- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784753310012
感想・レビュー・書評
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これは良書。
対人関係療法という特定の技法について書かれた本だから、とか
ましてや水島広子はセレブ過ぎて、とか(笑)、
そんな理由で敬遠すると確実に損をする。
豊富な臨床に基づいた深い洞察と、臨床に役立つ知恵が詰め込まれている。しかも、専門用語はなるべく用いず平易に書かれている。
摂食障害の臨床に携わる専門職はもちろん、摂食障害に苦しむ本人、その家族・友人にも強く勧めたい。
こんなにアンダーラインを引いた本は久しぶり。
水島広子、侮れない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人事を尽くして天命を待つけど人事ってどこまでよ?という状態はなかなかキツかったりする。
だから、ここまでは人事、ここからは天命というラインをひけば、どうにかなることはどうにかなることとして、どうにもならないことはどうにもならないこととして不安と付き合えるよ。という話。
線引きのしかたに納得できる。
治療者の抱える不安や、悪いイメージをまきちらしかねないから触れられてこなかった万引きを併発するケースについても語られているのが新しい。 -
「障害」があって、それは「人格」の問題で、「原因」を追求する...
というような内容の別の本を先に読んじゃったけど。
ここでは患者を「人」として尊重していて、そして、「問題」について、追求していく・・・、患者の側に立って。
そんな治療が書かれていて、良書だった。
ぜひほかの本も読みたい。 -
摂食障害に対する対人関係療法からのアプローチの本。文章力にもよるし、臨床経験もあるのだろうが、この著者の文章は非常に分かりやすい。この障害を理解する点で「役割の変化」という視点が大事である。「『役割の変化』においては、自分の気持ちを感じてみたり、周囲の人と分かち合ってみたりすることによって、変化が自分にとってどういう意味を持つのかを知る事が『現在位置の確認』になる」これにつき、これをぶれない姿勢で続ける事が大事である。ぶれる理由に治療者の不安を取り上げている視点も秀逸だと思う。治療者としては常に自分の不安と向き合う必要性も感じた。