- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784755140587
感想・レビュー・書評
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ハイネ詩集―世界詩人選〈08〉 (小沢クラシックス 世界の詩)
(和書)2013年06月04日 23:40
ハインリッヒ ハイネ 小沢書店 1996年10月
柄谷行人さんがハイネがいいと言っていたので図書館で借りてみました。
柄谷さんが良いというにはそれなりの理由がある。
僕は専門的に文学を学んだり、自分自身で研究したりしたわけではないし何か教えてくれたりする人が近くにいたわけではない。
その中で柄谷さんを読んだ時、この人は信用できると直観してもう二十年ぐらいかな。貴重な教えを受けることができる。自分が必要としているものを教えてくれる。だからいつも参考にしている。
ハイネは「才能はあるが性格(イデオロギー)がない」といわれたらしいがそれは坂口安吾の『堕落論』を思い出すような気がした。
堕ち抜けることが堕落論であり、それは不満の表明として特に不平等に対する不満の表明を徹底化すると起こりえる場合が多い。あらゆる不平等に不満を表明することは堕ち抜けることと同じである。
ハイネ読んでそういったものとして詩が見事にありえている。こういうのはなかなか稀有なことで今までこんな詩を読んだことはない。
僕が今まで読んだ詩集の中で一番いい。購入したい一冊です。
皆さんオススメします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このひとの書く恋の詩は
シャガールの絵を
クララとロベルト・シューマンの手紙を思い出させる
ただロマンティックなだけじゃないけど,きれいなことばの数々がきらめく川のようですごい大洪水
「人ふたり別れるときは」
「君は花のごとく」
「月はひっそりと」
「牧童」
がきにいった。特に後二編は読んでいてどきどきする
あとは季節の詩もすごくくる。
「五月来りぬ」
五月来りぬ,樹も草も花咲きぬ,
おおぞらの青さの中を
ばら色の雲は過ぎゆく。
葉の繁る梢より
うぐいすの歌きこゆ。
白き毛の仔ひつじら,やわらかさ
クローバの緑濃き中を飛ぶ。
われ歌い得ず飛びも得ず
嘆きつつ草に臥す。
ものの音を遥かに聴きて
定めなく思いにふける。
訳もすごくすてき。漢字の使い方も絶妙
(注:片山敏彦氏の訳)