- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750513089
作品紹介・あらすじ
人類は「食」を「文化」にまで高めて生きのびてきた!
「胃袋」の考古学から見えてくるもの
縄文人の食生活、神話に出てくるパンと酒、人類
が昆虫を食べてきた理由、灰の実力、保存法とし
ての発酵と解毒の不思議から、食料自給率、バイ
オエタノール、捕鯨問題といった現代の問題まで
――読みやすい語り口のお馴染みコイズミ節で
縦横無尽に「食文化」の深淵を「ドラマチック」
に解き明かします。
感想・レビュー・書評
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かぼちゃで砂糖を作る。刺されると危険な巨大蜘蛛を焼いて食べる。こんなエピソードを挙げると、著者の行動は奇抜で破天荒に見えるかもしれないが、東京農大教授時代の最終講義をまとめた本です。
経験と研究理論の裏付けにより、人類誕生から現在まで、人々の命を支え続けてきた食文化を分かりやすく説明。というか、大学の講義にしては型破りです。ご本人が言うように「今日の食文化の論理はあまりに整然と法則化されている。だけど私の講義はあっちこっちに話が飛び、どっかに跳ねるというミラクルな食文化論を展開するのが特徴」です。まさに冒険、だから面白い。「なぜ、人はアリを食べてきたのか?」「なぜ、神様はお酒が好きなのか?」「なぜ、イヌイットは肉を焼かないのか?」等々、読めば納得の人類の知恵に感動させられます。
(Recommended by Satsuki Tanaka)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人の起源と食との付き合い、時代の流れがわかる良い本でした。
読みやすくオススメです。 -
「食の冒険家」を自称する大学教授による食文化論。わかりやすい言葉で、世界の珍食・奇食を紹介している。
特に食品の保存方法の説明に力を入れている。「干す」のがおそらく人間が最初に得たであろう保存方法であり、塩蔵や発酵など、場合によっては命懸けで先人達が経験から確立してきたものだ。発酵食品は、臭いは強烈でも非常に美味なものがあり、それらを最初に食べた人達の勇気と食への執念に感心する。
中には驚くような、読んでるだけで気持ち悪くなりそうな奇食もある。著者曰くはかなりの美味なものもあるらしいが…ちょっと試すには度胸がいりそうだ。 -
蛇から蚊の塩辛まで!世界のありとあらゆる食を堪能して来た著者が語る食の文化論。珍料理の数々と著者の食べっぷりに驚かされる。酒はどうやって誕生したのか、食べ物を燻すとなぜ保存がきくのか、など様々な身近な食のからくりを生き生きとした語りで説く。食の技術は人類が発見し培ってきたもの。先人たちにも感謝しながらごはんを食べようと思った。
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教授による講義をまとめたもの。食文化について、興味深い内容で面白かった。美味しそうなものから美味しくなさそうなものまで。
発酵については特に興味があるので他の本も読んでみたい。 -
発酵学者、食文化論者であり、世界のあらゆる寄食、珍味を口にしてきた「食の冒険家」である著者による、食文化論の集大成。現代に伝えられる食の知恵を体系的に学ぶことができます。→ http://t.co/bXwc84iMWn
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帯文:"食欲が生んだ奇跡!" "私たちは食べものでできているのに知らないことだらけ"
目次:まえがき、第1章 ヒトは何を食べてきたのか、第2章 火と灰、第3章 道具と知恵、第4章 原始国家と神の誕生、第5章 酒のはじまり、第6章 塩と人間、第7章 保存する技術1(干す・燻す・葉に包む・灰)、第8章 保存する技術2(発酵)、第9章 毒と解毒食品、あとがき -
この人はほんとにいろいろなモノを食べる。海外でこんなモノを食べた話が好きで読んでいるがこれは、ちゃんとした大学の講義。料理を文化としてとらえると、人類の歴史の中で何が見えてくるのか、虫を食べる、カビを利用する、元来毒のものを食べる、その理由があきらかになり、おもしろかった。
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自称、「味覚人飛行物体」の小泉武夫教授の東京農大での講義を本にしたもの。(そういえば、東京農大は経堂の駅の近くだ!)
小泉教授の授業は、一言でいうと「食文化論」だという。つまり、「食」を「文化」として捉えた講義ということ。実際、この本でもそうだけど、「人間は何を食べてきたのか?」という問いから、なんとウンコの化石(糞石というらしい)から昆虫を食べていたと論じる。そして、今でも世界に目を向けると、昆虫を食べる民族は多く、世界中を飛び回っている小泉教授の面白おかしい話しが続く。写真を見せたり、こんな驚くべきものを食べたりという講義が展開したり。さぞかし、学生は楽しいだろうなぁ。
「発酵させて保存する」という講義の、鰹節の話しも興味深かった。鰹節で出汁をとっても脂は浮いていない。よくよく考えると、日本の出汁は昆布、椎茸、鰹節が主役だが、そのどれもが脂が出ない。一方で世界中の国は違うらしい。(韓国でも中国でもフランスでも脂が浮くらしい) 日本の澄んだ出汁は、日本の四季が育んだ情緒と繋がっているという。う~ん、文化論だ。
一方で、科学の目で食文化を切る小泉教授もいる。豚の腿にカビを生やしたものを「火腿(ホウテイ)」というらしいのだが、これは出汁をとるものらしい。中国ではものすごく高価で、国内で消費されず、ほぼ100%が香港に出荷されるらしいのだが、この「火腿」がぶら下げられて、豚の脚からチッタンチッタンと油が垂れているのを見て、「これこそ、探していたものだ!」と喜んだという。なぜなら、融点の低い油が滴るということは、動物性の「脂」を植物性の「油」に変える微生物がいるということだから。「さすが、大学の先生だね!」と感心した。
この方の本は何冊か読んでいるけど、直に授業を受けることができた学生さんが羨ましいな。