世に大きな反響を与え、それまで長い低迷期にあった坂口安吾が、再び脚光を浴びることになる再出世作だそうだ。
    戦時中の価値観、押し付けられた日常が、敗戦とともに180度変わってしまった。
    両手を上げて大歓迎と言いたいところだが、突然与えられた自由、天皇は人だったという事実に戸惑う人は多かったのではないだろうか。
    そんな民衆に、安吾は鋭い言葉で戦争の虚しい美しさについて自論を展開している。
    幸運にもその時代を知らない自分が、理解する事は難しいように思われる。

    「堕落論」に比べ、「日本文化私観」はまだ霞のような物を掴めるような気がする。
    また「風博士」は前章の「FARCEに就いて」を受けてのものだが、FARCE(ファルス)というものを初めて知った。あまり日の当たらない分野だったようだが、昨年中井貴一らによって「風博士」のオマージュ作品が舞台で上演されたようだ。

    解説を読んで、はじめて入り口に立てたくらいの作品だった。2020.5.18

  • 武士道や天皇制のカラクリを喝破し、不道徳や不名誉に苛まれる戦後の日本人に痛快な視座を与えたと思われる。堕落することに生きる価値を見出す、実に文学的な作品。ペコパの漫才に影響を与えてるのでは?

  • 戦中戦後の描写のくだりは、とても生々しく訴えかける物があった。
    「勤労のよろこびだのとほざくのは、まったくバカげた話だ」
    この時代で、こういう価値観を持てているのはとても先駆的だ。
    「必要を求める精神を、日本では怠け者の精神などと腐し、貧しさに耐えている事を素晴らしい道徳だと褒め称える。」
    令和になった今の時代でも、こういう価値観の人がたくさんいる。

    どんな時代でも、人間は大きく変わらないんだなと痛感させてくれた

  • 堕落論とは、「社訓はがその会社の真逆の真実を述べている」と等しいくらいのことを述べている。例えば、天皇制、農村文化。

  • 小学生向けの本にもかかわらず、難しい。読後、印象に残ってことがほとんどなかった。再読が必要だ。

  • 現代語訳された『堕落論』など。そして坂口安吾に関する解説。

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    『続堕落論』の天皇制について書かれた部分が非常に面白かった。

    遠い昔の藤原氏や将軍家、そして太平洋戦争時の軍人、彼らはいつだって天皇の威厳を利用してきた。彼ら自身が主権を持って号令をかけるのではなく、天皇に号令させて彼らが真っ先に従ってみせることで民衆や世間を従わせてきた。天皇をもてあそぶように、冒涜し、崇拝してみせて利用してきた、と坂口は語っている。
    なるほど、とは思うけど、こんなこと書いて当時怒られなかったのだろうか。

    ずっと続いてきたものを「ナンセンス!」と言い切れる力強さ、すごい。

  • ①堕落論、②続堕落論、③日本文化私観、④farce(喜劇)について、⑤風博士(短編小説)の5部作からなる。
    ③は日本文化について論じ、④喜劇について論じている。
    堕落論、続堕落論は、読み手側がどう捉えるか、又は何度か読む事で解釈が変わりそう。
    自分は生きるエネルギーを感じた。必死に、全力で生きていない事の恥じらいを感じた。
    NHKテキスト100分de名著の解説を併せて読みたい。

  • 単なる反戦を訴え賛同得たのかと思ってた。

    その他の短編の意味不明さを、最後の解説で少し理解し、

    堕落論自体、深い深い重い!!!!!!

    裏の裏の裏を読むとは、これを文学というのですね

    頭がおかしくなりそうな禅問答。
    なぜこの時代の文学青年はここまで悲観的で、憂いて生き、やたらめったら自殺したがるのでしょう。
    それが気になって仕方ないです。

    私のような浅い知恵ではこの美学、到底理解に及びません。

  • 読めず

  • なんで4をつけたんだろう。これから先のあらゆる決定に響くような作品だったのに。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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