ミャンマーの国と民

著者 :
  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750337012

作品紹介・あらすじ

軍事政権が幕を下ろしたミャンマー。しかしその基盤は人口の4分の3がくらす農村部にあり、常に歴史の転換点で重要な役割を担ってきた。1986年から数多くの農村にくらし、数多くの村人と語り合ってきた筆者が、草の根のミャンマーの実像を活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 今、アウンサンスーチー女史が率いる民主派政党の躍進により注目を集めているミャンマーの話。
    国土や風土の話に始まって現在の主力産業である農業の特徴や制度の変遷の話が展開される。北部の逆Uの字に広がる山岳地帯(インドと東南アジアを分断する)と上ミャンマー・下ミャンマーの農村地帯で多雨を利用し、また灌漑をして米が栽培される。以前は世界一の米輸出国であったこともある。現在一位はベトナムか?

    しかし、筆者の真骨頂はここからで、千葉の農村出身の筆者はミャンマーの農村との社会の比較を試みている。一口で言うと、日本は閉鎖的でミャンマーは開放的なのだそうだ。土地が私有あるいは村(惣)単位で管理されている日本と土地は国有で小作権のみ有するミャンマーの違い、ミャンマーに多い農村の派遣労働者のような季節労働者の存在等から流動性がかなり異なるようだ。また、同じ仏教国でありながら(というよりも、ミャンマーのほうがかなり熱心な仏教国)、家という概念がなく、墓は名前のない共同墓地で、家族は助け合うものの基本は核家族という点も大きく異なるようだ。

    同じ米文化、仏教国の農村でも、似て非なる共同体のあり方が成立することは興味深い。農家の長男である筆者にとっては、目からウロコの体験だったようだ。

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著者プロフィール

1957年千葉県安房郡に生まれる。1981年京都大学経済学部卒業後、アジア経済研究所に入所。1986~88年、同研究所海外派遣員、1993~95年、同調査員としてミャンマーに滞在。1996年より東京大学東洋文化研究所助教授、2002年より同教授。博士(経済学)。著書に、『ビルマ・デルタの米作村──「社会主義」体制下の農村経済』(アジア経済研究所 1992年)、『現代ミャンマーの農村経済──移行経済下の農民と非農民』(東京大学出版会 2000年)。他にミャンマー経済、農業、村落に関する論文多数。

「2012年 『ミャンマーの国と民』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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