暴落相場とインフレ 本番はこれからだ (ASUKA BUSINESS)
- 明日香出版社 (2022年9月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784756922366
作品紹介・あらすじ
近い将来の金融・経済見通しを語り尽くす。これまで氏の語る見通しはそのまま現実になってきた。とはいえ、「ひどくなるはまだまだこれから」「インフレの下落相場も、これから来る荒波はこんなものではない」と断言する。
そうした見解を踏まえ、庶民はどうすればよいか、生活防衛の方法を提起する。
感想・レビュー・書評
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まぁ大体書いてあることは他の著書と同様。
金融市場の暴落が迫っている。今度の暴落は収拾のつかない棒下げ相場になる。その暴落の原因を作っている現状の株式買いポジションの膨らみはアクティビストの投資家が企業に対しえげつない株価引き上げを要求し、ただひたすらに短期的に利益の追求至上主義で投資をしてきたからだと批判。善良な投資家は長期的に企業も社会も投資家も皆永く利益を享受できる様にするものだという主張。
で、結局インフレと金利上昇が押し寄せ金融緩和バブルの崩壊は時間の問題。でもその時期は誰にもわからない。だから対処方法として金融商品を片っ端から売却すること。一刻も早く全ての(長期的視野に無い)金融商品を売っておく。不動産も売っておく。
しかしさわかみ投信は現時点でも株式保有比率は85%以上。現金比率が昨今高まったという訳でもない。全てを長期的視点で保有しているという事なのだろうが、これでは暴落したときに追加する資金として少ないのでは?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長期投資家澤上篤人氏によるバブル警告本
たしかにジャブジャブ感はあるから注意かな~とは思うが……
まあ取れる対策的には、現金比率を高めるとか、債券系は減らすとか、個別株はディフェンス系多めにするとか、かな
ただ、全世界インデックスは分散の意味で継続だな
【参考になった点】
・大量のばらまき=経済規模拡大≠成長
・核融合の実用化は最短あと10年
・全世界インデックスは大幅下落
・金利上昇→債権下落→株式相場下落→実物資産の集中買い→インフラ進行
・インデックも影響が大きい
・応援買いの気持ちを込めてバーゲンハンティング
・利益の最大化ではなく、付加価値額の最大化を目指す
・付加価値:人件費、設備投資、研究費、賃借、支払利子、税金→=社会に富をもたらす=社会に富をもたらす
・生活者にとってなくなって困ると思える企業 -
今から7年前の2015年にこの本の著者である、澤上氏の書いた本に出会いました。それまで様々なファンドを試していましたが、一時的には良い思いをしたけれども、最後に日本円で換算してみると、トントンという状況でした。
そんな時に、澤上氏の提唱する投資の仕方は私の気になるところとなり、半年間悩んだ末に彼の主催するファンドを毎月購入して今に至っています。私の中では唯一プラスになっていると言って良いでしょうか。
さて、長らく(30年)続いてきた日本のデフレもいよいよ反転のインフレに向かおうとしています。確かに子供時代に物のが値上がりしていたインフレ時代の記憶はありますが、社会人になってからはずっとデフレに慣れてきていて、インフレにはどう対処するば良いのかわかっていません。澤上氏によれば、こういう時こそ、インフレになっても生活は続けれるので、それに必要なものを提供している会社を選ぶのが良いということなのでしょう。
以下は気になったポイントです。
・米ドルの変動相場制により、ドルの価値がさがり、インフレ色を強めて行った。産油国は価値が下がっているドルに対抗する手段する防衛手段として、原油価格の引き上げを意識した(p25)米国の工業製品が世界を席巻していた頃(50、60年代)巨額の輸出代金の一部が米国に還流せず、徐々にオフショアマネーとなった、これは主として欧州を舞台にしたこともあって、ユーロダラーと言われた(p26)
・米国が公式に景気回復を宣言したのは1992年8月のことであった、第一次オイルショック発生から19年近くの歳月がかかった(p29)
・リーマンショック(2008年9月)は、0.0004%の絶対にあり得ないだろうと高をくくっていた裏目が出た(p47)・リーマンブラザーズの破綻を放置して株価などの大暴落を招いたので、1970年代から数えて4回目の大量マネー供給を行なった、さらに政策金利をゼロにまで下げる金融緩和政策を行なった(p49)5回目がコロナ(2020年2月)以降である(p52)
・今までマネーが供給されてきたが、世界経済のグローバル化が進み、世界中に低コスト労働力が供給された、自由貿易体制と世界的な低コスト労働力の供給により強力なインフレ抑止力となった(p57)ところがそのグローバル化が逆回転を始めて、いまや分断とブロック化の動きが台頭してきている、その象徴が生活費の急上昇である(p96)
・今後10−20年は、エネルギー源の大転換期が続き、その間ずっとコストプッシュが続くと思われる(p81)
・2021年末にはマイナス金利の国債に17兆ドル(1800兆円)もの資金が投入されるという信じられないことが起きている(p109)
・金利上昇が続けば債券価格は必ず下げる、それにより債券の流通利回りが上昇してそれば長期金利の上昇となって全ての債券投資家に保有債券の売りを強いることになる、一切の例外なしに全ての債券価格は下落に転じる、それが更なる債券利回りの上昇を招き、一層の債権うりを誘う展開となる、これが債券投資の恐ろしさである(p127)
・短期国債を除く国債の発行残高は1021兆円、それに対して日銀の保有高は514兆円で、保有割合は50.4%、米国は20%代、欧州は7月からの引き締めで40%の割合を下げていく方向である、その中で日銀だけがさらに買おうとしている、6月中頃の金利水準で、日銀が保有している国債の収支がトントンである、これはこれ以上金利が上がってもらっては困るということ。(p149)現在の当座預金残高は563兆円であるが、金利上昇が続きと日銀の損失は拡大し、自己資本(10兆円)を上回れば事実上の債務超過となる(p151)
・世界の債券価値が急減している、今年1−6月の減少額は17兆ドル(2300兆円)で、6ヶ月の期間で見るとたどれる1990年以降では最大であった(p172)国債に限れば、1865年以降で最大の下落ペースである(p173)
2022年10月3日読了
2022年10月9日作成 -
非常にタイムリーな題材。