リンカーン -うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領-

  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750338095

作品紹介・あらすじ

奴隷制を廃止し、南北戦争での国家分裂の危機を回避した偉大にして稀代の大統領・リンカーン。高く評価される政治手腕、奥深い間尺の背景にはリンカーンのもつ鬱病があった。鬱病のハンディキャップを耐える精神操作によって、視野と才幹の深みに到達できたという逆説を膨大な資料に基づき開示した異色の評伝。

感想・レビュー・書評

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  • スピルバーグ監督の映画「リンカーン」を観る前の
    予習として本書を読みました。

    数々の友人・政治家たちの証言、
    残された手紙や自身が書いたとされる詩や、
    心理学的側面からの考察を交え、
    リンカーンが自身のうつ病をどう扱い、
    晩年の政治活動に至るまでどう生かしていったのか、
    詳細に書かれた内容はとても興味深いものでした。

    正義感が強い、リーダー的存在、周囲を照らす太陽のような存在・・政治家や誰かを率いる人物といえば、こういう表現が浮かびますが、
    本書のリンカーン像を説明する言葉には
    一切出てきません。
    「悲哀に満ちた表情」「細長く不気味な手足」「やせこけた顔」等、読んでるこちらがゲッソリするような表現ばかり。
    一見近寄りがたい、本当にこの人で大丈夫か?と周囲が疑うほどの風貌だったにも関わらず、
    彼のスピーチは、幾度となく民衆の心を
    掴んだといわれました。
    きっと、頼りない風貌が良い意味のギャップとなり、
    より人の関心を引き寄せたのでしょう。
    でも、リンカーンが大統領にまで上り詰めたのは、
    語られているような人柄や潔癖さ、彼の優れたスピーチ力だけでなく、先読みによる周到な根回し力もあったからだろうなぁ、と思います。

    かと思えば、親友、スピードに宛てた文面、
    側近に見せた姿などからは
    これがあの大統領の本当の姿なのかと思うほど弱弱しさ、絶望感に満ちており、
    彼の二面性は最後まで理解しきれませんでした。

    あとがきに記されていますが、
    リンカーンの偉業や生い立ちをめぐっては
    これまで多くの論者、歴史作家たちによって議論がなされており、個人の趣向や時代背景が深く影響して、
    実話・作り話が入り混じる事態になっていたということ、
    貴重な資料がインタビュアーの資金難という個人的な問題で高値で売られたりと、
    散々な経緯があって、この作品が書かれたのだな、と
    ゴシップ記事を読むように面白おかしく感じました。

    ただ、日本語訳がわかりにくい部分が非常に多く、
    何度も言葉の整理をしないと読み繋げない箇所があり
    いくつか読み飛ばしてしまいました。
    そこがとても残念です。
    (エピローグはとても良かったのに・・)
    改訂版か、もっとわかりやすい訳書がでることを期待します。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688219

  • リンカーンはその人生において多くの試練に真剣に向き合い、楽観主義に傾くことなく自己を鍛えることを通じて、奴隷制で対立した南北分断の危機を救った偉人であることが理解できた。邦訳の書籍であるがかなり堅苦しい日本語訳となっていて読むのがとても苦しかった。今日使われないような言葉が多用され、意訳ではなく直訳のような文章。まるで翻訳ソフトで訳したままのようだったので、内容はとても興味深かったが理解が深まらずとても残念。

  • 病気

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著者プロフィール

著名な評論家、ワシントン・カレッジのオニール文学館館長。彼の論考は『ニューヨーカー』、『アトランティック・マンスリー』、『ワシントン・ポスト』、『ニューヨーク・タイムズ』その他、数多くの媒体に掲載されてきた。彼の論考「ぼく自身のメランコリー」は、全米ベストセラー『神聖ならざる亡霊――うつ病の作家たち』に収録された。
シェンクは、2006年のヒストリー・チャネルの記録映画『リンカーン』の主任コンサルタントで、「エイブラハム・リンカーン生誕200年委員会」の諮問委員の1人。これまで浴してきた栄誉は、カーター・センターの精神衛生ジャーナリズム分野でロザリン・カーター・フェローシップ、「ニューヨーク芸術財団のノンフィクション分野のフェローシップなどがある。シェンクが講演する分野は、精神衛生問題、歴史、現代政治・文化である。

「2013年 『リンカーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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