極限の表現 死刑囚が描く (年報・死刑廃止2013)

  • インパクト出版会
3.25
  • (0)
  • (2)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 16
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784755402401

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 少し前に「死刑囚表現展」ってのに行ってきて、その会場の入口に関連する本がまとめておいてあったのね。読みたいと思ったので、何冊か題名をメモしておいて、それを図書館で借りた。

    この本は表紙を見てその表現展のことが書いてあると思い込んでて、絵を描いた死刑囚に対して何か参考になるようなことが書いてあるのかなーなんて思ってたんだけど、毎年出てる「年報」なんだそうです。具体的にはこの本には2012年から2013年に起きた死刑執行のこと、死刑廃止に向けた動きなどが書いてあった。

    「死刑」は考えれば考えるほど分からなくなる。基本的に罪に対する懲罰って直接的には関係ないものだ。例えば人をナイフで刺した罪で捕まった場合の懲罰って懲役でしょ(ここんとこ、刑法詳しく見てないので言ってることが適当だが)。少なくとも「ナイフで刺した人がナイフで刺されることが罰」にはならないでしょ。要するに「目には目を、歯には歯を」じゃないわけです。だけど死刑だけは「人を殺した人は死刑で殺されて当たり前」になってる。これって明らかに前者と整合性が取れてない。


    それから。これは死刑制度廃止とは直接的には関係ないんだけど、監獄処遇に対することです。死刑の本来的な意味は「本人が死ぬことが刑の執行」なんだから、死ぬまでは何もしなくてもいいわけです(現実的には大半は懲役と同じ仕事をしてるらしいですが)。受刑者と言ってもある程度人権は保障されていいはず。なのに、あまりにも生活が不自由すぎる。何もかもが制限されている。わたしにはそれが既に刑を受けているように思える。でもそれっておかしくない?

    死刑制度は考えてみればみるほどおかしさが出てくる制度だと思う。けど、それを「じゃあ死刑廃止」と言えないのは、殺された人のことをどうしても考えてしまうから。わたしの中の「感情」が「死刑廃止」に対して割りきれないものがあるから。「人は変われる」、確かにそうだろう。でも罪を犯した人だけが「反省してるから」といって生き延びてていいんだろうか?(これは一番最初に言った死刑制度は「目には目を、歯には歯を」ということに繋がってきている。結局はわたしはそれを肯定しているのだ。おかしいとおもいつつ)

    そうはいっても、この世界で死刑執行している国はわずか20ほどなんだそうです。世界の大半は死刑廃止したり、ずっと執行されてなかったりする。そのような国では人々はどう考えているのか。それが知りたいと思った。

  • 鞆の津ミュージアムの展覧会にいけなくて、見たかったなぁと思ってたらこの本が。絵は白黒でしっかり見ることはできないんだけど俳句とかもあってよかった。芸術の見方って難しくて、これを書いたのは死刑囚だということを抜きに見ることはできないんだけど、やっぱなにかひき付けるというか吸引力というかそんなんあるのだった・・・死刑に関しては反対と思うことも仕方ないなと思うこともあるってぐらいの決めきれない立場だけど、無関心より好奇心ってことで、一読してよかったとは思う。

全2件中 1 - 2件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×