教育のデジタルエイジ ――子どもの健康とウェルビーイングのために

制作 : トレーシー・バーンス  フランチェスカ・ゴットシャルク  経済協力開発機構(OECD) 
  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750352404

作品紹介・あらすじ

21世紀の子どもをめぐる環境はどのようなものであり、デジタル化の進行はその形成にどのようにかかわっているのか? 遊びやリスクが学習や成長に果たす役割、そして完璧さや成功を重視した文化による影響などに焦点を当てた考察により、取るべき対応を提起する。

感想・レビュー・書評

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  • コロナ禍におけるロックダウンや休校措置、オンライン授業が子供たちにどのような影響を与えたか。また、そうした閉鎖的な暮らしにおいて相対的に増したスクリーンタイムは、子供たちに何を齎すのか。アンケート結果を用いながら論文仕立てに、子供たちのウェルビーイングについて解説したのが本著。コロナ禍での出版だ。

    ファクトベースで解明されていない事については述べない。その姿勢は正しいが、故に革新的な事はあまりない。貧富の差がリモート教育の実行可否に格差を齎したとか、オンラインゲームの時間が増えた事の影響は不確かであり暴力性には影響が無さそうだとか。登校できない事で、貧困層には給食が得られない問題、家庭内トラブルなども。

    それ以外には、ドラッグの話。フェンタニルはモルヒネの100倍の効力がある最も強力な医療用オピオイド。1970年代から違法ドラッグとして登場。思春期特有の、身体の悩み、性の話。青少年女子におけるメディアとボディーイメージには相関があり、メディア利用が多ければボディーイメージが低くなる。女子の場合は、痩せていることを男子の場合は高さが重視されるようになるが、容姿への投資を強いる圧力は女子の方が強い。

    ドラッグについてもう一つ。認知の増強は、短期及び長期記憶、集中力、意思決定力、覚醒などの認知機能を高めることを目的として行われる。認知増強薬(PCE) には、モダフィニル、メチルフェニデート、アンフェタミンなどの処方薬の認可外使用が含まれる。PCEには成績を向上させる可能性があるため、その利用は公平を欠く不正行為だと非難されてきた。

    欧州の冬国では95%以上の生徒がコンピューターを利用した家庭学習が可能であると回答した。しかしインドネシアでは34%、3分の2近くの生徒はリモート学習が事実上不可能であった。

    「子供の身体的健康とデジタルテクノロジーの利用に関する質の高い綿密の研究には、選択的に資金を提供する必要がある」

    本書のこの訴えに要約される。
    資金提供も継続研究も重要。途中、なのだ。

  • デジタル化の進行は、21世紀の子どもの育つ環境形成にどのようにかかわっているのか? 遊びやリスクが学習や成長に果たす役割や、社会が与えるプレッシャーの影響などに着目し、今後の対応を示唆する。

    2022年7・8月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00600695

  • 多くのデジタルと子どもの関係を扱っており、まだ明らかにされていないことも章末にあるので、卒論のテーマを探すには最も適した本である。
     デジタルネイティブについて疑問を呈している本は他にはないのでそれだけでも価値はある。
     さらにハードスキルにつながるSTEM教育ではなくデジタル環境のコミュニケーションなどのソフトスキルが重要であるとの指摘は、日本には頭が痛いことであろう。

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