新生のアルストピア: ジャンバッティスタ・ティエポロからアントニオ・カノーヴァへ (イタリア美術叢書)

制作 : 金山 弘昌 
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756622785

作品紹介・あらすじ

ジャンバッティスタ・ティエポロを出発点として、四つの章にわたって一七世紀と一八世紀のイタリア美術の諸相を詳細に分析し、それらをふりかえりつつ、この時代のイタリア美術が置かれた新たな状況と、それに対する回答として示された新しい美の世界について、俯瞰的に眺める。ジャンバッティスタ・ティエポロの《四大陸とアポロン》にはヨーロッパ大陸以外の周縁地域──アメリカ、アジア、アフリカの各大陸を含めた新しい拡大されたトポスの世界観が、ピエトロ・ロンギの《犀のクララ》にはヴェネツィアのより日常的な生活に取材したあたかもオペラの舞台であるかのような光景が、ピラネージの《ハドリアヌス帝廟の地下基礎の景観》には建築主題の版画というジャンルを通した国際的な美術のネットワークの形成が、カナレットの《キリスト昇天祭の日、プチントーロの帰還》にはグランド・ツアーに必須であったヴェネツィアの祝祭空間が、アントニオ・カノーヴァの《横たわるアモルとプシュケ》にはヴェネツィア美術の伝統の汎ヨーロッパ的拡大が、新たな新古典主義という美の発見と結びついている。かくしてこれら新たな模範の発見と合理主義を根拠とするバロック・ロココ批判が結びついたとき、古典主義は実践と理論の両面において革新され、新たな様式、すなわち新古典主義として現われたのである。ヴィンケルマンが提唱したあまりにも有名な「静かな単純さと高貴な偉大さ」というモットーは、まさに新古典主義の信条であり、様式的な指標となり、とくにカノーヴァにおいては、ギリシア彫刻を模範としつつ、同時に官能性や古代への熱狂という、合理主義を超えた、ロマン主義への予兆をかいま見ることができよう。

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著者プロフィール

慶應義塾大学文学部教授/イタリア美術史

「2024年 『古都ウィーンの黄昏 建築と美術と文学と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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